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bandshijinのブックマーク (274)

  • 太陽がくれた季節 いずみたくメロディの魅力

    青い三角定規が歌い、1972年にシングルリリースした『太陽がくれた季節』。 いずみたくのメロディの魅力 私はいずみたく作品のすっかりファンです。私が書いているこのブログサイトの虫めがねマークのところに“いずみたく”と入れて検索することでヒットする関連記事も増えつつあります。『手のひらを太陽に』『見上げてごらん夜の星を』『ゲゲゲの鬼太郎』『いい湯だな』『恋の季節』全部いずみたく作品です。歌をぱらぱらめくっていていずみたくの名前を見つけたり、ネットで検索していて知っている曲名に出会ったと思ったらそれもいずみたくの作だとわかったりしたときには「これもかぁ!」と異常な興奮を覚えるほどになってしまいました。それほどに私の世界はそこら中がいずみたくなのです。 いずみたく作品の、何が私はそんなに好きなんだろう。その謎を明かす要因かわかりませんが、思うことがあります。いずみたく作品の歌メロディを譜面に起

    太陽がくれた季節 いずみたくメロディの魅力
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    bandshijin 2021/02/26
    ばらばらにしたり、くっつけたり、混ぜたりして練り上げられたモチーフのまとまりは磨かれたキャラクター。かれらの能動の軌跡、構成は物語。いずみたく作品は音楽なのにもっと総合的な創作物に思えてきます。
  • 欧陽菲菲 ラヴ・イズ・オーヴァー 大事なことは頭とお尻と顔に書いてある

    歌詞・曲のこと “わたしはあんたを忘れはしない 誰に抱かれても忘れはしない きっと最後の恋だと思うから Love is over わたしはあんたのお守りでいい そっと心に Love is over 最後にひとつ 自分をだましちゃ いけないよ”(欧陽菲菲『ラヴ・イズ・オーヴァー』より、作詞・作曲:伊藤薫) 曲に描かれた2人には、どんな関係の機微があるのでしょうか。恋の終わりの時期であることは伝わります。離れるのがお互いのために良いかもしれないという空気が2人の間にいつしか漂い始め、それがだんだんと濃くなってきてついにそのことを口に出す時期が来た…そんなところでしょうか。あるいは、もう散々話し合った果てなのか。 “わたし”が“あんた”に対して、別れることを示す態度です。それに対して、“あんた”はどうでしょう。未練があったり、まだ2人は続けられる可能性・希望がある線を捨て切っていなかったりする態

    欧陽菲菲 ラヴ・イズ・オーヴァー 大事なことは頭とお尻と顔に書いてある
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    bandshijin 2021/02/25
    “Love is over”で歌いだし、結ぶ。音程のピークを主題に持たせたうえ、タイトル(顔)も『ラヴ・イズ・オーヴァー』。せつないがきらめきが垣間見える。ペンタトニックを基調に「ペンタ外し」も少々。
  • リンゴ追分 花びらの刹那さ 美空ひばり、UAのカバー

    美空ひばりの『リンゴ追分』 美空ひばりの『リンゴ追分』。1952年に発売した彼女のシングル曲。同年、ラジオドラマ『リンゴ園の少女』(TBSラジオ)の挿入歌として書かれました。作詞:小沢不二夫、作曲:米山正夫。 当初のものはモノラル音源のようです。フルートが目立つイントロ。ウッドブロックのリズム。ピチカートを交えたストリングス。クラリネットが歌パートのメロディをなぞって一緒に動きます。音を伸ばして印象を変えるBパート(“津軽娘は…”の部分)。ピアノが置く和音がしゃれた響きです。ホルン、低域の木管のようなパートも聴こえる気がします。和音の支えを厚くしています。弦+木管五重奏+ピアノ+パーカッションといった感じの伴奏編成でしょうか。 2コーラス目のAパートにあたるところがせりふ。りんご含む種々の花が咲くきれいな季節の描写から転じる、花散らしの雨。亡き母を回顧し、悲しみが重なります。 ホ短調。和音

    リンゴ追分 花びらの刹那さ 美空ひばり、UAのカバー
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    bandshijin 2021/02/24
    絢爛な瞬間は雨にたやすく散らされる。道は無限に分岐する。刹那さがリンゴの花びらに重なる。美空ひばり『リンゴ追分』とUAのカバーに寄せて。
  • リンゴの唄 赤の向こうの味わい

    朗々と明るい響きと表情を終始保って歌っています。体を揺らし、腕を振ります。フィニッシュの“かわいやリンゴ”は上のほうの音域に飛び、堂々のロングトーン。 映像の結尾に「年忘れ にっぽんの歌」と出てきます。時期はいつでしょうか。並木路子は1921年生まれ。彼女の容姿、番組の題字や字幕の雰囲気から察するに1970代後半〜1980年代くらいに放送されたものかと想像します。 頂点と結びで主題の“リンゴ” この曲の短調の歌い出しは、あなたがどんな人であろうと、日の人であれば一度くらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか(あるいは外国の人でも)。 あらためて曲を見つめてみると意外だったのは、曲の冒頭すなわち前奏の部分は長調ではじまっているということです。上にリンクした動画でいえば0:15頃。一度長調の主和音に解決した直後の小節で、同主短調に移っています。C→Cmというコードの動きです。ストリングス

    リンゴの唄 赤の向こうの味わい
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    bandshijin 2021/02/23
    戦後の象徴にされがちな『リンゴの唄』。私は『悲しくてやりきれない』→サトウハチロー→リンゴの唄とたどり、幾度か接触を繰り返して次第に関心が高まりました。ことばと旋律に技巧が凝らされています。
  • ギャランドゥ もんた&ブラザーズの博識と愛

    https://youtu.be/HSWkGTZJ280 西城秀樹の『ギャランドゥ』 西城秀樹の1983年のシングル曲。同年のアルバム『It’s You』にも入っています。 https://youtu.be/NXsshBbfT6E 発表時よりもだいぶ最近のパフォーマンスか。大人な雰囲気の玄人たちの演奏。Bmキーか。当時のセルフカバーから半音下げ(それでもすごい)。 作詞・作曲はもんたよしのり。1980〜1984年頃、もんた&ブラザーズとして活動。 もんたよしのり 声、キー もんた&ブラザーズ『ゴールデン☆ベスト』に入っている『ギャランドゥ』を聴きました。感激したので、ここからはこの演奏について述べます(サブスクや購入などで各々手繰り寄せて聴いていただきたし)。 特徴のある声質がすごいです。ハスキー。存在感、衝撃度。キーが異様に高いです。曲中、上のC(ド)まで用いています。実声といっていいの

    ギャランドゥ もんた&ブラザーズの博識と愛
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    bandshijin 2021/02/22
    西城秀樹が歌いヒットさせた『ギャランドゥ』を追うと、もんた&ブラザーズの音楽の博識と愛に行き当たります。ハスキーでハイトーンなもんた氏の声は異次元。曲中のボーカル音域は意外と1オクターブ内です。
  • ピンキーとキラーズ『恋の季節』“夜明けのコーヒー”に千万の含蓄

    短3度におさまるサビ サビがすごいです。何がすごいと申しますと、音域がほぼ短3度におさまっていることです。多くの場合、ポップスや歌謡のサビといえば盛り上げるもの。盛り上げるための「演出」や「脚」のような要素として、広めの音域を用いて華やかな印象を与えようとするメロディを書きがち(?)かもしれません。ところがこの『恋の季節』のサビといってよさそうな部分では、ソからシ♭の短3度という狭い範囲しかメロディの音程に用いていません(フェイクは除きます。フェイクは装飾的な動きのこととざっくりご理解ください)。音域としては曲中で使用される中で最も高く位置する短3度ですので、声の張り、伸びをたっぷり聴かせることができます。今陽子の魅力をとどろかせる好機なのです。 夜明けのコーヒー “夜明けのコーヒー ふたりで飲もうと あの人が云った 恋の季節よ”(『恋の季節』より、作詞:岩谷時子 作曲 いずみたく) 2

    ピンキーとキラーズ『恋の季節』“夜明けのコーヒー”に千万の含蓄
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    bandshijin 2021/02/21
    “夜明けのコーヒー”とひとことするだけで、その人たちの関係や境遇、状況など想像がどこまでも広がる。なんという名フレーズなのだろう。音域狭いサビは曲中では最も高い音域に位置し、歌声の聴かせどころ。
  • チューリップ『心の旅』感情と旋律の大波小波

    財津和夫 チューリップといえば財津和夫で、財津和夫といえば彼がソロでもやっている『切手のないおくりもの』が好きだ。チューリップ(バンド)といえば財津和夫(フロントマン)と私が言ってしまうくらいに、強い独創性とリーダーシッ プを持ったシンガーソングライターだと思う。コード、メロディ、リズムを音楽の3要素とすることがある。それに歌詞をくわえて、これらの要素の独創性や平衡感覚が素晴らしいと思える音楽にひとつでも多く出会いたいし、私自身生み出したいと思っている。その鑑のような人物のひとりが財津和夫で間違いない。 飛翔のサビメロ 『心の旅』はチューリップの代表曲のひとつだと私は思っているし、これを読んでいるあなたもうなずいてくれる可能性があるだろう。“ああだから今夜だけは”で始まるメロディの上行が素晴らしいと思う。サビをドアタマに持ってきて強起している。かなりの人がこの音の記憶を深く刷り込むのではな

    チューリップ『心の旅』感情と旋律の大波小波
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    bandshijin 2021/02/20
    チューリップ『心の旅』。サビの飛翔メロディやAメロのそれとの対比、鉄則を思わせるコード進行とベース旋律やボーカル旋律の上下行、歌詞の別れと希望が醸す種々の大波・小波。
  • 加山雄三『君といつまでも』 しとねって何?

    憧れの男性のシンボル、加山雄三 私が生まれる(1986年)よりずっと前からある加山雄三のヒット曲、『君といつまでも』。加山雄三を思い出す時、同時に思い出す曲がこれである。彼の代表作のひとつといって間違いない。 ある動画共有サービスで見つけたずっと昔のライブ演奏の映像は、曲が最初に発表された1960年代後半頃の彼の人気ぶりをうかがわせるもので、熱烈な聴衆の黄色い声援が入っていた。特に間奏のせりふのパフォーマンスに対する女性観客らのリアクション(声)には、加山雄三が男性として魅力的なシンボルだった事実をずっと後の私に知らしめるのに十分だ。 しとねって何 “君はそよかぜに髪を梳かせて やさしくこの僕のしとねにしておくれ” (『君といつまでも』より、作詞:岩谷時子 作曲:加山雄三) 「しとね」とはふとん(布団)のことである。この言葉を私はこの曲で初めて聞いて知った。ちょっと気になったのは、“この僕

    加山雄三『君といつまでも』 しとねって何?
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    bandshijin 2021/02/19
    トリプレットのストロークと満ち引きするメロディが海のように雄大なラブソング。作詞は岩谷時子で私の記憶では『友だちはいいもんだ』がうかぶ。純心と理想の極致。しとねは布団。
  • 『スーダラ節』と『おどるポンポコリン』と『明日があるさ』 無根拠でテキトーな吉兆

    先日このブログで『おどるポンポコリン』について書いた。 植木等らクレージーキャッツが歌唱・演奏した『スーダラ節』は、さくらももこの憧れの曲だったのかもしれない。彼女のエッセイ中で「いつかああいう歌を作りたい」、「その夢をすてずに作った曲」が『おどるポンポコリン』であるとされている場面があるそうだ(Wikipedia)。 確かに、ふたつの曲『おどるポンポコリン』と『スーダラ節』は私に猛烈に共鳴を感じさせる要素がある。それはなんといってもサビだ。 B.B.クィーンズ『おどるポンポコリン』 このように、意味のない音声がサビのほとんどを占める。なんということだろう。この国を中心に巨大なヒットとなった曲の、心臓ともいえる大事な部分、サビのほとんどが意味のない音声だなんて…! このことは、私に大きな啓示をくれる。 ミュージシャンや作家たちは歌の言葉、すなわち歌詞にさまざまな意味やメッセージを込める場合

    『スーダラ節』と『おどるポンポコリン』と『明日があるさ』 無根拠でテキトーな吉兆
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    bandshijin 2021/02/18
    テキトー男みたいなものは1960年代頃にはどんな印象で迎えられたのだろうか。「こうあるべき」「でもできない」そんな私は常に私とともにある。共感した人が多く、だからこそいずれも大きなヒットになったのかと。
  • なごり雪 “きれいになった”の違い イルカ、かぐや姫

    1970年代前後くらいの音楽をよく聴くようになった。きりがないし取捨選択もできないから具体的な名前をあげるのはここでは避けるけれど、あのグループもあの歌手も70年代前後に活躍した人ばかり。そんな思いが最近の私の頭によぎる。70年代のみならず、その後にわたって活躍し続けた人が多い。 「サブスクだなんだ」で、音楽の年代も地域もぜんぶ関係なくなってしまった。古いものも新しいものも、国内のものも国外のものも関係ない。手元の端末からアクセスできる。どんな曲も、その人と出会ったときが、その人にとっての新曲。その人が今熱い!と思えば、そのときのムーヴメントなのだ(個人では「ムーヴメント」は違うかもしれないが)。私でいえば今70年代前後くらいのフォークやグループサウンズ。シンガーソングライターやバンドがキている。 サブスクの「便利さ」「速さ」「広範さ」を意識するいっぽう、アナログレコードが楽しい。ちょうど

    なごり雪 “きれいになった”の違い イルカ、かぐや姫
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    bandshijin 2021/02/17
    『なごり雪』サビの折り返し“きれいになった”が原曲のかぐや姫と違うイルカのカバーが美しい。シングル版のドラマーにポンタさん。1970年代前後のフォーク周辺、バンド、シンガー…魅力的で息の長いものが多い。
  • B.B.クィーンズ『おどるポンポコリン』 心に踏み入る靴下のように

    以前、このブログで『走れ正直者』を取り上げた。 西城秀樹が歌う『走れ正直者』はアニメ『ちびまる子ちゃん』2代目エンディングテーマ(1991)。作詞:さくらももこ、作曲:織田哲郎。 アニメを象徴する曲として広く知られるのが『おどるポンポコリン』ではないか。1990年、初代エンディングテーマ曲。B.B.クィーンズが歌う。ボーカルは近藤房之介と坪倉唯子の二人だ。当時は覆面ユニットだったそう。ヒットと要望の大きさによってメディアへの露出へ踏み切ったのか(参考Wikipediaへのリンク)か。 YouTubeで b.b.クィーンズ おどるポンポコリン を検索する 作詞:さくらももこ、作曲:織田哲郎。『走れ正直者』と同じ二人が作者。 コード進行はめっちゃシンプル。 Aメロは|Ⅰ|Ⅵm|Ⅳ|Ⅴ|。 Bメロは|Ⅳ|Ⅳ|Ⅰ|Ⅰ|Ⅵm|Ⅵm|Ⅴ|Ⅴ|。1つのコードにつき2小節に渡る。出だしをⅣにすることで雰囲

    B.B.クィーンズ『おどるポンポコリン』 心に踏み入る靴下のように
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    bandshijin 2021/02/16
    昨夏『磔磔というライブハウスの話』で見た近藤房之助。『おどるポンポコリン』のB.B.クィーンズ、今更結びついた。『走れ正直者』といい歴代主題歌といい『ちびまる子ちゃん』のまわりには音楽の果房ができている。
  • 童謡『赤とんぼ』 子守奉公の姐やと三木露風 〜『竹田の子守唄』をサイドストーリーに味わう〜

    最近ソウル・フラワー・ユニオンのレパートリーをよく聴く。アイリッシュ音楽の重要人物・ドーナル・ラニーと彼のバンドとの共同名義のアルバム『MARGINAL MOON』には『満月の夕』『潮の路』といった私の好きな作品が入っている。また、『アリラン』『竹田の子守唄』と、民謡に心を委ねる態度も感じる。 『竹田の子守唄』は赤い鳥のレパートリーとしても私は認知している。『翼をください』をB面にした、彼らのシングル曲でもある(『翼をください』のほうが合唱曲として学校教育の中で親しんだので、B面というのが意外だった)(あまりAやらBやらに差異もないか)(両A面なんてのもある)。 『竹田の子守唄』は子守奉公の少女が主体になった唄である。労働歌でありブルースのようなものでもあると私は解釈する。実際に京都府伏見の竹田に伝わる唄だったものを、尾上和彦が採譜しそれがフォーク・ミュージシャンたちのあいだで広まったとい

    童謡『赤とんぼ』 子守奉公の姐やと三木露風 〜『竹田の子守唄』をサイドストーリーに味わう〜
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    bandshijin 2021/02/14
    子守奉公もよく知らずに『赤とんぼ』を聴いたり歌ったりしていた。『竹田の子守唄』を鑑賞した流れでそれが見えてきた。『竹田の子守唄』は子守奉公目線。『赤とんぼ』はその子守を受けた側の目線。
  • あの素晴しい愛をもう一度 加藤和彦と北山修 爽やかな回顧

    歌詞 愛のこと、美しさのこと 『あの素晴しい愛をもう一度』。この曲のテーマ、恋愛のことを思う。 “命かけてと誓った日から 素敵な思い出 残してきたのに”(『あの素晴しい愛をもう一度』より、作詞:北山修、作曲:加藤和彦) “命かけてと”という表現が気になる。“誓う”のだから、これは命をかける側の意思だろう。命をかけて何をするのかが省略されている。それがこの曲で一番重要なテーマではないか。命をかけて…何? 「あなたを愛します」だろうか。「愛」とは人の間の関係にみる模様のようなもの。それを積極的意思によって生じさせようという動詞でもある。自然に降りてくる神秘であり、意思と理性の仕業でもある。「愛」は幅広い。そうした重み、奥行きが“命かけてと誓った日から”という一文の背景に宿る。 “あの時 同じ花を見て美しいと言った二人の心と心が今はもう通わない”(『あの素晴しい愛をもう一度』より、作詞:北山修、

    あの素晴しい愛をもう一度 加藤和彦と北山修 爽やかな回顧
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    bandshijin 2021/02/13
    ダブりで声やギターに広がり。愛の広がり、奥深さを演出するよう。回顧ってもっと甘い苦い酸っぱい辛い混ざってごみごみドロドロしてしまうこともあるのじゃないか。だからこの曲の爽やかさに惹かれるのか。
  • 竹田の子守唄 歌う意味

    ソウル・フラワー・ユニオン、赤い鳥… 最近頻繁にソウル・フラワー・ユニオンの作にふれた。 アイリッシュ・ブズーキを広めた功労者、ドーナル・ラニーとの共同名義でリリースしているSOUL FLOWER WITH DONAL LUNNY BANDのアルバム『MARGINAL MOON』(1998)は『満月の夕』『潮の路』『アリラン』『夜に感謝を』とならんで『竹田の子守唄』を収録していて私のお気に入り。民謡の旋律を堪能できる1枚。 以前このブログで赤い鳥『翼をください』を取り上げた。『翼をください』を私は合唱曲として認知していた。いや、「〇〇として」という畑の分け方を自分の中に持つ以前に、すでに用意されていて触れたというのがより精確か。何せ、学校で扱う教科書や歌・コーラスでこの曲が扱われていたくらいだから。 その『翼をください』は赤い鳥というグループが世に送り出したものだというのは近年になって

    竹田の子守唄 歌う意味
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    bandshijin 2021/02/12
    もとは京都・伏見竹田の部落の子守奉公の労働歌、『守り子唄』。赤い鳥、ソウル・フラワー・ユニオン、一青窈らの演奏を聴く。「元唄」は歌詞・旋律が異なり変遷に謎が残る。民謡の響きは現実の背景抜きに私を魅了。
  • 七尾旅人『圏内の歌』歌手は人格をまとう

    七尾旅人の『圏内の歌』。アルバム『リトルメロディ』(2012)の2曲目に収録されている。 災害をテーマ…というかモチーフ、きっかけにした曲は多い。自然災害もそうだし、反戦歌などもある(一緒にするのは乱暴かもしれない)。 最近私は『満月の夕』を味わった(1、2)。ソウル・フラワー・ユニオンの中川敬とHEATWAVEの山口洋がつくったこちらは、1995年1月17日の早朝に起きた阪神・淡路大震災、この災害がこの楽曲の顕現のきっかけになっている。 一方、七尾旅人『圏内の歌』は2011年3月11日に起きた、東日大震災が楽曲の動機になっている。 タイトルに含まれているそのとおりの言葉、「圏内」。ある特定の条件にあてはまる範囲のこと。ここでは福島第一原子力発電所の事故で避難を余儀なくされた地域……か。(参考:ふくしま復興ステーション) 七尾旅人は震災直後から被災地へ通ったという。人々から直接話を聞き、

    七尾旅人『圏内の歌』歌手は人格をまとう
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    bandshijin 2021/02/11
    七尾旅人はナイロン弦のギターで音と言葉をぽろりとこぼすかのように歌う。シンプルな音作り。各地にギター一本持って回るのにも扱いやすいだろうが決して扱いやすいとはいえないセンシティヴな主題を持っている。
  • 七尾旅人『サーカスナイト』綱を渡り揺れる心象の音楽

    曲との出会い あるアーティストの歌や歌手を選ばない童謡や民謡などなんでも良いのだけれど、真似て(耳コピして)歌って収録してYouTubeに公開する気まぐれを最近の私はしている。主に学習目的で、それを晒しているだけなのだけれど、それに反応をくれる貴重な人も中にはいる。 直接の友人・知人がリアクションをくれることもある。近所の友人がこんな音楽はどうかといくつか教えてくれた中のひとつが七尾旅人『サーカスナイト』だった。 音楽と歌詞 |ⅣM7‐Ⅴ|Ⅲm7‐Ⅵm|の繰り返しのコード進行とカウンターラインを奏でるエレクトリックピアノの音がリフレイン。シンセベースのサウンドに私は小沢健二『今夜はブギー・バック』を思い出す。コーラスがかったエレクトリック・ギターはミュートを効かせてカッティング。オープン⇔クローズドなサウンドを綱渡りのように行き来する。ここぞというところでストリングスのピチカートやウィンド

    七尾旅人『サーカスナイト』綱を渡り揺れる心象の音楽
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    bandshijin 2021/02/10
    七尾旅人『サーカスナイト』。不安定な心や関係の機微を映したよう。妙な比喩のことばがリフレインする音楽に乗ってどこまでも続く。帰結せず、フェイドアウトで夜はどこまでも。
  • 今日の日はさようなら 調和を誘う旋律

    左右にダブったアコースティック・ギターとみずみずしい歌声。左から聴こえるのがスチール弦で右から聴こえるのがナイロン弦か。森山良子は当時19歳くらいのはずである。なんという落ち着き。 旋律は滑らかで歌いやすく美しい。1番歌詞「ともだちで」(2番:じゆうに、3番:たいせつに)の部分だけ半音進行していて、平静・平易な雰囲気の曲調に独創を薫らせる。 私は中・高校生くらいのとき、年に1~2度、キャンプに参加することがあった。小学生から大人までいろんな年齢の人が班になって過ごすものに参加したり、親子連れのためのキャンプにスタッフとして参加したりした。 最後の夜に定番なのがキャンプファイヤーで、火を囲んで歌った。日中の何気ないすきま時間に歌いもした。ギターを弾いて歌えるメンバーはその役どころになる。達者な人がいて、いろんな歌をキャンプの機会に知った。『大きなうた』『あの青い空のように』、それから『今日の

    今日の日はさようなら 調和を誘う旋律
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    bandshijin 2021/02/09
    『今日の日はさようなら』。3拍子の民謡風…にしては旋律が西洋的で調和を誘う。金子詔一の素養や、複数でしっとり歌うことを意識した?作曲のいきさつを思う。彼については多くがわからない。
  • Norah Jones『Don’t Know Why』誰が知る心

    Norah Jonesのアルバム『Come Away With Me』(2002)に収録。『Don’t Know Why』はシングルカットされる。 どうでもいい話で申し訳ないなのだけれど、最近調子がすこぶる悪い。花粉症なのか風邪なのかその合併症状なのかわからないが声がまったく出ない。おおげさに「まったく」なんて言ったけど、広い音域を歌うことができないというのが事実で、しゃべれるしささやき声でなら歌える、程度なのだが……。 自分が調子が悪いときに使える声域をしらべた。すると、ヘ音記号のちょうど真ん中の五線に刺さるレから上に1オクターブくらいだとわかった。この音域内なら、大きい声は無理だがささやく程度ならできる。 ところで童謡や民謡には誰でも歌いやすいものが多く、多くの曲が1オクターブ程度の声域があれば歌える。そういうものならば、自分の声域に合うように移調すれば調子が悪くても小さな声でなら歌え

    Norah Jones『Don’t Know Why』誰が知る心
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    bandshijin 2021/02/08
    Norah Jones『Don’t Know Why』はJesse Harrisの作。てっきり彼女の自作かと。こうも演じられては、誰がその心を知るのか…わからないといいつつ本人にはその心がわかっているのでは。カウンターラインの下行がアンニュイ。
  • アリラン 朝鮮民謡 SOUL FLOWER WITH DONAL LUNNY BAND

    “美人 アリラン ガムラン ラザニア マウスだってキーになって 気分 イレブン アクセス 試そうか”(PUFFY『アジアの純真』より、作詞:井上陽水 作曲:奥田民生) 先日、井上陽水の作詞を味わった。その中で注目した曲、『アジアの純真』。 1番のメロ(再度)のところで歌われる詞が先に引用したもの。 ガムランはアジアの民族音楽。私は音楽大学(出身校)でもちょっとふれことがある。ラザニアは料理だろう。イタリアンだったか。で、アリランってなんなん? と思って検索したら、朝鮮の伝説上の峠?のことだそうで、同時にその名前を冠した朝鮮民謡も有名とのことがわかった。伝説上だから「ここがアリランです」と具体的に限定するのは難しいようなのだけれど、伝説や民謡が普及してか、実際に朝鮮の各地にアリランの名で呼ばれる場所があるのだそう。 という認識を築いて数週後の昨日、あらためて検索を重ねたらなんとアリランはユネ

    アリラン 朝鮮民謡 SOUL FLOWER WITH DONAL LUNNY BAND
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    bandshijin 2021/02/07
    ソウル・フラワー・ユニオン、井上陽水らがきっかけをくれた朝鮮民謡「アリラン」。無形文化遺産(2012)になっていた。J-WIDで検索すると、いかに古今の作曲家らのテーマにされてきたことがわかる。
  • Polaris『深呼吸』 心を照らす光

    先日Fishmans『いかれたBaby』について書いた。 Fishmansは私にPolarisへの導入をくれた。Fishmansのメンバーだった柏原譲(ベース)がPolarisのメンバーでもあるからだ。 両者の音楽は私の中でとても、近い位置付けにある。それは柏原譲というメンバーがかぶっているからだという説明だけでは不足するように思う。それでいて、その不足を明かす知見が私には足りないかもしれない。 FishmansとPolarisにおいて、私が共通点を感じる部分を言葉にする試みにお付き合いいただきたい。 FishmansとPolarisに私が思うところ ・ふわふわと漂うような、浮遊感ある音像の印象。残響のつくりかたのせいだろうか。 ・ボーカリストのトーンに「あそび」がある。これは「余裕」の意味の「あそび」。自由でのびのびとした印象を受けるし、力が抜けていて気持ちがいい。 ・ベーシストはいわず

    Polaris『深呼吸』 心を照らす光
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    bandshijin 2021/02/06
    Polarisに私はとても影響を受けている。言葉にできないから音楽にそれが滲み出るのかもしれない。『深呼吸』は真っ先に思いう浮かぶ大好きな曲。原田郁子(クラムボン)がピアノ・コーラスで参加している。