新国立競技場問題をめぐる構図 「新国立競技場問題」とは、国立霞ヶ丘競技場の建て替えのため、2012年秋に行なわれた国際デザインコンクールにおけるザハ・ハディドの勝利案に対し、巨大さによる景観への影響、膨大な建設費、コンペ要項への疑問などから、建築家や市民グループによる異議申立てが行なわれ、その後一年以上、随所で賛否が議論されている問題のことである。 この異議申立ては、2013年秋に建築家の槇文彦が中心になってシンポジウム「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」を開催し、多くの建築家が賛同者に名を連ねたことから、世界的にも注目を浴びた(その記録は、槇文彦・大野秀敏編著『新国立競技場、何が問題か:オリンピックの17日間と神宮の杜の100年』に収められている、図1)。一方、この国際コンクールの審査委員長は、やはり世界的に知られる建築家の安藤忠雄が、審査員ではノーマン・フォスター、リチ
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