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歌謡に関するbandshijinのブックマーク (22)

  • 東へ西へ 井上陽水 仄暗いチアリング

    エレクトリック・アコースティック・ギターの中音域が出ています。コーラスのエフェクトをかけているようですね。コロンカランとしたキャラクターの乾いた音色です。彼独特の粘性ある歌と竹を割ったようなさばけたギターのリズムストローク。貫禄があります。弾き語り仙人と敬称したい。平静に熱量を蓄え、エンディングでリタルダンドしドーンと質量のある最後のワンストローク、Ho! と一声。響きました。 動画タイトルに1992年、武道館、SPARKLING BLUEとあります。1992年3月18日福岡国際センター以降、全国11ヶ所・16公演おこなったツアー名です。 曲について 井上陽水の2枚目のオリジナル・アルバム、『陽水II センチメンタル』に収録されています。1969年に『カンドレ・マンドレ』(CBSソニー)でデビューしたときの芸名、アンドレ・カンドレから井上陽水に1972年のシングル『人生が二度あれば』で改名

    東へ西へ 井上陽水 仄暗いチアリング
    bandshijin
    bandshijin 2021/04/06
    つめたく、不安が焦がれるようなこわさが、のろけたジョークと混在している。井上陽水の世界が私はたまりません。それでいて、ガンバレみんなガンバレ。がんばろうと思います。
  • 黄昏のビギン 詞と曲と歌声の洒脱に酔う

    この曲、メインの調(Fメージャー)と遠い和音(D♭)から始まるのがとても好きです。 曲の歌い出し「♪あーめにぬれてたー」のモチーフを元にしているけれども微妙に違うフレーズをストリングスの高音パートが素朴に歌い上げます。 ここはD♭調の主和音(Ⅰ)なのだとみることもできますし、メインの調の半音上(G♭)の調のドミナント(Ⅴ)とみることもできるかな? 後者の解釈の方が私は好きかも、と思ったのですが、旋律のフレーズがD♭調のヨナ抜き音階っぽいのでまぁD♭調ととるのでよろしいかなと着地。 ですがこれも一瞬のことで、すぐさま半音さがってCの響きに変わります。で、これはメインの調のFメージャー調にいくためのドミナント(Ⅴ)です。 ここまでで曲開始からわずか7秒間ほどですが、私が興味をそそられる音楽的出来事がたっぷりつまっていました。 Cのコードをドミナントに、ようやく(私が長引かせただけ)歌がはじまり

    黄昏のビギン 詞と曲と歌声の洒脱に酔う
    bandshijin
    bandshijin 2021/04/05
    Aメロはヨナ抜きを基調に跳躍の多い旋律。Bメロは短調に転調、旋律に短2度刺繍のいじらしさ。水原弘はかなりの酒のみだったようですが、『黄昏のビギン』の曲・詞・歌声は洒脱そのもの。表裏一体なんですね〜。
  • まちぶせ 不器用な恋の策略

    松任谷由実が荒井由実名義でセルフカバー。レゲエを思わせる裏打ちリズムですがハネ感を抑えていてフラットなグルーヴです。きらきらと絢爛な歌謡のステージ、時代の匂うホールを思わせます。途中やエンディングでは船のシーン。芸能や娯楽界特有のお金の費やし方や魅せ方が豪勢なアプローチを感じます。船で外洋へ出ていく(実際は入江への帰港かもわかりませんが)エンディングは「まちぶせ」という主題とは反対に、攻めの積極的な表現にも思えます。 曲について 荒井由実が作詞・作曲、三木聖子に提供。三木聖子のシングル発売が1976年(この年のユーミンは荒井から松任谷名義への端境でしょうか)。 石川ひとみによるカバーが1981年。石川ひとみは歌手としてこの曲にかけるものがあったといいます。 荒井由実によるセルカバーシングルが1996年。松任谷名義にしてすでに多くの時間が経っていますが、元の名義で出したようです。 三木、石川

    まちぶせ 不器用な恋の策略
    bandshijin
    bandshijin 2021/03/29
    主人公は策略家のようでいて、かなり不器用です。まわりくどく、目的はあれども、自分にはこの戦略しかとれない。そういうブルースの響きをもって、この『まちぶせ』は私に響くのです。
  • 真夜中のギター 孤独と詩情

    すっと立って堂々と歌っていますね。手振りを交えています。響きの得られる歌唱を体得していますね。専門機関で声楽や舞台表現を学んだ方かもしれません。 https://youtu.be/vgLnARqIONk こちらのほうが後年のもののようです。ビブラートが強くかかるサスティンです。語頭の立ち上がりに貫禄が出ました。フレームには入ってきませんが後半でハーモニーボーカルのバッキング。 曲について 千賀かほるのデビューシングル曲(1969)。この曲で第11回日レコード大賞新人賞を受賞したとのこと。 私は歌に載っているのを見てこの曲を知りました。シンプルな出だしの印象。作詞者を見るに吉岡治。『おもちゃのチャチャチャ』を子供向けに補作詞した人と記憶していました。 作曲の河村利夫はサクソフォン奏者でもあり編曲もする方のようです。武蔵野音楽大学出身者で、音楽教室なども営んでいる様子。コロムビアの専属作曲

    真夜中のギター 孤独と詩情
    bandshijin
    bandshijin 2021/03/27
    歌詞、メロディの無駄のなさや普遍性はもちろん、ストリングスの対旋律やフレージングに象徴される編曲のセンスの高さに私はとても感激しました。作曲者が編曲者を兼ねる好例だと思います。筒美京平もそうですよね。
  • 世界は二人のために 佐良直美と没入の歌

    私はいずみたくファン。歌謡曲をたくさん載せた歌を見ていると、彼の作品にたくさん出会えます。あれもこれも、それもいずみたくなの?! と言いたくなるほど彼は多作で、そのひとつひとつで私の心を揺さぶります。 『世界は二人のために』もその1曲。私の手持ちの歌に載っていて、ふんふんと鼻歌で音をとってみると、なんかいい感じ。音形の反復がきれいで、覚えやすいのです。“愛” “花” “恋” “夢” などと、2音で発音する単語を強拍に置いて印象づけています。 この曲、そのうち自分でも弾き語りしてみようと思いつつも一度、寝かせていました。 シン・エヴァンゲリオン劇場版に『世界は二人のために』 加入しているAmazon Primeで何気なく『シン・エヴァンゲリオン劇場版 冒頭12分10秒10コマ』を見ていたら、どうも覚えのあるメロディが聴こえてきます。登場人物が口ずさんでいる……という演出。あ、この曲知って

    世界は二人のために 佐良直美と没入の歌
    bandshijin
    bandshijin 2021/03/18
    “二人のため 世界はあるの” との言葉の意味を取り出して味わってみると、なかなか極端です。恋愛中の二人はまさに盲目。世界のすべてが自分たちの脇役に思えるかもしれません。それもまた真実。
  • ザ・サベージ『いつまでも いつまでも』メロディの波、海の揺らぎ。

    原曲リスニング・メモ 空高くから光がさすように熱い口笛が高鳴るイントロ。 ストリングスは中央、やや高域でⅴ→ⅵ→ⅶ→ⅵのカウンターラインを奏でます。固定音でいえばラ♭→シ♭→ド→シ♭。原曲のキーはD♭メージャーです。 エレキギターのリズムストロークが左に。アップピッキングで裏拍のノリを出したオルタネイトピッキング。アルペジオを交えた旋律的なメロディのエレキギターは右です。 ベースが真ん中でズンズンと響きます。ドラムスは右寄りに定位。 サクソフォンも左側でⅴ→ⅵ→ⅶ→ⅵのカウンターライン。 朗々と歌うボーカルです。録音時、何歳くらいなのでしょう、貫禄ある磨かれた印象の声。渋さ漂います。サスティン時にしっかりとビブラート。要所でハーモニーパートのボーカルも入ってメロディのコシを強めます。 間奏で右から聴こえるエレクトリックギターの和声的なプレイが巧みです。管楽器が照りのある音色でプァ〜ッとせり

    ザ・サベージ『いつまでも いつまでも』メロディの波、海の揺らぎ。
    bandshijin
    bandshijin 2021/03/17
    Bメロ後半では同音連打を見せてそれを破る非固有音! 借用和音であるⅡMに合わせて、固有音を半音高めて上方変位させそのまま属音(ドレミファでいうところのソ)へリーチ! ドラマチックです。
  • 涙の太陽 ギラギラ光線のスピード

    ババーーー♪ ブラスの勇ましいイントロ。“ギラギラ太陽が”という一句でもうガッツポーズしたくなります。おれたち、勝ったわ!とハイタッチしたくなる勢いです。 伸びるギターにはフェイズがかかったようなシュワシュワとした音色の揺らぎ。そのバッキングに鋭いサウンドのギターがオブリガード、艶めかしくせり上がるフレーズ、チョーキング。 ダブリングの効いたメインボーカル、かと思えばBメロでは効果が外れて明瞭な輪郭のボーカルがバトンを継ぎます。 で、おまちどぉっ、なAメロパターンに戻り、ダブリングの効果も復活。各パートの音作りの意匠が細かく、楽曲の気度、熱情を引き立てます。くゥ!(グッとくる)。Aパートにハナがあり、ぶちかましてBで空気を入れ替え、黄金色に輝かんばかりのAパートに帰る楽曲構成。私は名演のシャワーを浴びています。 間奏ではF-1のマシンかジェット機が過ぎるサウンドが効果を出します。勝負に望

    涙の太陽 ギラギラ光線のスピード
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    bandshijin 2021/03/11
    “ギラギラ太陽が”の一句でもうWin。恋愛のグラグラ揺れる心、激情がドンと来る。ありふれた題材を鋭い角度でメラリと。英語詞と日本語詞ともに湯川れい子。
  • 喝采 ちあきなおみ 作詞、作・編曲、歌唱の協調の極み

    1972年9月リリースのシングル曲、年内の後半にあたりますが第14回レコード大賞をとったようです。歌手の感極まった様子がこちらにも伝わってくる当時の映像をネット上でみかけたことがありますが、ちあきなおみ人の実演はサブスク等でみかけませんね。サブスクで聴きたい需要は私に限らず絶大かと想像します。 曲について 1972年のちあきなおみのシングル曲。作詞:吉田旺、作曲:中村泰士。歌手自身を題材にした(ようにみえる)作品を狙って作ったところ、じっさいのちあきなおみ人の経験と重なるものになったというエピソードがあるそう。 ちなみに編曲者が高田弘で、私の好みでは『地平を駈ける獅子を見た(1979オリジナルバージョン)』(松崎しげるの歌唱)、『わたしの青い鳥』(桜田淳子の歌唱)、『たそがれに別れを』(堺正章の歌唱)の編曲も高田弘によります。 (参考Wikipediaサイト) イントロ サスティントー

    喝采 ちあきなおみ 作詞、作・編曲、歌唱の協調の極み
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    bandshijin 2021/03/08
    下から上まで声の魅力を出せるか試されます。1オクターブと長6度にわたる音域。Aメロのモチーフの規則性の乏しさは神秘。絶妙なところで同じ音形が登場します。「喪」をこの世で最も美しく映した歌ではないかと。
  • さらば恋人 筒美京平の作編曲、ペンタトニックはずし

    堺正章といえば『北風小僧の寒太郎』。 そして彼といえばテレビタレント。「いただきました! 星みっつ!」(TBSの料理バラエティ『チューボーですよ!』)を唱える彼の声が私の記憶にあります。 彼が所属したザ・スパイダースとしての活動を私が認知し始めたのはむしろ最近。同じくザ・スパイダースメンバーのかまやつひろしが書いた『なんとなくなんとなく』は私の大好きな一曲です。 さらば恋人 彼のソロデビュー曲が『さらば恋人』(1971)。音楽のサブスクサービスでこれに近い年代の音楽を次々に再生して聴いていたら、偶然巡り合うことができました。 ドン、ドドン! というティンパニーが奏でる属音の低音保続の上で和音が進行。上声部は主要でシンプルなコードなのに、低音に属音(ヘ長調なので「ド」)がいることで響きに緊張感があります。しゃれていますね。 ソファソファソソー、といった音形が印象的。のちの間奏の部分でも似た音

    さらば恋人 筒美京平の作編曲、ペンタトニックはずし
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    bandshijin 2021/03/05
    民謡の哀愁と西洋音楽の旋律の滑らかさを調合したような洒脱さが光ります。弦の編曲は南沙織『17才』などでも味わいました。堺正章の声質が味わい深い。作詞はザ・フォーククルセダーズの北山修です。
  • 亜麻色の髪の乙女 青空の下の幸福

    『亜麻色の髪の乙女』を私は2002年の島谷ひとみによるカバーで知りました。シャンプーのCMにつかわれていましたね。 ウクレレのような軽やかな撥弦楽器の音色に乗せたイントロを経て0:54頃〜4つ打ちのキックに乗った伸びやかなエレキギターの音。私はこれに、小〜中学生の頃に好んで聴いていたL’Arc〜en〜Cielの曲『NEO UNIVERSE』を思い出します。いずれも爽やかで開放感・清涼感のあるサウンドです。 島谷ひとみの話に戻って、2002年時はカバーだと知って「へぇ」と思いつつも、オリジナルは誰で作曲者は誰で……と辿って求めるほど熱心ではありませんでした。 これを最初に歌ったのはヴィレッジ・シンガーズ。 こちらの映像は2002年の島谷ひとみによるカバーのヒットをきっかけに、グループが再び動き出した頃のもののようです。複弦の音像が印象的な赤いギターは名器、リッケンバッカーでしょうか。間奏に入

    亜麻色の髪の乙女 青空の下の幸福
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    bandshijin 2021/03/04
    彼に会いにいく→彼に会えた。あるいは、彼に会えた→帰る。また今度いつ会えるかな。歌に含まれるシーンは、ほとんど1〜2カット?幸福に焦点が当たっているがゆえ、かえって他の部分を想像します。人生いろいろ。
  • 加山雄三『お嫁においで』 「あなたって、ホント馬鹿」?

    緊張を演出するⅡM→Ⅴ BメロはAメロよりもコードチェンジが少ないです。和音ひとつでより長い時間を引っ張っています。特にBメロ後半“僕にうたう 君の微笑み”のところではⅡM→Ⅴとつないでいて、曲中で最も高い緊張を演出しています。 【余談】ⅡMは便宜上の表記で、実際は別の調の和音を借りている、招聘しているようなものです。別の調とはⅤ調(ゴドチョウ)のことで、たとえばこの曲の主調であるFメージャーにとってはCメージャーが該当します(ファ、ソ、ラ、シ♭、と数えると「ド」が5番目ですね)。「Ⅴ調のⅤ」(ゴドチョウのゴド)なので「ゴドゴド」「ドッペルドミナント」などと呼びます(ほんとです)。 歌詞について 作詞は岩谷時子。作曲:弾厚作(加山雄三)との共作の例には『君といつまでも』(1965)があります。この翌年にリリースしたのが『お嫁においで』ですね。 『お嫁においで』は同1966年内に同名映画が公

    加山雄三『お嫁においで』 「あなたって、ホント馬鹿」?
    bandshijin
    bandshijin 2021/03/03
    軽快な曲調、細かい音形やコードのひっぱり方を鑑賞。歌詞にロマン。『君といつまでも』翌年の岩谷時子・弾厚作(加山雄三)の共作。馬鹿さ込みでパートナーに受け入れられたら、相当な幸せ者では。
  • 瀬戸の花嫁 門出と試練

    小柳ルミ子のシングル曲(1972)。作詞:山上路夫、作曲:平尾昌晃。 上リンク先の映像は第59回日レコード大賞出演時のものでしょうか。2017年に没した平尾昌晃は同年のこの機会に特別功労賞を贈られています。小柳ルミ子の歌唱がなお感慨深く響きます。1972年時の歌唱よりも単語の語頭がより強調されて感じます。平尾氏への敬意や哀悼が表れているのかもしれません。 こちらの方が当時(シングル発売時)に近いものでしょうか。瑞々しくかろみのある歌唱です。近年も当時も、変わらない伸びと透明感です。 曲について 小柳ルミ子はB♭メージャー調で歌っています。シ♭〜オクターブをまわりレまで、10度の音域が出せればこの曲は歌えます。落ち着きある曲調。純朴な歌です。 ピークの成し方 私が面白いなと感じたのは、音程のピークがAメロにあること。高い「レ」はAメロで出てきます。変化を出すBメロ(サビ)でハイトーンを聴か

    瀬戸の花嫁 門出と試練
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    bandshijin 2021/03/02
    音域のピークはAメロ、ボトムはBメロ。リズム形の妙もBメロ。歌詞“愛があるから” “男だったら”に考えさせられる。爽やかで純朴に描き切っているからこそ先に待つ試練や苦難を予感。小柳ルミ子の歌唱みずみずしい
  • 橋幸夫・吉永小百合『いつでも夢を』理想の鏡 〜デュエット・ソングの音域考〜

    楽曲の映画化 この曲をもとに作られた映画が翌1963年に公開されています。楽曲の映画化はこのブログで取り上げたことのあるものでいうと『夜明けのうた』『サヨナラCOLOR』が思い浮かびますが、世の中にかなりの数あるような気がします。この共通点で作品を巡ってみるのも面白いかもしれません。 映画を作らせてしまうほどに作り手の意欲を刺激する楽曲だという場合と、すでに人気のある俳優や歌手のヒット曲との相乗効果を利用してさらなる商業的な成功を重ねようと狙う場合(あるいはこれから人気者にしたい新人・無名の人を押し出す場合)ほかが考えられます。 1960年代はどんな気風だったのか……そのにおいや肌ざわりはどんなものだったのでしょう。生活の中で、みんなが同じテレビ番組を見て、同じ歌手の同じ曲を聴き、国民の多くが知る「人気者」「有名人」がいたはずです。 そういう状況において、ある曲がヒットした場合、「これで映

    橋幸夫・吉永小百合『いつでも夢を』理想の鏡 〜デュエット・ソングの音域考〜
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    bandshijin 2021/03/01
    1Oct違いのユニゾン。男声が低い音域、女声が高い音域を要求されるのでは? ハモるとかすればいいが演奏のハードルが上がります。音域を狭く曲を書く手もありますが、つまらなくなってしまうかも? 奥が深いです。
  • 夜明けのうた 「たくテク」光る、麗しのメロディ

    岸洋子が歌った『夜明けのうた』。作詞:岩谷時子、作曲:いずみたく。1964年にシングルがリリースされています。同年に坂九もこの曲のシングルを出しています。1963年に坂が主演したドラマ『ぼうや』の主題歌となりました。よって、世間の認知が先なのは坂版でしょうか。岸の持ち歌という認知が強いのか、どうでしょうか。 “よーあーけのー”……。歌い出しから4度跳躍の音形。すっと跳躍先の音程に乗るかろやかさ。ひとつひとつの音程を保ち、のびやかにビブラートをかけていきます。やがて来るまぶしい朝陽を待つ、束の間……空間と色彩のグラデーションがずっと続いていくような岸洋子の歌唱が見事です。 ちなみに『夜明けのうた』は先日このブログで取り上げた『恋の季節』(ピンキーとキラーズ)と同じに、いずみたく・岩谷時子による作品です。 岩谷時子の作品といえば私としては『友だちはいいもんだ』(劇団四季のミュージカル『ユ

    夜明けのうた 「たくテク」光る、麗しのメロディ
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    bandshijin 2021/02/27
    歌本を見ても音源をめぐっても、いずみたく作品にビビッときます。直感の要因を、思考と鑑賞を深めることで探っていくと理屈で解釈できる部分が確かにあると思えます。でも、後にも先にも直感が好きだと云うている。
  • 太陽がくれた季節 いずみたくメロディの魅力

    青い三角定規が歌い、1972年にシングルリリースした『太陽がくれた季節』。 いずみたくのメロディの魅力 私はいずみたく作品のすっかりファンです。私が書いているこのブログサイトの虫めがねマークのところに“いずみたく”と入れて検索することでヒットする関連記事も増えつつあります。『手のひらを太陽に』『見上げてごらん夜の星を』『ゲゲゲの鬼太郎』『いい湯だな』『恋の季節』全部いずみたく作品です。歌をぱらぱらめくっていていずみたくの名前を見つけたり、ネットで検索していて知っている曲名に出会ったと思ったらそれもいずみたくの作だとわかったりしたときには「これもかぁ!」と異常な興奮を覚えるほどになってしまいました。それほどに私の世界はそこら中がいずみたくなのです。 いずみたく作品の、何が私はそんなに好きなんだろう。その謎を明かす要因かわかりませんが、思うことがあります。いずみたく作品の歌メロディを譜面に起

    太陽がくれた季節 いずみたくメロディの魅力
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    bandshijin 2021/02/26
    ばらばらにしたり、くっつけたり、混ぜたりして練り上げられたモチーフのまとまりは磨かれたキャラクター。かれらの能動の軌跡、構成は物語。いずみたく作品は音楽なのにもっと総合的な創作物に思えてきます。
  • 欧陽菲菲 ラヴ・イズ・オーヴァー 大事なことは頭とお尻と顔に書いてある

    歌詞・曲のこと “わたしはあんたを忘れはしない 誰に抱かれても忘れはしない きっと最後の恋だと思うから Love is over わたしはあんたのお守りでいい そっと心に Love is over 最後にひとつ 自分をだましちゃ いけないよ”(欧陽菲菲『ラヴ・イズ・オーヴァー』より、作詞・作曲:伊藤薫) 曲に描かれた2人には、どんな関係の機微があるのでしょうか。恋の終わりの時期であることは伝わります。離れるのがお互いのために良いかもしれないという空気が2人の間にいつしか漂い始め、それがだんだんと濃くなってきてついにそのことを口に出す時期が来た…そんなところでしょうか。あるいは、もう散々話し合った果てなのか。 “わたし”が“あんた”に対して、別れることを示す態度です。それに対して、“あんた”はどうでしょう。未練があったり、まだ2人は続けられる可能性・希望がある線を捨て切っていなかったりする態

    欧陽菲菲 ラヴ・イズ・オーヴァー 大事なことは頭とお尻と顔に書いてある
    bandshijin
    bandshijin 2021/02/25
    “Love is over”で歌いだし、結ぶ。音程のピークを主題に持たせたうえ、タイトル(顔)も『ラヴ・イズ・オーヴァー』。せつないがきらめきが垣間見える。ペンタトニックを基調に「ペンタ外し」も少々。
  • リンゴ追分 花びらの刹那さ 美空ひばり、UAのカバー

    美空ひばりの『リンゴ追分』 美空ひばりの『リンゴ追分』。1952年に発売した彼女のシングル曲。同年、ラジオドラマ『リンゴ園の少女』(TBSラジオ)の挿入歌として書かれました。作詞:小沢不二夫、作曲:米山正夫。 当初のものはモノラル音源のようです。フルートが目立つイントロ。ウッドブロックのリズム。ピチカートを交えたストリングス。クラリネットが歌パートのメロディをなぞって一緒に動きます。音を伸ばして印象を変えるBパート(“津軽娘は…”の部分)。ピアノが置く和音がしゃれた響きです。ホルン、低域の木管のようなパートも聴こえる気がします。和音の支えを厚くしています。弦+木管五重奏+ピアノ+パーカッションといった感じの伴奏編成でしょうか。 2コーラス目のAパートにあたるところがせりふ。りんご含む種々の花が咲くきれいな季節の描写から転じる、花散らしの雨。亡き母を回顧し、悲しみが重なります。 ホ短調。和音

    リンゴ追分 花びらの刹那さ 美空ひばり、UAのカバー
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    bandshijin 2021/02/24
    絢爛な瞬間は雨にたやすく散らされる。道は無限に分岐する。刹那さがリンゴの花びらに重なる。美空ひばり『リンゴ追分』とUAのカバーに寄せて。
  • リンゴの唄 赤の向こうの味わい

    朗々と明るい響きと表情を終始保って歌っています。体を揺らし、腕を振ります。フィニッシュの“かわいやリンゴ”は上のほうの音域に飛び、堂々のロングトーン。 映像の結尾に「年忘れ にっぽんの歌」と出てきます。時期はいつでしょうか。並木路子は1921年生まれ。彼女の容姿、番組の題字や字幕の雰囲気から察するに1970代後半〜1980年代くらいに放送されたものかと想像します。 頂点と結びで主題の“リンゴ” この曲の短調の歌い出しは、あなたがどんな人であろうと、日の人であれば一度くらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか(あるいは外国の人でも)。 あらためて曲を見つめてみると意外だったのは、曲の冒頭すなわち前奏の部分は長調ではじまっているということです。上にリンクした動画でいえば0:15頃。一度長調の主和音に解決した直後の小節で、同主短調に移っています。C→Cmというコードの動きです。ストリングス

    リンゴの唄 赤の向こうの味わい
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    bandshijin 2021/02/23
    戦後の象徴にされがちな『リンゴの唄』。私は『悲しくてやりきれない』→サトウハチロー→リンゴの唄とたどり、幾度か接触を繰り返して次第に関心が高まりました。ことばと旋律に技巧が凝らされています。
  • ギャランドゥ もんた&ブラザーズの博識と愛

    https://youtu.be/HSWkGTZJ280 西城秀樹の『ギャランドゥ』 西城秀樹の1983年のシングル曲。同年のアルバム『It’s You』にも入っています。 https://youtu.be/NXsshBbfT6E 発表時よりもだいぶ最近のパフォーマンスか。大人な雰囲気の玄人たちの演奏。Bmキーか。当時のセルフカバーから半音下げ(それでもすごい)。 作詞・作曲はもんたよしのり。1980〜1984年頃、もんた&ブラザーズとして活動。 もんたよしのり 声、キー もんた&ブラザーズ『ゴールデン☆ベスト』に入っている『ギャランドゥ』を聴きました。感激したので、ここからはこの演奏について述べます(サブスクや購入などで各々手繰り寄せて聴いていただきたし)。 特徴のある声質がすごいです。ハスキー。存在感、衝撃度。キーが異様に高いです。曲中、上のC(ド)まで用いています。実声といっていいの

    ギャランドゥ もんた&ブラザーズの博識と愛
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    bandshijin 2021/02/22
    西城秀樹が歌いヒットさせた『ギャランドゥ』を追うと、もんた&ブラザーズの音楽の博識と愛に行き当たります。ハスキーでハイトーンなもんた氏の声は異次元。曲中のボーカル音域は意外と1オクターブ内です。
  • ピンキーとキラーズ『恋の季節』“夜明けのコーヒー”に千万の含蓄

    短3度におさまるサビ サビがすごいです。何がすごいと申しますと、音域がほぼ短3度におさまっていることです。多くの場合、ポップスや歌謡のサビといえば盛り上げるもの。盛り上げるための「演出」や「脚」のような要素として、広めの音域を用いて華やかな印象を与えようとするメロディを書きがち(?)かもしれません。ところがこの『恋の季節』のサビといってよさそうな部分では、ソからシ♭の短3度という狭い範囲しかメロディの音程に用いていません(フェイクは除きます。フェイクは装飾的な動きのこととざっくりご理解ください)。音域としては曲中で使用される中で最も高く位置する短3度ですので、声の張り、伸びをたっぷり聴かせることができます。今陽子の魅力をとどろかせる好機なのです。 夜明けのコーヒー “夜明けのコーヒー ふたりで飲もうと あの人が云った 恋の季節よ”(『恋の季節』より、作詞:岩谷時子 作曲 いずみたく) 2

    ピンキーとキラーズ『恋の季節』“夜明けのコーヒー”に千万の含蓄
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    bandshijin 2021/02/21
    “夜明けのコーヒー”とひとことするだけで、その人たちの関係や境遇、状況など想像がどこまでも広がる。なんという名フレーズなのだろう。音域狭いサビは曲中では最も高い音域に位置し、歌声の聴かせどころ。