チェルノブイリ原発事故:国際原子力共同体の危機 ミハイル・V・マリコ ベラルーシ科学アカデミー・物理化学放射線問題研究所(ベラルーシ) はじめに チェルノブイリ事故から11年たった.この間,多くのデータがベラルーシ,ロシア,ウクライナの科学者によって明らかにされてきた.これらのデータは,チェルノブイリ事故が原子力平和利用における最悪の事故であったことをはっきりと示している.この事故はベラルーシ,ロシア,ウクライナの環境に大変厳しい被害を与え,これらの国の経済状態を決定的に悪化させ,被災地の社会を破壊し,汚染地域住民に不安と怖れをもたらした.そして,被災地住民とその他の人々に著しい生物医学的な傷を与えた. 今日,チェルノブイリ原発の核爆発が生態学的,経済的,社会的そして心理学的に,どのような影響を及ぼしたかについては議論の余地がない.一方,この事故が人々の健康にどのような放射線影響を及ぼした