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  • 細野晴臣『恋は桃色』着床する黴絵

    HOSONO HOUSE 『細野晴臣と彼らの時代』というを買った。先月(2020年12月)の半ば。Twitterで著者のツイートが流れてきて知って、ネットで試し読みをしていいなと思って買った。そこにはある高校生がこのアルバムを購入して繰り返し聴いたというエピソードが書かれていた。その高校生というのも、星野源だった。 『冬越え』という曲についてここ(このブログサイト)で私は書いた。それを収録した『HOSONO HOUSE』は1973年の2〜3月に狭山の米軍ハウスで録られた。細野晴臣の自宅(当時の)である。レコーディング機材をエンジニアの吉野金次がリビングに持ち込んだ。ドラムスやアンプ、ローズピアノを寝室として使っていたベニヤと漆喰の壁の八畳の洋間に運び入れ、そこで収録したという。 このBEIGUN HOUSE…いや米軍ハウスはとっても寒いという。そこでの生活の匂い(のようなもの)が『冬越え

    細野晴臣『恋は桃色』着床する黴絵
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    bandshijin 2021/01/14
    米軍ハウスで宅録された『HOSONO HOUSE』。『冬越え』『恋は桃色』…着床してひろがった黴の菌糸みたいにこう、私の心に棲んでいるの細野晴臣の音楽。
  • 石崎ひゅーい『シーベルト』を聴いたふたつの夜

    石崎ひゅーい『シーベルト』 この曲と私が出会ったのは、代々木のライブハウスだった。あるオールナイトイベントにちょっと出演するのを兼ねて参加した。 そのとき、そのイベントの主宰者だった音楽関係者の人が、ちょうどその時期リリースしたてだった石崎ひゅーいのファーストアルバム『独立前夜』収録の『シーベルト』を一晩中リピートしてかけ流していた。 この曲が彼のいちおしだったのだろう。主宰の彼は私に、曲中のことばを借りて 『お前に※母ちゃんのほうれん草いてぇなぁって言えんのか?』 (※“神様なんか信じないよ 美味しいもんいっぱいべたいな 寿司くいてぇな 母ちゃんが作ったほうれん草のおひたしがいてぇなああ”『シーベルト』より、作詞・作曲:石崎ひゅーい…という歌詞) と絡まれた。彼は酔っぱらっていた。初対面だったし、なんかイラっとした。けど『シーベルト』は一晩中聴いてテンションぶち上げるのにおあつらえ

    石崎ひゅーい『シーベルト』を聴いたふたつの夜
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    bandshijin 2021/01/13
    7年前ライブハウスのオールナイトイベントでヘビロテして聴いた石崎ひゅーい『シーベルト』を再度堪能。彼の歌、ことばとアレンジメントを客観と無心で聴く。これがまたいい。
  • 小山田壮平『恋はマーブルの海へ』とRayonsのシンセサウンド、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の伏線

    小山田壮平が配信シングルをリリース。 テレビ東京ドラマ25『直ちゃんは小学三年生』エンディングテーマ。初回放送日が配信日でした。 一聴して感じるきらめき、絢爛さ。素敵です。 鉄琴のようなオルゴールのような金属的な芯を感じさせるトーンのメロディが間奏や歌のバックに入ります。ポルタメントする厚みのあるシンセ音がウィンウィンと唸ります。ストリングスのサンプリング音のような? オルガンのようなトーンも左のほうから……といった具合に、シンセ(鍵盤類?)の音作り豊か。 Bass:藤原 寛 Guitar:濱野夏椰 (Gateballers) Drums:久富奈良 (Gateballers、ナツノムジナ) Synthesizer:Rayons Recording & Mixing Engineer:佐藤雅彦 (mixmix.) Mastering Engineer:中村宗一郎 (PEACE MUSIC)

    小山田壮平『恋はマーブルの海へ』とRayonsのシンセサウンド、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の伏線
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    bandshijin 2021/01/12
    小山田壮平、恋はマーブルの海へ。シンセを取り入れた音作りの広がり、心象風景が聴き手を映す歌詞。ドラマ、直ちゃんは小学三年生の台本を読み発想したとのこと。彼の作曲と、周りとの関わりが気持ちいいポップに。
  • 大江千里『格好悪いふられ方』 多重人格のポップソング

    原曲音源よりも半音低い調で歌っている 大江千里の『格好悪いふられ方』を私が認知したのはドラマ『モテキ』だった。2010年の放送が2011年に再放送されているのを見た(確か)。 ドラマの進行に合った選曲? で、「イイ音楽」がたくさん劇中に使われている。主題歌のフジファブリックの『夜明けのBEAT』もこのドラマで繰り返し聴いて好きになった。とにかく主演の森山未來がよく走るドラマだった記憶(『夜明けのBEAT』MVにも彼が出演して走っていたように憶えている)。 大江千里『格好悪いふられ方』は第1話で用いられた様子(Wikipedia)。 音楽 イントロ。A♭キー基準で見たら|Ⅳ→Ⅴ|Ⅵm|とⅣからⅥに向かって上行していくパターン。トニックにⅥmを多用してエモーショナルな雰囲気。あるいはFm調? AメロはA♭調でトニックにⅥmを使っているとも思ったけど、Fm調だろうか。CmではなくC(C7)のコー

    大江千里『格好悪いふられ方』 多重人格のポップソング
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    bandshijin 2021/01/11
    長短の和音が入り混じる。割り切れた明るさ、未練や回顧を感じさせもする。音楽と言葉の振れ幅が大きく魅力。異質な要素が調和・協調してもいる。まるで多重人格のポップソング。大江千里『格好悪いふられ方』
  • 槇原敬之『遠く遠く』と『どんなときも。』 通底する意志

    夏に味わった『どんなときも。』 夏頃(2020年)に、槇原敬之の『どんなときも。』を味わいました。ここでいう「味わう」とは、聴いたり、聴き込んで曲の特徴を抽出して自分で弾き語ってみたりするという方法で鑑賞することをいいます。 「聴いた上で、弾き語る」は、その曲を私の心に深く根をおろすものにする積極的な方法のひとつです。 自分で好きな曲を弾き語る体験は、オリジナルとなるアーティスト、たとえば槇原敬之が一般にどういう存在なのかとか、同様に『どんなときも。』という曲がどういう背景を持って生まれたものなのかといったこととは別に生じる固有の記憶です。 何が言いたいかと言いますと、私は槇原敬之やその楽曲について正しく詳しい具体的な背景などの情報を持ちませんが、曲に触れ、想像を膨らますことができるのです。 それはもちろん、どなたについても同じことが言えるのかもしれません。 そんなわけで、ただ雑然とした現

    槇原敬之『遠く遠く』と『どんなときも。』 通底する意志
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    bandshijin 2021/01/10
    「遠さ」「隔たり」は最近の私が頻繁に意識する概念でもあります。『遠く遠く』『どんなときも。』の本質には、望むほうへ向かい、努め、成そうとする意志、変化し、高め、良くなって行こうとする情熱を感じます。
  • ビートたけし・玉置浩二『嘲笑』 星を讃える、気持ち揺さぶる歌声

    遠いのは気というより星 こちらによれば、「アンドロメダ銀河は地球上から肉眼で見える最も遠い天体」だそう。その地球からの距離はWikipediaによれば254万光年。 目で見える星の中には、最も古くて254万年前の姿を今の私に届けているものがあるということ。光のはやさで急行しても254“万”年かかる距離とは「気が遠くなる」という表現ではもはや足りない。(あるいは、私が「気」を過小評価している?) 北野武・玉置浩二『嘲笑』 ビートたけし『嘲笑』。彼の歌がなぜこうも気持ちを揺さぶるのか。歌の上手さとは何か考えを改めるきっかけをくれる。 “百年前の人 千年前の人 一万年前の人 百万年前の人 いろんな人が見た星と 僕らが今見る星と ほとんど変わりがない それが嬉しい”(『嘲笑』より、作詞:北野武、作曲:玉置浩二) 百光年はなれたところにある星の姿は、百年前に存在した地球人と同時代に存在していたときの

    ビートたけし・玉置浩二『嘲笑』 星を讃える、気持ち揺さぶる歌声
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    bandshijin 2021/01/09
    シンプルなのでカデンツ(音楽における句読点)に目がいく。素直な曲づけ。純朴。歌詞が際立つ。玉置浩二の歌唱力については賞賛する声が星の数。ビートたけしの視点に共感と感心。
  • 泉谷しげる『春夏秋冬』 風のおしくらまんじゅう

    高田渡を知った。西岡恭蔵『プカプカ』を聴いた。関西あたりのフォークミュージックが盛り上がった時代のことなどについても多少知った。 関西フォークとは違う流れかもしれないけれど、1970年代フォークのつながりでネットを泳いでいて出会ったのが泉谷しげる『春夏秋冬』。 泉谷しげるというと、「怒り親父」的なテレビタレントとしてのキャラクターを私はまず思い浮かべる。その知識でいたから『春夏秋冬』の嘆き、つぶやくような平静な歌い方が意外だった。 これまでの私の中の泉谷像に近いのはこちら。 ギターをジャカジャカとかき鳴らし「ィエーーーーーー」と歌う。 歌詞 歌詞に引き込まれた。 “季節のない街に生まれ 風のない丘に育ち 夢のない家を出て 愛のない人に会う”(『春夏秋冬』より、作詞・作曲:泉谷しげる) “季節のない街”とは都市の喩えか。私の生まれ育った街は東京。都心へのアクセスにほどほどに便利なベッドタウン

    泉谷しげる『春夏秋冬』 風のおしくらまんじゅう
    bandshijin
    bandshijin 2021/01/08
    「怒り親父」的なこれまでの私の泉谷しげる像は一転し、静かなる風と詩の人に変わった。同時から、その奥に熱を秘めていたのかもしれない。『春夏秋冬』。
  • 高田渡『値上げ』 ある政治家の変化

    『値上げ』『生活の柄』『銭がなけりゃ』。 高田渡の曲を短期間につづけて味わっているこのところの私。 スリーコード 私はコード進行が大好きだ。 好きというのもヘンかもしれない。 コード進行に寄せる関心が強い。 先に上げた、高田渡の3曲。 これらはすべて、たった3つのコードでできている。 いわゆるスリーコードというもの。 和音分析好きっぽく表すとⅠ、Ⅳ、Ⅴである。 それぞれにトニック、サブドミナント、ドミナントという機能がある。 トニック(Ⅰ)は安定、ドミナント(Ⅴ)は不安定。サブドミナント(Ⅳ)はやや不安定。 安定(Ⅰ)を出発して、安定(Ⅰ)に帰りたくなる。 安定と安定(ⅠとⅠ)の間には、不安定(Ⅴ)や「やや不安定(Ⅳ)」が入る。 それで音楽がつくれるのですよ(誰)。 コード分析好きをしていると、コードがいかに幅広く複雑かということに目が(耳が)行きがち。でも、このスリー・コードをいかにつか

    高田渡『値上げ』 ある政治家の変化
    bandshijin
    bandshijin 2021/01/07
    高田渡『値上げ』は葛藤の歌なのだ。「値上げ」しても「値下げ」しても、誰かが誰かの何かを肩代わりするだけなのだろう。それは、まわりまわって未来の自分かもしれない。
  • 西岡恭蔵『プカプカ』 漂う煙とすれ違うように

    ここ数日、私の音楽鑑賞の焦点が高田渡に集中していた。彼を聴いたり、曲のもつ歌詞やコードを書き取ってみたり、自分で歌ってみたりした。そんな様子をここのブログに書いてSNSでシェアした。 そうしたら、ある反響をもらった。こんな曲はいかがと。それは西岡恭蔵『プカプカ』だった。 どこかで耳にしたことのある曲だった。西岡恭蔵人の音源かもしれないが、誰かのカバーやコピーだったかもしれない。「これを聴くぞ」と意志を持って聴いたのは初めてだった。 タバコ、スウィング(音楽、歌?)、男、占い……これらを好きな女性っていそうだ。目にあまって「やめなよ」って言ってもああだこうだ言って「やめない」。あるいは、そのときだけやめた風にして結局続けている。ああ、当に、私の身近にもこんな人がいそう。 一方で、「私とはお関わり合いのなさそうな女性像だな」というのも正直なところである。タバコだとか男だとか占いだとか歌や音

    西岡恭蔵『プカプカ』 漂う煙とすれ違うように
    bandshijin
    bandshijin 2021/01/06
    安田南という実在の女性をモチーフにしているらしい。その人はきっと、いろんな人の中にいる。「誰かの歌った、ナントカって曲…ありふれてるのに具体的で、なんかいい曲なんだよね」と私の胸の内の誰かがこぼす。
  • 高田渡『銭がなけりゃ』 眺める東京

    27:41〜『銭がなけりゃ』 イントロの「ぱんころみゃんみゃん」と軽やかで妙味ある演奏は岩井宏によるバンジョー。石田順二のフィドルが上に上にと音程をずり上げ、重音を聴かせる。はっぴいえんどの4人がベーシックに参加。コーラスには遠藤賢司も。複数で歌っていて1オクターブ上にも聴こえる。加川良、バンジョーの岩井氏、はっぴいの4人もコーラスに参加。「生ギター」は中川イサト。(出典:高田渡『ごあいさつ』CDジャケット背面) 歌の質感はフォーク(私の抱くフォークのイメージ自体、高田氏が与えた影響によるものかも)なのだけれど、マージー・ビートといっていいのかモータウンとでもいうのか、外国由来の「はっぴい勢」のファンキーなリズム&ブルースというのか新しいロックというのかそのスタイルの融合を感じる。これが美味しくて仕方がなくて、私の語彙が足らなくてもどかしいのだけれどとにかくヨダレが出てしかたない音楽だ。協

    高田渡『銭がなけりゃ』 眺める東京
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    bandshijin 2021/01/05
    東京にみんなが押し寄せたのが高度経済成長期(それに向かっていく頃)像。個人や社会の真実を切り取って描く音楽を「フォーク」の性格だと後の人が認めるきっかけをつくった一人が、これ高田渡かもしれない。
  • 矢野顕子『ひとつだけ』 ソングライターは霊媒 〜忌野清志郎と響く歌〜

    矢野顕子『ひとつだけ』を、私は忌野清志郎との共演バージョンでYouTubeで見て知った。 音楽友達と飲んでいるときに、こんなものがあるよとこの曲を教えてもらった。音楽友達には私の知らない音楽をあれもこれも教えてもらっている。音楽の原野で私はいつも生まれたての子鹿だ。か細く震えながら必死で立ち生きていこうとしているが、こうして友達に助けられながら情熱を保ってどうにか歩いている。 ひとつだけ with 忌野清志郎 https://youtu.be/rJcQf1SfDRM 重複になるが、私が最初にこの曲を知ったバージョンがこれ。矢野顕子30周年時に発売した入門者向けアルバム『はじめてのやのあきこ』(2006)収録。『矢野顕子、忌野清志郎を歌う』(2013)にも同一音源(リマスター)を収録。 くどいようだが、忌野清志郎との共演版で私はこの曲を知ったので、初めて聴いた時は彼との共作かと思った。それく

    矢野顕子『ひとつだけ』 ソングライターは霊媒 〜忌野清志郎と響く歌〜
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    bandshijin 2021/01/04
    コード進行、複雑なのだけれどとても奔放に、メロディや音楽が行きたがるほうに導いている。さすが。理屈をのアタマを愛嬌もって笑ってくれているようでもある。矢野が愛で愛が矢野だ…なんて言ってみたくなる。
  • 沢田研二『TOKIO』 糸井重里と母と女

    フォークソング部の友達が好きだった『TOKIO』 高校生のときに私はフォークソング部に所属した。部室に好きな時に行くと、そこにはアコースティック・ギターが大量にしまってあるスチール・ロッカーがあって、電話帳みたいに分厚い歌がそこここに積んであった。 ロッカーの中のギターから好きな1を取り出して、好きに弾いて歌う。「部」なのだけれど、大学のサークルのような自由でつかみどころのないふわふわとしたコミュニティだった(一応、文化祭などで定期的な発表の機会はあったからそれが「部らしさ」の砦だったかもしれない)。 そのフォークソング部員の中には「懐メロ好き」を自認する友人がいた。その人が沢田研二の『TOKIO』を好きだと言って歌っていたのを覚えている。 ほぼ日 私はここで毎日音楽をネタにブログを書くようになって半年以上経つ。それより前には、糸井重里が主宰(というか社長)の「ほぼ日」サイトをネタに毎

    沢田研二『TOKIO』 糸井重里と母と女
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    bandshijin 2021/01/03
    仮想と理想と現実の入り交じった「TOKIO(東京)」。モチーフには「女」、「母性」もきっと。「TOKIO」のどこかに私は眠り、あなたもそのどこかで目を覚ます一人。「TOKIO」は、現実の東京のみにあるとも限らない。
  • 高田渡『生活の柄』 野のなかの屋

    高田渡を私が知ったのは、音楽を知るツールとしてYouTubeを使いはじめてからだった。いまの自分の人生を二分したら後半に分類できる。 小学生〜中学生くらいの頃の私は、平凡に同級生の多くが知るようなJ-POPに触れて育った。 高校生になって軽音楽部でバンドをやるようになって、海外のバンドやインディーズロックも聴いたがフォークに深い理解を築くには至らなかった。ボブ・ディランのフォークへの位置付けが許されるのであれば、知っていてせいぜい『Like a Rolling Stone』。当時気に入って聴いていた黄色いコンピ(※)に入っていた。 浪人を経て音楽大学に入ると、音楽を聴くよりも毎週の実技レッスンに備えてピアノや声楽を練習し日々の授業を消化するので時間は過ぎた。この時期より前、すでに私は自分で作曲して多重録音するようになっていた。音楽を聴くよりも「やる専門」になってしまっていた。それでは「片輪

    高田渡『生活の柄』 野のなかの屋
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    bandshijin 2021/01/02
    野宿は、現在の私にとっては非日常。でも、それが日常である人もいる。私やあなたの日常と非日常は、いつ反転しないとも限らない。そこに普遍性がある気がしている。高田渡『生活の柄』について考える。
  • サザンオールスターズ『真夏の果実』 弱起の愛歌

    私は『真夏の果実』を高校生のときにサザンオールスターズのベストアルバム『海のYeah!!』で聴いた。それよりも前にメディアへの露出で1度や2度や3度くらいは聴いて知っていたと思う。 それから大学生のときに手にした斉藤和義の『紅盤』でBONNIE PINKとのコラボーレションでカバーの『真夏の果実』を聴いた。 どんな風に調理しても美味しいのか、この名曲は。 稲村ジェーン 『稲村ジェーン』という映画があると知ったのは最近のこと。 岩崎良美『タッチ』やKinKi Kids、吉田拓郎『全部抱きしめて』の作詞者が康珍化だと知り、彼について調べていると『稲村ジェーン』という映画の脚も担当しているとわかる。 その映画の監督は桑田佳祐。…エッ、映画も撮っていたとは。熱心なファンに「知らなかったの?」と呆れられるだろうか。 桑田佳祐は監督のみならず、音楽、サザンオールスターズとして主題歌も担当している。そ

    サザンオールスターズ『真夏の果実』 弱起の愛歌
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    bandshijin 2021/01/01
    桑田氏は楽譜で音楽を考えないはず。気持ちの良い動機、流れを選び取っていると思う。その正直で誠実な感性が、この「『真夏の果実』を構成するパートすべて(A、Bメロ、サビ)を弱起にする」という結果を生んだ。
  • B’z『いつかのメリークリスマス』 宝箱の中の回想

    はじめに B’z『いつかのメリークリスマス』はミニアルバム『FRIENDS』(1992)に収録されている。未シングル化作品。人気のある曲で、クリスマスシーズンの度に動き、またそれ以外のシーズンにおいてもカラオケで動くという。私もB’zのことを思うと真っ先に思い出す曲のひとつ。 歌詞 情景と抽象の対比 映像を想起させる、情景描写のヒラウタ。対してサビではやや抽象的になり、お互いを引き立てている。そのままドラマの脚になりそう。 『FRIENDS』と『いつかのメリークリスマス』 創意と試みの一端 全体でひとつのストーリー性を持つように書かれた楽曲群がミニアルバム『FRIENDS』であり、『いつかのメリークリスマス』はその中の1シーンを担うものだという。「いつかの」とタイトルにあるところからも、ある年のクリスマスを「回想」した情景や登場人物(の主観)でつづられた1曲。全体のテーマならびにあてがわ

    B’z『いつかのメリークリスマス』 宝箱の中の回想
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    bandshijin 2020/12/31
    B’zの大ファンだった同級生と一緒に楽しんだ『B´z The Best Treasure』。『いつかのメリークリスマス』は私の思い出の1曲。情景描写のヒラウタとサビの抽象が際立つ歌詞。コード進行も相まる。サビ頭の主和音がキマっている
  • ゆず『嗚呼、青春の日々』 三つ目の世界

    サウンドリスニングメモ イントロのキメ。エレクトリック・ギター&ベース、アコースティック・ギター、ドラムスのフロアタム&スネア。シンプルかつ強烈に轟くトリプレットリズム。岩沢厚治のハーモニカが鋭く揺れ鮮やか。 オルガンがさりげなく主要なサウンドの背面をオレンジ色に染める。ピアノやリードギターの合いの手(オブリガード)も入る。ストリングスのキレが良くドライな響き。曲想をビショビショにすることなく、ボーカルの胸熱な表現をブーストしていて好感。エレクトリックギターやピアノがストリングスと共にズンと響く私の好きなサウンドのリファレンスは例えばOasisだ。 ギターは両側にダブってあり演じ分けられていてオブリガードは主に左寄りの定位。ピアノのオブリガードは右寄りで左右のバランスを取っている。1、2回目のサビ前や2度目のBメロ前などのギターのグリッサンドは両側から聴こえて臨場感と高揚を煽る。 2度目の

    ゆず『嗚呼、青春の日々』 三つ目の世界
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    bandshijin 2020/12/30
    あえてサウンドに注視。当時のゆずの挑戦、新しい1歩を踏み出す姿勢が歌に重なる。“俺もそのうち行くけどさ”(ゆず『嗚呼、青春の日々』より、作詞・作曲:北川悠仁)とも言っている。今はまだ、道半ばなのだ。
  • 『友だちはいいもんだ』音楽のバトン 劇団四季のミュージカル『ユタと不思議な仲間たち』ほか

    『友だちはいいもんだ』サブスクで出会い直し 音楽のサブスクリプションサービスに、関連があったり好みが近いと思われる曲を延々と再生し続ける機能があって、それをよく使う。 童謡が好きで検索して聴くこともあるせいか、自動でプレイされた曲が『友だちはいいもんだ』。 小学生のときに授業でつかっていた歌教育芸術社『歌はともだち』)にも載っていて、曲の記憶がよみがえる。 岩谷作品・三木作品 作詞者が岩谷時子、作曲者が三木たかし。 三木たかし作曲で私が真っ先に思い出すのが『アンパンマンのマーチ』。作詞は『アンパンマン』原作者のやなせたかし。ダブルたかし作と覚えている。大好きな曲。 『友だちはいいもんだ』作詞者、岩谷時子のほかの作品に注目。いずみたく、筒美京平など私の気になる作曲家との共作があって、私が深掘りしたくなる世界が広がっている。三木たかしとの共作も他にもあるもよう。 『友だちはいいもんだ』『ユ

    『友だちはいいもんだ』音楽のバトン 劇団四季のミュージカル『ユタと不思議な仲間たち』ほか
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    bandshijin 2020/12/29
    劇団四季のミュージカル『ユタと不思議な仲間たち』劇中歌、『友だちはいいもんだ』と出会い直したことで、その分野(ミュージカル)にも急に関心が湧いてきた。
  • ハナレグミ『家族の風景』 キッチンから、言葉と響きの芽吹き

    キッチンは生活の象徴。家族の生命を養う源泉地。それでいて、複数の人数が立つには狭い。だから、ばらばらに、入れ替わりながら誰かがそこに居る。 親父が換気扇の下で吸ったタバコの箱。残った氷が溶けた水が溜まった、飲みっぱなしのウイスキーのグラス。母親と料理の関係を絵にすると、そこにはついフライパンを描き込みたくなるかもしれない。 僕はといえば……家族の目を忍んでこっそりと冷蔵庫を漁りっては何かを口に入れてみたり、収納棚から出してきたお菓子を腹の中に隠して持ち出してみたり。時間を棲み分けて、ばらばらに家族の姿があるのがキッチンの風景にありがちだ(もちろん誰かと誰かが同時に立つ機会もあるだろう。ちょっと特別で、貴重な機会かもしれない)。 家族は、1番すべてをお互いに把握している間柄のようでいて、1番基的なことさえも知らない間柄。毎日決まった時間にだいたい誰かが居る。帰ってはまた出て行く場所。家族と

    ハナレグミ『家族の風景』 キッチンから、言葉と響きの芽吹き
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    bandshijin 2020/12/28
    ハナレグミ『家族の風景』。9th、7th、4th、和声・非和声音間の出入り。メロディの横の動きは家族一人ひとりそのもの。響き合い、あるいは自立の様相みな含めて、「家族の風景」。なんていい歌なのか。
  • Weezer『Island In The Sun』 地続きの孤島

    高校生のとき、よくTSUTAYAでCDを借りた。旧作5枚1000円/1週間レンタルというサービスがあった。それで気になったものを適当に借りてくる。洋楽を借りることが多かった。ジャケットで気になったものを適当に手に取った。店に来る前から借りたいと思っていたものを手に取ることも、もちろんあった。 Weezer『Island In The Sun』 Weezerをどうやって知ったのか忘れてしまった。ジャケ買いならぬジャケ借りで知ったんだったか。 数枚聴いた中でこの『Island In The Sun』の入った『Weezer (Green Album)』がとても好きだった。10曲入って30分未満。なんてコンパクトな。 歌、リフ。エレキギターがガツン、歌メロ模倣のギターソロにキュン。これらがあれば私は十分。ほかに余計なものはいらない! とでも言いたくなる。私のツボを押してくる。 グリーン・アルバムの

    Weezer『Island In The Sun』 地続きの孤島
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    bandshijin 2020/12/27
    陸続きにisland(孤立、孤独、隔絶、夢想、至福、etc…)は存在。そこここ、至るところに。歌メロディが美しい。Weezerの音楽には私の国のある時代のポップソング、あるいは童謡に通ずるメロディセンスがあると思う。
  • 世界中のこどもたちが 空と海をつなぐ歌

    Ⅰ→ⅢMの用例 「Ⅰ→ⅢMの用例」がどういうことかはこちらをご覧いただきたい(それでも説明が至らないかもしれないが)。 Ⅰはすなわち主和音。で、Ⅲはⅲ上につくった和音のことなのだけれど、その和音はふつうマイナーの和音になる。ハ長調でいえばⅲはミなので、ミのうえにつくる和音はミソシ。ミとソのあいだが短3度。ソとシのあいだは長3度。すなわちこれ、短3和音なのである。 そこで、短じゃなく長、すなわち最初のミとソの間隔が広くなるようにソに♯をつけてしまえばⅢMのできあがり。 でもⅢM(Ⅲ7)はソを上方変位させてできたというよりは、他の調から借りてきた属和音なのだ。他の調は何かと言えば、ハ長調にとってのⅥ度調、イ短調である。ドミソを主和音にしたときの属和音がソシレであるように、ラドミ(ドが♯でもいい)にとっての属和音はミソ♯シなのだ。このミソ♯シこそが、ハ長調におけるⅢMなのである。 和音の話になる

    世界中のこどもたちが 空と海をつなぐ歌
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    bandshijin 2020/12/26
    トリプレットのマーチ調が元気な印象。「せかいじゅうー」が順次進行なのに対して「そらも」「ラララ」は同音連打。この「ラララ」は重要。「そら」と「うみ」をつなぐ「歌」である。『世界中のこどもたちが』