◆報告要旨 高森 明・近藤 武夫 「発達障害と貧困――アスペルガー当事者を中心として」 近年、非正規雇用で働く貧困層が社会的に注目されている。こうした中には、職場で人間関 係が不器用,仕事の段取りが悪いなどといった理由から孤立、排除されやすい「不器用な若 者たち」が存在することが言及されている★01。また彼らの中には軽度知的障害、精神障害の当事者であるものの、労働にも福祉にも十分つながれていない「グレーゾーン」の障害者が少なからず存在すると言われている(川添誠・湯浅誠編『「生きづらさ」の臨界 "溜め"のある社会へ』2008年 旬報社)。発表者らは、高機能自閉症・アスペルガー症候群の当事者たちと自助グループなどに関わることが多く、その体験から「不器用な若者たち」の中に未診断,中途診断で支援を受けてはいないものの、診断を受けた発達障害当事者と同種、同程度の困難のある人々が少なからず存在している