日航機墜落事故を描いた『クライマーズ・ハイ』を観た時、一人の俳優の演技が頭に焼き付いて離れなかった。墜落現場に乗り込み、あまりの惨劇に精神に破綻をきたし自滅へと向かってしまう地方新聞社・報道部員を演じた滝藤賢一だ。この作品で彼の名前を初めて知った方も多かったのではないだろうか。明らかに常軌を逸し、ボロボロになったシャツで現場から新聞社に戻った彼を観客の誰もが“やばいぞ…”と思ったに違いない。この作品で、一気に全国メジャーに躍り出た滝藤賢一だが、あの危うい演技の向こう側にいる彼とは、一体どんな人間なのだろうか? 19歳の時に東京へ出て来た彼は、当初、映画監督が志望だったという。「僕らの時代は、世間からやりたい事がない若い世代って言われていて…そんな中で“俺はやりたい事があるんだ”と主張できたのが監督だったんですよね。でも、映画学校には殆ど行かなかったなぁ…。東京にはたくさん映画館あるから映画