はじめに 『春日権現霊験記繪』(20巻)は、藤原氏の氏神として、興福寺と一体となって政治的・文化的両面での大きな影響力をもった春日大社の効験を集成した絵巻物である。 成立は鎌倉時代後期の1309(延慶2)年、絵師は高階隆兼と、成立年代や絵師の具体的な名までが判明している数少ない例で、歴史的資料としても注目されている。 原本は宮内庁三の丸尚蔵館蔵だが、剥落などで痛みが激しく、研究は通常江戸期の忠実な写本(東京国立博物館蔵)を用いて進められてきた。我々が手近に利用する中央公論社刊の日本絵巻大成も、原本ではなくこの写本を撮影したものである。 ここに画像データとして公開するのは、第一巻末に綴じ込まれた解説紙片によれば正確な刊年は不明ながら大正期の「絵巻研究会」(顧問正木直彦東京美術学校長、今泉雄作大倉集古館館長など)の発行になり、また巻二の軸および巻二・三の箱に張付された紙片によれば、大正一五年七
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