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ブックマーク / magazine-k.jp (33)

  • 無名の新人が書いた地味な分野の本に、ありえないほど長いタイトルをつけて売ろうとした人文書出版社の話

    ある日、いつものようにツイッターを立ち上げてタイムラインをぼんやり眺めていたら、なんだかとてつもなく長いタイトルのについてのツイートが流れてきた。発信者はそのの版元の編集者で、題名は『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する』――カギカッコを含めて60文字もある。ただ長いだけではない。一つひとつの言葉に見覚えはあるが、そのつながりがよくわからない。いったい「舞姫」と「アフリカ人」がどうつながるんだろう? タイトルだけではまったく内容の想像がつかないので、書店にでかけたときに立ち読みをしてみた。思ったより、ちゃんとしてる――というのも変だが、そう感じた。なにしろ版元はあの柏書房である。私はアルベルト・マングェルの『読書歴史 あるいは読者の歴史』やアレッサンドロ・マルツォ・マーニョの『そのとき、が生まれた』

    無名の新人が書いた地味な分野の本に、ありえないほど長いタイトルをつけて売ろうとした人文書出版社の話
  • 出版ジャーナリズムの火を絶やしていいのか

    1949年の創刊以来、出版界が置かれている状況を刻々と報告しつづけてきた「出版ニュース」が2019年3月で休刊することが決まった。また『出版年鑑』も今年8月に出た2018年版で終了し、2019年版は刊行されないことも出版ニュース社のサイトと「出版ニュース」11月下旬号で正式に告知された。 「出版ニュース」は1949年に日配(日出版配給株式会社)の解体に伴い独立した出版ニュース社が刊行する旬刊(月三回刊)の雑誌で、戦時下の出版流通を担った統制会社である日配時代に刊行されていた「新刊弘報」「出版弘報」の流れを組む。また当初は博報堂が出資者となっていたが、現在はそのような資関係はないという。 日配時代には戦時下の物資窮乏のため、書籍が完全買取・買切制になった時期があった。「出版ニュース」の前身「出版弘報」は、そうした時代に販売店(当時すでに1万5000軒あったという)がの現物を見ることなく

    出版ジャーナリズムの火を絶やしていいのか
  • 読書専用端末の時代は終わったのか

    先月の終わりに、電子出版ビジネスの草分け的存在であるイーストの下川和男さんから、古くなったり壊れたりして使えなくなった電子書籍端末を肴に語り合う会、名付けて「昔の読書端末放出放談会」にお誘いいただいた。 ちょうど「マガジン航」で西牟田靖さんが、亡くなられたノンフィクション作家の蔵書の形見分けについての記事を書いてくれた直後だったこともあり、「紙の」と「電子の(こちらは端末のみで中身は読めないのだが)」それぞれの最後の身の処し方について考える機会になると思い、参加した。 この会に持ち込まれた端末は、どれも基的に動かないジャンク品である。アマゾンのKindle DX(初期の大画面タイプ)やバーンズ・アンド・ノーブルのNook(やはり初期型)、ソニーのReader(北米版のやはり初期型)といった比較的有名なものから、オランダのiRex Technologies(バーンズ・アンド・ノーブルに

    読書専用端末の時代は終わったのか
  • 本の激変期のなかでどう生きるか

    第1信(仲俣暁生から藤谷治へ) 藤谷治様 この夏に下北沢の屋B&Bで行われたDJイベントで久しぶりにお会いしたあとで、なんどかご相談させていただいていた「マガジン航」での往復書簡の企画を始めることにしました。 藤谷さんに最初にお目にかかったのは、2014年まで下北沢にあったフィクショネスという屋でのことでした(『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』の文庫解説にもこのときの思い出を書きました)。藤谷さんがまだ「小説家」になる前、もしかしたらまだ20世紀だった頃の出来事かもしれません。 「まだ20世紀だった頃」などというと、自分たちがとんでもなく年寄りになった気もしますが、実際そうなのかもしれません。というのも、その後に出版の世界は大きく様変わりしたからです。いや、出版の世界どころか世界そのものが大きく変わったように思います。 僕らはたまたま同学年で、おそらく似たような読書経験をして育ってき

    本の激変期のなかでどう生きるか
  • 出版業界は沈みゆく泥舟なのか

    まるで沈みゆく泥舟のようではないか、と思う。日の出版業界のことだ。 このコラムは毎月、基的に月初に公開することにしている。毎月更新される小田光雄氏の「出版状況クロニクル」や、ジュンク堂書店の福嶋聡氏の「屋とコンピュータ」といったコラムを意識しつつ書いているのだが、これまではできるだけポジティブな話題を見つけるようにしてきた。でも今月はどうしても筆が進まず、公開が週をまたいでしまった。いまだに何を書いてよいやら、という諦めのような境地にさえなっている。 「文字もの」電子書籍は未だに紙の4% そうした思いを抱いた理由の一つは、先月に相次いで公開された出版市場統計である。 まず、インプレス総合研究所から2017年の日電子書籍と電子雑誌の市場規模が発表された。同研究所の調査によると、昨年の電子書籍市場規模は前年比13.4%増の2241億円、電子雑誌市場規模は前年比4.3%増の315億円。

    出版業界は沈みゆく泥舟なのか
  • 出版業界はブロッキング問題で岐路に立っている

    先月にまきおこった海賊版マンガ・アニメサイトに対する緊急ブロッキングをめぐる議論の推移をみていて、不思議に思ったことがある。展開があまりにも急だったこともあるが、決定までの経緯がクローズドなままなので憶測するしかないことも多く、余計に不明瞭な印象を強くした。なんのことかと言えば、出版業界の対応である。 これまでの経緯 経緯を簡単にふりかえろう。政府の知的財産戦略部・犯罪対策閣僚会議(部長・安倍晋三首相)がインターネット接続業者(ISP)に対して、「漫画村」「Anitube」「Miomio」の3サイト及びこれらと同一とみられる海賊版サイトへのサイトブロッキング(接続遮断)を「促す」緊急対策を決定したのが4月13日のこと。政府は自主的な対応を「促す」だけで「要請」ではなく、あくまでも法整備までの緊急措置だとしたが、これが波紋を呼んだ。 なぜなら通信事業者によるサイトブロッキングには明確な法

    出版業界はブロッキング問題で岐路に立っている
  • 1円ライターから見た、キュレーションサイト「炎上」の現場(コグチスミカ) « マガジン航[kɔː]

    はじめまして。コグチスミカです。普段は別名義で、小説家、ライターとしてほそぼそと活動しています。現在、1歳児の子育てに奔走中の主婦です。 今回、どうしてもこの件について書かずにはおれず、だれかに知ってほしくて筆を取りました。 この記事を読んだ友人知人は、私がだれだか気づくかも知れませんが、どうか言及しないでいただきたいのです。あなたたちに正体がバレることはなんの問題もなく、むしろ喜ばしくすらあるのですが、クライアントにバレたら失職するかもしれないのです! キュレーションサイト「炎上」を生き延びたライターとして 2016年11月末、DeNAの運営する医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」が、炎上し、公開停止しました。例えば「胃痛 原因」などのキーワードで検索すると、Google検索で必ず上位に表示されていた大手のサイトでした。ですが、その記事の内容は、私たちのような単価の低いライターによって

    1円ライターから見た、キュレーションサイト「炎上」の現場(コグチスミカ) « マガジン航[kɔː]
  • 「作家」を育てるのは誰か?

    先月は「読書」についての話題だったので、今月はを「書く」側の話をしようと思う。まず、先日に記者会見が行われたばかりの、日独立作家同盟による「NovelJam」という試みについて触れたい。 作家と編集者がタッグを組み、短期間に執筆・編集・電子書籍の制作までを行う、いわば「合宿形式」(泊まり込みではないが)の短期集中型の企画としては前例のないものだと思う。 具体的な企画内容は、公式サイトや、すでに詳細な紹介記事が掲載されている他媒体(Internet Watchのこの記事がよくまとまっている)を参考にしてほしいが、今回の試みでもっとも重要なのは「編集者」の存在だろう。 「マガジン航」でも何度か紹介してきたが、日独立作家同盟では「月刊群雛」という投稿型の文芸誌を2014年1月から2016年8月まで刊行してきた。2015年2月に特定非営利活動法人となった際、私も理事の一員として日独立作家同

    「作家」を育てるのは誰か?
  • 電子書籍の「失われた◯◯年」に終止符を 〜続・「電書再販論」に思うこと

    これまでの経緯 こんにちは。この「マガジン航」で以前、電子書籍への再販制度導入について、書かせていただいたことがあります(リンク)。 その時は、再販導入を主張する鈴木藤男氏(NPO法人わたくし、つまりNobody副理事長)、落合早苗氏(hon.jp代表取締役)の主張を、主に経済学的な観点から、分析しました。 紙幅の関係で、「電書再販論」のもう一人の主張者である、高須次郎氏(日出版者協議会会長、緑風出版代表)の所論については、「後編」に回すことにしたのですが、その「後編」を書きあぐねているうちに時間がたってしまいました。すみません。 今回、「後編」として、「電書再販論」について、さらに詳しく書かせていただきます。 そもそも「再販制度」とは? はじめに、出版物の「再販制度」とは何かについて、ちょっと整理しておきます。 独占禁止法では、商品の生産者や供給者(この場合は出版社や取次)が販売者(こ

  • 私設雑誌アーカイブ「大宅文庫」の危機【前編】

    「知らなかった、大宅文庫が経営の危機にあることを」――。 8月8日、このような一文から始まる書き込みをFacebookにアップした。すると瞬く間に「拡散」され、5日後には「いいね!」が497人、「シェア」が276件。Facebookと連動させているTwitterのほうは、「リツイート」が674件、「お気に入り」が272件……。正直、驚いた。こんなに話題になるとは思ってもいなかった。その一方で、「みんな当に大宅文庫に関心があるの?」と訝る気持ちも生まれてきた。 公益財団法人・大宅壮一文庫(以下、大宅文庫)は、東京都世田谷八幡山にある雑誌専門の私設図書館だ。その名の通り、ノンフィクション作家で評論家の大宅壮一(1900〜1970年)が蒐集した膨大な雑誌資料が元になっている。大宅壮一といえば「一億総白痴化 」や「駅弁大学」「男の顔は履歴書である」といった名言・語録でも知られているが、「は読む

  • 2018年の青空文庫へ向けたアイデアソン

    みなさまは青空文庫をご存知でしょうか? 青空文庫は、著作権の消滅した作品と、著作権者(著者ら)が「自由に読んでもらってかまわない」とした作品を、テキストファイルやHTMLファイルで提供しているサイトで、またそうしたテキスト化と配布を行っているプロジェクトです。青空文庫のサイトを訪れたことのない人でも、KindleストアやKoboストアの「無料」として再配布されているものを見たり、もしかしたら読んだことがあるかもしれません。 青空文庫は1997年の「青空文庫の提案」からスタートし、多くのボランティアによって支えられてきています。2013年に呼びかけ人の一人であった富田倫生氏が逝去されましたが、活動は途絶えることなく、また富田氏の著書『の未来』の書名を冠し、青空文庫の活動を将来にわたって支援するための基金「の未来基金」が創設されました。 何よりも大切な多くのボランティア活動者と、それを支

    atoh
    atoh 2015/06/23
    「工作員向けマニュアルは充実しているがエンジニア向けマニュアルは有無すら不明との指摘があり」そらそんなもんだろ。(マニュアルなくていいというはなしではないが)
  • 貧困から図書館について考える

    3月8日、著書『生活保護リアル』(日評論社)にまとめられたネット連載など、生活保護についての多角的な報道を重ねた功績で貧困ジャーナリズム大賞2014を受賞されたみわよしこさんと、『困ったときには図書館へ~図書館海援隊の挑戦〜』(悠光堂)の著者である神代浩さんによる、第4回LRGフォーラム「貧困図書館 困ったときに頼れる図書館へ」を聞きに行った。貧困図書館生活保護図書館。一見不思議かもしれないこの組み合わせの接点とは何なのか。 しかしこの問いに入る前に、そもそも図書館とは何かということを考えてみたい。登壇者のお一人である神代さんは文科省の社会教育課長時に、住民がかかえる問題の解決を助ける各地の図書館を応援するための図書館海援隊という取り組みを始めた方である。私は神代さんの活動を最初に知ったとき、先に社会問題があって、そこから図書館に何ができるのか考える、という点に魅力を感じた。 先

    atoh
    atoh 2015/04/02
    しんどいよな、図書館。
  • 中国語繁体字の標準化にぶつかって

    今年の10月、私はサンフランシスコで行われるW3C主催のTPACというイベントとブック・イン・ブラウザ会議に参加するため、シリコンバレーに向かった。 太平洋を越えて台湾からアメリカ西海岸へ行くには、とても費用がかかる。数年前、私がまだ取材記者だった頃は、東京、香港、上海、サンフランシスコ、クパチーノなどで行われるIT企業主催のメディアツアーによく招待された。しかしいまや私は、収益の安定しないスタートアップ企業の経営者である。いちばん安い宿と航空券をみつけても10万台湾ドル(日円で約40万円)の出費となり、自分の事業になんら利益をもたらさないかもしれない旅行にとってはとても痛い。 そこで私は、9月に自分のブログに、この会議に参加しなければならない理由を書いた記事を投稿して資金援助を募り、ペイパルと銀行の口座を用意した。二週間もしないうちに、クラウドファンディングは成功した。 標準化の世界と

    atoh
    atoh 2015/02/04
    「世界では10億人以上が中国語を母国語としている。しかし文化的な複雑さを保存している繁体字のみに限れば、香港と台湾にわずか3000万人がいるのみだ。」こんなに差があったか。
  • 「日の丸プラットフォーム」の本質を見誤るな

    5月14日、KADOKAWAとDWANGOが経営統合を発表した。この合同発表会はニコニコ生放送にアーカイブされており、その概要も既報なので割愛するが、日経済新聞が「サブカルコンテンツをクールジャパンとして海外に発信」と報じたことに大きな違和感を覚えた(5月15日付「グーグルに挑む角川ドワンゴ連合 世界制覇の勝算 」)。クールジャパン推進会議の委員にも名を連ねた角川歴彦氏が、メディアに対して「日の丸プラットフォーム」を目指すと語ったことによる連想だと推測するが、正直ひどい誤解だと思う。 もちろん、そういった挑戦も今後取り組まれることの一端にはあるはずだが、今回の統合を「クールジャパンを発信」というキーワードで括ってしまっては質を大きく見誤ることになる。 この経営統合は、スマートフォンの普及に端を発した出版環境の激変に対する、出版「社」としての最適解だったと捉えるべきだ(社に括弧を付けてい

    atoh
    atoh 2014/05/21
    ピンとこないな
  • わが「キンドル作家」デビュー実践記

    1 はじめに 題して『五番町懺悔録』。若き日の愚行の数かずをさらした読み物だ。詳しくは、後のほうで。 ついにやったぞ。「キンドル作家」デビューを果たしたぞ。会う人ごとに吹いてまわっているのだが、反応はいまひとつ。というより、冷たい。「ん? キンドルって何よ」。たいていの第一声が、コレだ。 じつのところ、わたしも、一カ月前なら、同じような反応しか示さなかったろう。Kindle なる新製品が発売されたという知見くらいはあった。けれども、この種のトピックがアタマのなかに残っている時間は、ごくはかない。脳細胞の衰滅速度と、時代の異常なスピードとが、相乗効果をかもして、三日前のことなど、古代のような遠いムカシと化す。 居住している地域(の高齢者相談室)からは、「きみは定年後の第二の人生を活用できるか」といった強迫的な案内が連続し、加えて、介護保険証がとどく。「電子書籍ブーム」とやらに適応していってい

  • ボイジャーが進むべき「電子の道」

    ボイジャーは筆者がこれまで取材を続けてきた電子書籍の世界の中でも、独特の存在感を醸し出す会社だ。それは出版社ともIT企業とも異なる。幾度となく訪れ、泡のように消えていった電子書籍の狂騒とは一線を画す、独特の考えをもった会社としか表現しようのないものだ。 1992年の設立以来、そんなボイジャーを率いてきた代表取締役の萩野正昭氏が社長の座を譲ると知ったとき、驚きと一種の感慨を覚えた関係者は多いはずだ。そこにどんな思いがあったのか、また新社長の鎌田純子氏はボイジャーの舵をどこに向かって切ろうとしているのか。社長交代にあたり、お二人に話をうかがった。 「生涯一兵卒でやっていきます」 ――やはりまず、萩野さんが社長を交代しようと考えられた理由を教えてください。 萩野:包み隠さず言えば、そこに何か大それた思いがあるわけではありません。46歳の時にボイジャーを立ち上げ、21年が経ちました。歳を取ってから

  • 北米電子書籍市場からのソニー撤退に思うこと

    ソニーが北米のeリーダーストアをたたんでKoboに譲渡するというニュース。日ではそれなりに騒ぎになっているようですが、アメリカ人は「モノ作り」とか、ソニーブランドに対する愛着などというものは全く持ち合わせていないので、eリーダーの持ち主も、「あっそう、これからはを買うときはKoboになるのかぁ」ぐらいのクールな感想かと思います。カナダ人に至っては、あらら、ますますKoboの寡占状態(注:2012年の端末市場のシェアではKoboが46%、ソニーが18%。アマゾンは24%)かぁ、という程度の反応でしょうか。 Koboに移行することになるeReaderユーザーの蔵書にしても、もともとeリーダーストアのセレクションがKoboよりも少なかったおかげで、読めなくなってしまうものはそんなにないし、仮にあったとしても、3月末までに端末にダウンロードしておけば、その後も読むことはできるそうなので、大騒ぎ

  • リアル書店で電子書籍を売るということ

    三省堂書店とBookLive!は12月19日、の表紙をカメラで読み込むと電子書籍の検索や、書店員のPOP・コメントなどが表示できるアプリ「ヨミ Cam(よみかむ)」を発表しました。既に複数のメディアで記事になっており、SNSでの反響を見る限り比較的好意的に受け止められているようです。 それに対し、朝日新聞が12月22日に掲載した「対アマゾン、電子書籍で連携 書店や楽天など13社、めざせ『ジャパゾン』」という記事は、インパクトのあるキーワードもあってか、ネット上では批判的に捉えている方が多いように感じられます。今回は、この二つの似て非なる事象を通じ、「実店舗での電子書籍購入」の今後の可能性について考察します。 電子書籍の店頭購入サービスはすでに展開中 三省堂書店とBookLive!は以前から、店頭で電子書籍が購入可能な「デジ(でじぽん)」というサービスを展開しています。以前は三省堂神保町

    atoh
    atoh 2013/12/25
    「「ヨミCam」には好意的なネットユーザーが、「ジャパゾン」には否定的なのは、そのちょっとしたズレを敏感に察知しているのです。」そんな風には全然思えんが。
  • 無料貸本屋でどこがわるい?

    PR誌『みすず』に連載中から愛読していた宮田昇さんの文章が『図書館に通う』というにまとまった。「当世『公立無料貸屋』事情」というサブタイトルがついている。 著者は私のちょうど十歳上。戦後まもなく就職した早川書房からタトル商会に移り、米軍占領下にはじまる混乱した著作権問題に素手でとりくみつづけた方である。そのあたりのことは私もすでに『翻訳権の戦後史』や『戦後「翻訳」風雲録』などの著書で知っていた。その出版界の大先達が、いまや私同様、ひとりの退職老人として公立図書館のヘビーユーザーと化していたとはね。 ほどなく消えてゆく身で、手持ちのをこれ以上ふやしたくない。経済的な事情もまったくないわけではないらしい。退職老人の後輩としては、そうした著者のつぶやきの一つひとつが身にしみる。 仕事をやめた宮田さんは、暇にまかせて、じぶんの街の図書館で高村薫や宮部みゆきや桐野夏生の作品をまとめて読み、これ

    無料貸本屋でどこがわるい?
    atoh
    atoh 2013/07/10
    何百という待ち行列に並んでられる人は新刊を新刊のうちに読もうなんて思ってないから。図書館の本はぼろくて汚いって承知してるから。
  • カネよりも自分が大事なんて言わせない

    芳明の『カネと文学――日近代文学の経済史』(新潮選書)は、経済=市場の観点、具体的に言えば原稿料の増減や出版景気の変化などを例にして、日近代文学者とカネの関係を歴史的に辿ることで、教科書的な文学史からは見えなかった、生々しい文学者像を新たに浮かび上がらせている。 大正期のベストセラー作家であった有島武郎が晩年に個人雑誌を立ち上げ、その直後に美人記者と情死したのは、文学作品と恋愛というどちらも神聖な対象を商業のルールで汚すことを拒否した潔癖思想の現れではなかったのか。従来、純文学と通俗小説の綜合の試みと理解されていた横光利一の「純粋小説論」は、原稿料減少の苦境な時代にあって文学で飯をうためのライフスタイル転換の試みだったのではないか。経済や市場という新しい視角を介入させることで、既知の文学史の風景が一転する。 カネなんて要らない? 『カネと文学』は今年(2013年)の3月に刊行され

    カネよりも自分が大事なんて言わせない
    atoh
    atoh 2013/06/18