BABOKの最重要ポイントは、要求の品質にある。 そもそも論をぶちあげて責任韜晦するなら、まだ賢いほう。ふつうの顧客は、「要求部門が違うと言うから」「書いてないことはこっちのフリーハンド」などと逆ネジを食い込ませてくる。要するに、仕様書には無いが無償(ただ)で対応しろ、という圧力だ。テストフェーズ後半か、シミュレータでもエミュレータでもなく「本当に使う人」「本当に接続するシステム」が使い出す頃に出てくる。いわゆる、宴もたけなわの頃だ。不備、誤読、漏れ抜け、ほころび、食い違いを、堂堂と「バグ」と読んではばからない。昔は殺意が湧いたが、これでかなり丸くなった[怒らないこと](とはいえ、ここでは仏教ではなくBABOKからのアプローチを続ける)。 しかしながら、反論が困難なことも事実。「仕様書に無い」「要件定義に書いてない」「そもそも要求すらない」という反論ができるほどトレーサビリティが無いのだ。