メディアにおける経済学は、 どこに向かうのか 荻上:人文知側の典型としては、「経済成長という病」系というか、「定常型社会」系の議論は割と受け入れられがちですよね。私たちの社会はもう経済成長しない。成長、成長といって、人間らしくない競争を強いるのはやめて、エコでヘルシーでサステナブルな生活を送れるシステムをつくろうよ、といったように。論壇ってとにかく、「いまこそ社会が変わったのだ」というような、「社会完成論」がすきなんですよ。アーリーアダプターを指差して、「彼等こそがニュータイプだ」とか「崩壊の始まりなのだ」というような言説ですね。 飯田:「経済成長終わった」言説は、江戸幻想などとも結び付けられますね。ただですね、これにはものすごくショッキングなデータというのが一つあって。人間の平均寿命、または社会保障の水準というのは、ほぼGDPに比例して伸びます。アメリカはちょっと最近それと外れているので