改憲論議が一部で高まっている。「自分の国は自分たちで守るべきだ」「世界平和に貢献するためにも軍隊は必要だ」という主張に対し、「どんな形であれ、戦争に関わってはいけない」という声は「現実的じゃない」と否定され、かき消されがちだ。そんななか、元衆議院議員であり、自民党幹事長も務めた野中広務さん(80歳)は一貫して「反戦」を主張している。その背景にある思いとは――。 ―――1925年(大正14年)生まれの野中さんは、かつて軍国少年だったそうですね。 そうです。国家のため、天皇陛下のために戦争へ行き、見事な戦死を遂げるのが男子の本懐だと教え込まれ、自分でもそう思い込んでいました。旧制中学4年の時には航空学校にも志願したんですよ。跡取りだったので親に大反対されて、泣く泣くあきらめましたが。召集令状がきたのは1945年1月。入隊する時は「靖国(神社)で会おう」と仲間と言い合いました。 ―――敗戦