タグ

ブックマーク / delete-all.hatenablog.com (60)

  • 昔、アル中だった。 - Everything You’ve Ever Dreamed

    アルコール中毒、アルコール依存症の定義がどういうものかよく知らないが、二十代の終わりの二年弱のあいだの俺は間違いなくアルコール中毒だったと思う。 どんなありさまだったかというと、実際に俺と飲んだことがある人なら俺の飲みかた、飲みっぷりをイメージできると思うが、あれよりも百倍悪い。朝、起きてカップ酒を二杯飲み、昼、安酒の匂いが口から消えるとわけもなく寂しくなるので、大人の頭ほどもあるペット容器にはいった安焼酎を割らずにがぶがぶ飲んだ。夕方、缶ビールを飲みながら散歩をして晩酌は日酒、冷酒、熱燗。ウイスキーやワインは高いので飲まなかった。味なんかわからなかったので安さと手に入れやすさが最優先だ。 牧の倉庫で日雇い仕事をやりはじめたころは、いちばん、ひどかった。ヘイキューブという牧草を四角くかためて加工した飼料があるのだが、アメリカからコンテナで輸入されるそいつを、マタイと呼ばれた袋に詰め倉庫

    昔、アル中だった。 - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 昨日、上司にキレた。 - Everything You’ve Ever Dreamed

    わりとクソな会社で働いているなかで、唯一やりがいのある仕事だと感じている仕事、胸を張れる仕事がお年寄りや障害をもつ方に事を提供するビジネスで、あまり利益をもたらすビジネスではないせいか、忌々しい部長は、「あんな陰気な商売」「たいして儲からない」と、ことあるごとに文句をいっているのだけど、昨日、営業で同行した、とある施設で、お年寄り向けにべやすく加工調理した品を施設側の人に試してもらう際に「こんなゲロみたいなもの、俺はべられない」と言い放ったのには、気で頭にきた。 それほど大きな声ではなかったが狭い部屋で試していたのでその場に居合わせた人の耳には届いたはずだ。相手の人も、聞こえないふりをしてくれたけれど、明らかに、一瞬目を見開いていた。部長は問題のある人間だとは思っていたけれど、それは幼稚っぽさからくるもので根っこの部分は腐っていない人間だと僕はどこかで信じていたので、今回の裏

    昨日、上司にキレた。 - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 暇なオッサンが清水寺と祇園の街並みを描いてみた!とまとめ - Everything You’ve Ever Dreamed

    今日は天気がよかったのでベランダでビールを飲みながら清水寺や祇園を描いておりました。夏はビールと蕎麦と水彩画と昼寝だね。やっぱ。 「第十二弾京都清水寺」 「第十三弾京都清水寺」 「第十四弾京都祇園」 最近はお見合い話が続いていて、ここがイラストサイトだということが忘れられている…というわけで今日は過去のブツをどーんとまとめて貼っておきます。 ↓ ↓ ↓ それではフミコ・ヨシフミ・フミオ画伯の次回作にご期待ください!

    暇なオッサンが清水寺と祇園の街並みを描いてみた!とまとめ - Everything You’ve Ever Dreamed
    bassai718
    bassai718 2009/06/14
    ほんと多才だなー。
  • ラブホテルをつくろうと母は言った - Everything You’ve Ever Dreamed

    家族でも恋人でも友人でもいいのだけれど、そういう大事な人を喪ったときの正しい感情ってなんだろう、なんて答えがないことを父の死を契機に僕は十代の終わりの一時期かなり真剣に考えていた。父が死んだとき僕が真っ先に思ったのは、悲しみでも、将来や生活への不安でもなくて、人間なんて簡単に死んでしまうんだな、エロの隠し場所には気を付けなきゃいけないな、というどうでもいいことだったりする。多感な18才だったので悲しかったのは間違いないのだけれど、前年の夏に祖母を亡くした直後ということもあって命が消えてしまう呆気なさに僕はただ愕然としていたのだ。 愕然としたあと僕はムカついた。というのも淡々と葬儀屋と打ち合わせをこなし、葬儀を執り行う母をみて親戚のオッサンどもが「少し休んだらどうだ」とか「泣いたっていいんだぞ」とか「これからの生活はどうするんだ」なんていちいち声を掛けてきたからだ。母のやりたいようにやらせ

    ラブホテルをつくろうと母は言った - Everything You’ve Ever Dreamed
  • RCサクセションが流れてた。- Everything You’ve Ever Dreamed

    熱心なリスナーでも熱狂的なファンでもなかった。事実、ライブ盤を一枚だけ持っているほかは、友達やレンタル店から借りてきてハイポジテープに吹き込んだものばかりだった。でも、あの瞬間に流れていたRCサクセションのロックが、ある人との出会いを与えてくれた。忌野清志郎の歌声が僕に与えてくれたんだ。そうだ。あのときあのロックンロールが繋げてくれたロックンロールに僕は、勇気を、もらった。 大学生の僕は歌詞もわからない洋楽ばかり聴いていた。高校のとき僕の母校で布教されていた「洋楽を聴く男=カッコいい男=女の子にモテる男」という間違った教義を敬虔な信者のように信じていたからだ。その教義を広めていた伝道師ボンクラ達(ウンコ数学部員一同)は高校はおろか大学に入っても誰一人としてガールフレンドがいないのに気付かなかったのが今でも悔やまれる。アルバムに挟まっている、アクセル・ローズを真似てバンダナを目深に巻き笑って

    RCサクセションが流れてた。- Everything You’ve Ever Dreamed
  • オッサンTV3/平民新聞とファミスタ対決篇+1986年、僕らはファミコンキッズだった - Everything You’ve Ever Dreamed

    ゴールデンウイーク真っ只中、皆様いかがお過ごしでしょうか。今日はゴールデンウイークなのに部屋でインターネットを眺めてる寂しい皆様のために、平民新聞(id:heimin)の平民金子氏とのファミスタ平成の名勝負(@平民金子宅)の模様をお送りいたします。酔っ払いのオッサン二人による熱いバトルをお楽しみください。 求ム対戦相手!ぐだぐだな動画だけをお見せするのもなんなのでオマケの文章を。 ※1986年、僕らはファミコンキッズだった 久しぶりのファミスタ対戦プレイは楽しくて、帰りの電車のなかで僕は元祖ファミスタが出た頃に思いを馳せていた。1986年。すなわち昭和61年は僕が中学生になった年であり、すこし前に発売されたスーパーマリオが空前のヒットを記録、今でも続篇がリリースされ続けているドラゴンクエストやゼルダの伝説、悪魔城ドラキュラ、たけしの挑戦状がこの世に産み落とされた記念すべき年だ。今でもムズム

    オッサンTV3/平民新聞とファミスタ対決篇+1986年、僕らはファミコンキッズだった - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 飛ぶ犬 - Everything You’ve Ever Dreamed

    ぐいぐいと首を締め付けられているような感覚に陥る瞬間がある。そういった瞬間に入るときは一日を無駄に過ごしてしまったときだ。浪費ってやつ。そんな日の夕方は、シャツの襟に走ったヒンヤリとした汗のラインが、絞首刑、或いはスーパースロウなギロチンみたいに思えてくる。ルーチン化した生活が僕をそう思わせる。だから僕は宣告する。さようなら。さようなら。人生をつまらなくするルーチン化クソども。ライフハックとか恋愛マニュアルとかマジクソ。 いろいろなクソに別れを告げて、僕は奇跡と出会うべきだ。もっともっと。そうだ僕は奇跡を信じている。モーゼの、海を割るような壮大な奇跡ではなく、日常をほんの少し明るくするような光を抱いた奇跡を。出来ればその奇跡が身近でぎりぎり手の届かないところに存在して見守っていて欲しい。たとえば、帰りの夜道の上を突っ走る電線のうえとか、コンビニの冷蔵ショーケース、ビールの陳列の後ろ側とか、

    飛ぶ犬 - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 草なぎ剛を忘れない- Everything You’ve Ever Dreamed

    ねえ、剛。あのころの私たちは何もわからないまま毎晩馬鹿騒ぎしていたよね。夜が明けたら約束された明日と笑っていいともの収録が来るって、根拠もないのにずっと信じていたんだ。まさかマッパの剛が毛布にくるまれて警察に連行されるなんてあのときは思いもせずに。 ねえ剛。夜の公園でチンコ出すの、気持ちいいよね。先っちょを春の雰囲気を残した夜風が通り抜けていく感覚、森君とミュージカル「聖闘士星矢」出演の記憶と一緒にいつまでも忘れないでいて。警察官に裸でなにが悪いって凄んでも、奴らにはチンコの先っちょを衆目に晒す快感なんて一生わからないよ。だから私たちの楽園は汚されずにいるんだ。ついでに森脇さんのこと、時々思い出してあげて。 ねえ剛。稲垣君が捕まったときの君のコメントを覚えている?あのとき、黒人大統領の演説なんかよりもずっといい言葉だって素直に思ったんだ。「いいひと」の剛が陰で「稲垣君はさー菅野美穂ちゃんが

    草なぎ剛を忘れない- Everything You’ve Ever Dreamed
  • 続々・私の異常なお見合い または私は如何にして家を追われて神を求め、極太ディルドをつくるに至ったか

    ウォシュレット。ああそんな、そんなところまで、などと呟きながらひんやりした便座に座り、小さな悦びにうち震えてはらはらと涙を流していた。口ずさむは即興戯曲《ウンコとウォシュレット》。「ああウォシュレット、あなたはどうしてウォシュレットなの」。お見合い以来、僕は追い詰められて生活が破綻寸前。用を足せばこのようにわけもなく涙をはらはらと流す有り様。というのも先日お見合いをした娘からの大河ドラマ「天地人」感想メールに加え、その母親からも連日、「オホホいつ我が家に遊びにきてくれるの?」やら、「家族一同楽しみに来訪をお待ちしておりますオホホ」というふざけたメールが執拗に送られてくるからだ。 オホホ。なにがオホホ。浮かれてる。みっともない。僕が間抜け面に北京ダック片手で赴くような安い男とでも思っているのだろうかオホホ。腹立たしい。来なら若い女性とお話が出来るのはオホホな心境になるのだが。普通の女性なら

    続々・私の異常なお見合い または私は如何にして家を追われて神を求め、極太ディルドをつくるに至ったか
  • 4月から課長になる僕が知ってしまった会社の秘密- Everything You’ve Ever Dreamed

    バンドの初ライブ(http://d.hatena.ne.jp/Geheimagent/20090315/p1)後は仲間と酒をぐびぐびと飲み、居酒屋の壁紙をべりべりと剥がし、ギャルに股間を触らせてびんびんと勃起させようとした。そんなファンタスティックサタデーナイトが過ぎれば、「これからは普通のオッサンになりまーす」なんてキャンディーズ的宣言をしなくとも僕はロックンローラーから只のオッサン会社員へしゅんと戻ってしまう。ロックンロールの魔法は解けてしまう。しゅんといえばキュートなギャルに触られても頑なにしゅんと沈黙を守った誇り高き僕のチンポ、可哀想。そして海綿体に血液が流れこまなったという結果だけをみる風潮はいつだって僕を悲しませる。追い討ちをかけるギャルのお言葉、「キモーい」。 ロックがどこかで死んでいる平日の夜、ゴルフ焼けでウンコ色の顔をした上司に呼ばれ、僕は銀バエの如くぶぶぅと羽音をたてて

    4月から課長になる僕が知ってしまった会社の秘密- Everything You’ve Ever Dreamed
  • 続・私の異常なお見合い または私は如何にして恥も外聞も尊厳も捨てインポを告白するに至ったか - Everything You’ve Ever Dreamed

    スクリーンの深キョンドロンジョを舐めまわすように眺め、満喫し、さあ帰ろうとビールの残りを飲み干して、ふと隣を見ると先日僕とお見合いをした女性が座っていて驚いた。そうだそうだ。酒を飲んで深キョンのコスプレに没頭するあまり忘れてた。僕は二つ以上のことを頭に留められない。そして彼女は戦国時代好き西軍派、趣味コスプレ。 お見合い以来彼女からメールが送られてくるようになった。毎晩ほぼ午後十時に送られてくる。大半は「土手に花が咲いてましたぁー梵天丸もかくありたい(添付/花のついていない雑草)」「毘沙門天も攻め落とせなかった夜の小田原城の勇姿ですぅ(添付画像/一面ニ百万画素の闇)」というような嫌がらせメールで、最初は笑い飛ばしていたのだけれど、次第に精神が圧迫され、上下違うスーツを着てツートンカラー出勤をする、駅の便所で外人並みのウンコをしたあとで流すのを忘れ知らないオッサンに叱られる、という具合で生活

    続・私の異常なお見合い または私は如何にして恥も外聞も尊厳も捨てインポを告白するに至ったか - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 1995年のビーンボール - Everything You’ve Ever Dreamed

    雨が色を消した交差点で、横断歩道を見下ろしている信号が赤から青へと変わるのを僕は待っていた。知らない町だ。僕の町と同じなのは、ミニスカートの女の子の足をじっと眺めていると嫌な顔をされることくらいのものだ。嫌な顔をする女の子の顔はどれもカーボン紙で写したように同じに見える。青い絵の具がぴったりと空に貼りついたような素敵な夏の地下鉄で、初老にさしかかったサラリーマンがミニスカートの女の子から「じろじろと人様の足を見てんじゃねえよ。ハゲ。殺すぞ」と言われるのを見たこともある。哀しい光景だった。 信号が青に切り替わると頭の上のスピーカーから、「桃太郎の歌」が流れはじめた。「桃太郎の歌」のもの哀しいメロディーはいつものように僕を激しく混乱させた。もーもたろさん!ももたろさーん!僕は頭を抱え、吐き気がして横断歩道の途中でうずくまった。おえおえ。向こう側からやってきた女の子の二人組は僕をみて、「マジ、キ

    1995年のビーンボール - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 13日の金曜日のガールたちへ - Everything You’ve Ever Dreamed

    13日の金曜日を明日に控え、うだつのあがらないサラリーマンで賑わう夕方のドトール、禁煙席に座った僕は、13の呪いだか不幸だかを一身に背負っていると感じていた。そう感じ始めたのは些細な出来事がきっかけだ。今朝のことだ。僕がバス停の前に差し掛かると女子高生の一団が、獲物を見付けた猛禽のように全身の筋肉をびくっと動かし、群れとして一斉に携帯をいじり始めた。僕は三十年を越える経験から、彼女たちが僕と接触したがっていると直感する。愛は歳の差を超える。少女に天空の城での同棲を迫ったムスカ様のように。 「今時の女の子は赤外線で連絡先を伝えるのよ」。いきつけの店の指名ナンバー6キャバ嬢マイ(アゴ勇似)の話を思い出し、僕は携帯の赤外線受信機能を甦らせ、ふたたび何気なく女子高生の前を横切った。携帯を確認。メールアドレス、番号、あるはずの情報は何ひとつなかった。おかしい、なぜだ。悲劇だ。純情を弄ばれた。それとも

    13日の金曜日のガールたちへ - Everything You’ve Ever Dreamed
    bassai718
    bassai718 2009/02/13
    お誕生日おめでとうございます!
  • 私の異常なお見合い または私は如何にして心のタガを外しアナルパールの話をお見合いでするようになったか - Everything You’ve Ever Dreamed

    正月に話を持ちかけられて以来、「無理」「駄目」「嫌」「眠い」「多忙」といって断り続け、一時は逃げ切ったと思っていたのだが、母の執念たるや侮りがたく、「私の顔を立てろ」「誰が産んだと思ってる?」「金返せ」「親不孝者」という脅迫めいたメールを昼はスナック、夜はデニーズから、昼夜問わずドコモへ執拗に送り続けてくるものだから、日を追うごとに僕の精神は衰弱し、判断力は失われ、酒に逃げ、泥酔し、うっかり一度だけ「うるせーわかった」と返事をしてしまい、こないだの日曜はお見合い。相手は母の友人の25歳の娘さんで、漫画の格好をするのが趣味、らしい。コスプレ?他に情報はないのかと訊ねると母はふふと不穏な笑みを浮かべ、一枚の写真を一瞬見せ「あとは当日のお楽しみ」などとふざけたことを言うので眠れない夜が始まる。 で、当日。エクセレントなことに母と母の友人とその娘は待ち合わせの時間に待ち合わせ場所の喫茶店に到着して

    私の異常なお見合い または私は如何にして心のタガを外しアナルパールの話をお見合いでするようになったか - Everything You’ve Ever Dreamed
    bassai718
    bassai718 2009/02/04
    おもしろいなーもう!
  • ミレニアム・モラトリアム・ウィズ・オッパイ - Everything You’ve Ever Dreamed

    友人の部屋でこれを書いている。今は日曜の朝だ。僕はこの、初めて訪れた新百合ヶ丘の部屋で、僕の二十世紀末を再生した。違う。自分にしかわからないクロニクルを語るときは正確に記述するんだ。スポーツマンが、ソテーから慎重な手つきで脂肪を切り離すように、曖昧さは排除しなければならない。言葉よ、贅肉を削ぎ落として正しいフォームを獲得しろ。雑主義を否定しろ。必要なのは正確さ、そしてピュアネス。違うかい?僕は訊ねる。闇は答えない。友人も答えない。僕も、答えを求めていない。僕はこの部屋を知っている。友人の部屋は僕の部屋と同じにおいがした。前世紀の終わり、僕は、この部屋にいた。 2000年の初夏、多くのロックスターが黄泉へダイブした年齢に並んだ僕は、突発性の熱病に冒されたように誰にも相談することなく会社を辞めた。金曜の夜。中華料理屋のカウンター席。飛び交うチャイニーズ怒号。乱雑に扱われがちゃがちゃと悲鳴をあ

    ミレニアム・モラトリアム・ウィズ・オッパイ - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 僕はエロを刻みながら年を越える - Everything You’ve Ever Dreamed

    二月に僕は三十四歳になった。平成二十年の大晦日と平成十九年の大晦日。三十四歳の僕と三十三歳の僕。ワンイヤー。何も変わっていないように思える。当にそうだろうか…なんて難しいことを考えるのは保留。来年に持ち越し。やめやめ。僕はやめる。とりあえず僕は今年の煩悩を消すためにエロを用意する。エロ漫画を用意する。それから、僕は刻む。削る。あらゆる失敗と痛手の記憶をエロ漫画と一緒にシュレッダーにかける。 とフィギュアで足の踏み場もない部屋。 巻頭カラーページからグッドバイ。 モノクロページにグッドバイ。 煩悩はなかなか刻めない。やれやれ、来年も僕は煩悩から逃げられそうもないようだ。 今年一年、このしょうもない日記を読んでくれた人、一瞥してくれた人、日記を通じて実際に触れ合った人、これから会う人、会う可能性のある人、僕のことを好きな人、嫌いな人、苦手な人、みんなにありったけのラヴを。僕はこれからもエ

    僕はエロを刻みながら年を越える - Everything You’ve Ever Dreamed
    bassai718
    bassai718 2009/01/01
    あけましておめでとうございます!
  • 東京の夢 - Everything You’ve Ever Dreamed

    18時、東京。ホテルの喫茶で人と会っていた僕はひどくくたびれて、エントランスの片隅にあるソファーに思わず腰をかけた。カーペンターズのイエスタデイ・ワンス・モアが流れ始め、カレンのあの低い歌声が僕の足元に敷かれたレッドの絨毯に優しく染み込んでいくように響いていた。目の前には大理石でできたテーブルがあって、落ち着いた照明をバックにクリスマスツリーを映していた。ボール。イルミネーション。スター。金、銀、赤の豪華な色合い。それはまるで星空のようだった。テーブルサイズの星空。星。月。僕はそれを目の当たりにして彼らのことを思い出していた。そう、あれはやけに月が大きく見えた夜だったと思う。仕事から帰った僕はテレビを見ていた。異国の窮状を追う報道番組の1コーナー。カメラは暗がりで身を寄せ合う三人の少年をとらえていた。年齢は日なら小学校高学年くらい。「親は?」「ご飯はべたの?」「家は?」インタビュアーの

    東京の夢 - Everything You’ve Ever Dreamed
    bassai718
    bassai718 2008/12/25
    すばらしい文章。さだまさしの「遥かなるクリスマス」を思い出した。
  • 部長の すごい 企画 - Everything You’ve Ever Dreamed

    「お前ら少し頭を使えぉぇぇぇぉぇ!」 会議室で部長のテンションだけが上昇していた。部長の頭はバーコード。頭髪と頭髪の隙間で、フケが脂でてかって白く光っている。叫ぶな。光り輝くな。漂う空気は白けながらも重苦しさでいまにも分解しそうだった。今年最後の月次定例営業会議だ。月次ときいて僕は笑いそうになってしまう。部長の気分で三回開かれる月もあれば、部長の遅刻で突然中止になる月もあったからだ。 議題は新規事業展開。前回の会議の終わりに部長は「次の会議までに他のどこもやってない事業を考えろ。既存の事業を生かしたうえで人手もコストもかけず、リスクも負わない、安全で、楽で、確実に儲かる仕事を考えてこい」とハッパをかけた。虚ろな目で。 そんなうまい話があるはずない、そう誰かが言ったが、部長の意識はすでに別の場所に移動していた。部長は鼻唄まじりに何かを弄っていた。部長の手元にはゴルフコースのパンフ。鼻唄は銀座

    部長の すごい 企画 - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 別れ - Everything You’ve Ever Dreamed

    「どうして名前で呼んでくれないの?」と彼女が言ったときに僕らのコーダは始まった。終わりを迎えようとしている僕らの関係は終始、別れの予感と後ろめたさで出来たフレームで縁取られていた。すべて、終わる。そこからは何人も抜け出すことは出来やしない。僕だってそうだ。誰にでも「終わり」はやってくる。それぞれ時期が違うだけで。僕は思う。スタートラインの手前で「なーんか今日は足の調子わりいんだよねえ」なんて負けたときの予防線をバリバリ張りまくっているうちに頭の上でチャーンってピストルが鳴った瞬間に勝負が決まっていたように、僕らの関係は始まったときから「今日このときが終わり」と決まっていたのかもしれない、と。 「ビンセント・ギャロって最低だわ。でもあなたよりは少しマシだわ」と彼女は言った。バッファロー'66を観たあとの六木の国道だった。六木ヒルズは土台もなかったと思う。ショートホープを唇に挟み、ジッポで

    別れ - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 部長はじまったな - Everything You’ve Ever Dreamed

    それは月曜日午前9時30分に突然やってきた。部長の5人目の実母が亡くなったり(部長申告)、部長宅前でタンクローリーが大破炎上(部長申告)したおかげで延期に次ぐ延期になっていた月次定例営業会議のことだ。陽の当たらない会議室の明かりを点けると、蛍光灯の一が切れかかって点滅していた。不定期に訪れる点滅が冴えない面子の顔に僅かに残っていたビジネスマンとしての精悍さを削り落とした。会社の景気を反映するようにテーブルに並ぶ顔はどれも重苦しい。例外を一人発見。部長。浅黒くゴルフ焼けしているその顔の中心で口が開く。わざとらしく重々しい口調で。「えー定刻になりましたので…」急に始まった会議に定刻なんてあるわけないだろう。そんな軽口を抑えて僕は慌ててペンをとる。 書記に就いて三年間で僕がローマ字入力で作成した議事録は、バインダーとしてその生を全うしようとしている部長のデル製ノートPCに挟まれ、小さな、モノト

    部長はじまったな - Everything You’ve Ever Dreamed