焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件を機に批判が高まっている厚生労働省の生食用食肉の衛生基準について、都道府県などの担当課長で構成する「全国食品衛生主管課長連絡協議会」が02年以降毎年、罰則を適用できる基準に改めるよう同省に要望していたことが分かった。4人の死者が出るまで国が動かなかったことについて、基準の形骸化を懸念してきた自治体担当者からは「遅すぎる」との声が上がっている。 現行の基準は生食用食肉を提供する際に外側の肉を削るトリミングをすることや、温度管理の徹底などを定めたもの。96年に病原性大腸菌O157による集団食中毒が全国で相次ぎ、一部の患者の原因食品が牛の生レバーと判明したことから、再発防止のため98年9月に策定された。しかし法的拘束力のない「努力目標」のため周知は不十分で、業者は食中毒を起こしたり肉の汚染が判明しなければ行政処分などの対象にならなかった。 食