日本を代表する作家のひとり、村上春樹。特に近年は、『1Q84』で「book1」「book2」「book3」と続けて"発行部数トリプルミリオン"を達成したり、20年以上も前に刊行された『ノルウェイの森』が映画化・公開されたりするなど、常に話題にのぼっている。1979年のデビュー以来ヒット作を発表し続ける彼が、長年にわたり活躍を続ける理由はどこにあるのか? そしてなぜいつの時代にも「若者」の支持を集めるのだろうか? 今回は、『芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか 擬態するニッポンの小説』の著者で、かつて村上春樹も関わっていた文芸雑誌『早稲田文学』のプランナー、そして早稲田大学の兼任講師でもある市川真人氏にお話を伺った。 ■ 「主人公のモテキャラぶりがご都合主義っぽすぎてイヤだった」 ――まずお伺いしたいんですが、市川さん自身が初めて村上春樹の作品を読んだのはいつですか? 1989年、高校3