高畑勲監督 アニメ映画「かぐや姫の物語」 この映画のキャッチコピーにある「かぐや姫がおかした罪と罰」という思わせぶりな文は、竹取物語原作においても、かぐや姫とは月の世界において罪を犯したゆえに濁世(じょくせ)たる現世に生まれいでたという理由づけがなされており、そこは原作通りではある。 だがしかし、この映画における「姫の犯した罪と罰」とは果たして何なのかを語るために必要なのは、この映画を見てかなり多くの人が「あれ?」と疑問に思ったであろうある一人のキャラクターが鍵となる。それは、かぐや姫を迎えに来た月の国の使者たちの長らしき、「如来」の姿をしていたキャラクターである。竹取物語原作にも、月の使者が仏であるとは少なくとも筆者の知る限りでは竹取物語にある要素ではない。 ここでこの論は一転し、仏教の教理へと進まざるをえない。 仏教の根本原理の一つに「一切皆苦」というものがある。つまり、四苦八苦に満ち