アメリカは白人の国だ 白人が盗んだ国だ 黒人を誘拐して働かせてできた 白人の国だ 豊かな国だ 白人のための 黒人のためじゃない 強い国だ 白人のための 黒人のためじゃない 自由 正義 平等の原則の国だ だが 現在でも 黒人には自由などない 黒人には正義などない 黒人には平等などない なぜなら ここは白人の国だからだ マルコムX 西洋との出会いは、非西洋世界から見れば衝撃であった。アフリカでもイスラム世界でも、そして日本でも、この衝撃をいかに受け止めるかが、近現代史の最大の課題であった。まず本章ではアフリカ大陸で拉致され、アメリカ大陸に奴隷として移動させられた人々の子孫の間に起こったネーション・オブ・イスラムという教団を紹介したい。キリスト教から改宗したマルコムXは、この組織のスポークスマンであった。しかし、マルコムはやがて教団の白人を悪魔視する教えから離れ、主流のイスラムに再改宗する。この