ブックマーク / natrom.hatenablog.com (35)

  • 新型コロナに対するイベルメクチンのケースシリーズを発表してほしい - NATROMのブログ

    イベルメクチンに対する「熱狂」 一部の界隈で新型コロナウイルス感染症に対する抗寄生虫薬「イベルメクチン」への期待が高まっている。熱狂的であるとすら言える。「海外ではイベルメクチンが大きな成果を上げているのに日で使用が制限されているのはけしからん」といった具合だ。反ワクチンや陰謀論(「安価なイベルメクチンで新型コロナが予防・治療できるとワクチンをはじめとした高価な薬が売れないので巨大な利権が妨害しているんだよ!!」)とつながっていることもあり危惧を覚える。 現時点ではイベルメクチンが新型コロナに効くことを示す良質な証拠はない。日だけではなく、海外でも主な公的機関は臨床試験以外でのイベルメクチンの使用を推奨していないが、ごく当然のことである。「ワクチンは受け入れられたのに実績のあるイベルメクチンが受け入れらないのは不公平」という類の反論もあるが、イベルメクチンの偉大な実績は寄生虫疾患に対す

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  • ゼロにはできなくても - NATROMのブログ

    新型コロナウイルス感染症に対するmRNAワクチンはかなり有効ではあるが、もちろん有効率は100%ではなく、ワクチンを2回接種しても感染、発症することはある。また、ワクチンが効きにくい変異株が出現する恐れやワクチンが有効な期間に不確実な部分はあり、ワクチンを接種しても集団中の感染者が十分に減るまではこれまで通りの感染対策が必要だ。 しかし、一部の人たちにとっては「新型コロナワクチン接種後も感染対策が必要だ」という、ごくまっとうな主張が「ワクチンは効かない」という自白のように聞こえるらしい*1。どうやら、「有効な医療介入であっても別の対策を併用したほうがいい場合もある」ことを受け入れがたい人がいるようだ。似たような議論はほかにも見られる。たとえば、HPVワクチンは接種後も定期的な子宮頸がん検診が必要だが、「ワクチンを接種していても検診が必要であるならワクチンは不要だ」という誤解はしばしばみられ

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  • 「コロラド先生」のツイッターアカウント凍結と過去の発言について - NATROMのブログ

    積極的にHPVワクチンや新型コロナウイルス感染症について情報を発信していた「コロラド先生」*1のツイッターアカウントが凍結されたようである。異邦人氏のツイートを引用する。 コロナについて科学的見地から徹頭徹尾データに基づき素晴らしい発信を続けていたコロラド先生(@BB45_Colorado)のアカウントが、あろう事か凍結されてしまったようで閉口せざるを得ない。余りにも理不尽で暗澹たる気持ちにさせられる。コロナ死者数を嘲笑う人間が野放しでコレか。— 異邦人 (@Narodovlastiye) May 24, 2021 「徹頭徹尾データに基づき素晴らしい発信」をしていたかどうかについては大いに疑問だが、アカウント凍結は私にとって残念なことである。というのも、BB45_Colorado氏は過去にHPVワクチンについてきわめて問題のある発言をしていたが、その検証が困難になったからだ。わかっている範

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  • ワクチンを接種しない人を批判してはいけない - NATROMのブログ

    新型コロナウイルスワクチンが、日でも今年の2月から順次接種される予定だ。発症予防と重症化予防の効果は確かで、短期的な安全性も海外で数万人単位の臨床試験および千万人単位での実地での接種が済んでおりほぼ確認されている。重篤な副作用はあるが頻度は十分に小さく、害より利益が上回るのは明確だと私は判断し、順番が来た時点ですみやかに接種を受けるつもりである。 しかしながら、他者への感染予防効果については、効果は示唆されるものの、現時点では確実とは言えない*1。また、当然のことであるが1年以上を単位とした長期的な副作用の有無はまだわからない。ワクチンを接種するのをためらい、保留する人がいるのは当然のことだ。あるいは、どんなにまれであっても重篤な副作用が起きる可能性があるワクチンを接種したくない人もいるであろう。 どのような医療を受けるかを決める権利は人にある*2。もちろん、ワクチンについてもそうだ。

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    carl_s
    carl_s 2021/01/30
    「ワクチンを不安に思い接種しないことと、ワクチンの不安を煽って他者にワクチン接種を忌避させることは、明確に区別されるべき」げに。"北風と太陽"の太陽のごとく行動し、誠実に事実を積み重ねるしかない。
  • 米CDCのインフルエンザ流行状況のグラフが興味深い - NATROMのブログ

    米CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は季節性インフルエンザの流行状況のレポートを毎週更新している。定期的にウォッチしているがなかなか興味深い。 ■Weekly U.S. Influenza Surveillance Report | CDC インフルエンザの流行状況を正確に把握できる単一の指標はなく、さまざまな指標が公開されているが、今回はその一つである「全死亡者数に占めるインフルエンザおよび肺炎による死亡者数の割合」に注目しよう。たとえばある週の全死亡者数が6万人、インフルエンザによる死亡が1500人、肺炎による死亡が4500人だと、全死亡者数に占めるインフルエンザおよび肺炎による死亡者数の割合は、(1500+4500)/60000 = 10%になる。 死亡率(一定期間の間の人口当たりの死亡数)を計算するには総人口の情報が必要だが、死亡者数の割合だと死亡統計だけから算出できる。肺炎に

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  • PCR検査は感染症の診断に広く使われている - NATROMのブログ

    ニセ科学によく見られる特徴の一つに「標準的な学説の一つを否定するに留まらず科学の広範囲な分野を否定する」というものがある。そしてしばしば、ニセ科学の信奉者はそのことに無自覚だ。たとえば、千島学説は、別名を腸内造血説と呼ばれ、「造血の場は骨髄ではなく腸である」だとするニセ科学だが、つきつめると千島学説は現代生物学のほぼすべてを否定していることになる。しかし、千島学説支持者はそのことをわかっていない。 単に造血の場は腸である、というだけではなく、赤血球は造血幹細胞が細胞分裂・分化してできるのではなく消化されたべ物が変化して生じる、というのが千島学説の中心的な主張だ。べ物から赤血球ができるとして、いったいヘモグロビンはどこから現れるのか?定説ではヘモグロビンの遺伝情報はDNAにコードされており、mRNAへ転写され、ポリペプチドに翻訳される(高校生物学で習ったように記憶している)。もちろん、

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  • 新薬に対する熱狂の弊害 - NATROMのブログ

    新型コロナウイルス感染症に対する治療薬の評価がぼちぼち出つつある。トランプ大統領が推したことでも注目を集めたヒドロキシクロロキンはもともとは抗マラリア薬で、自己免疫性疾患にも使用されている。安価な経口薬で、使用実績が多く副作用の情報も把握されており、ヒドロキシクロロキンが新型コロナに効くなら大きな助けになったはずだが、残念ながら最近は旗色が悪い。 最近の報告だと、軽度から中等度の新型コロナウイルス感染症に対し、標準ケア、標準ケア+ヒドロキシクロロキン、標準ケア+ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシンの3群を比較した、オープンラベル(非盲検)、ランダム化比較試験において、15日目の患者の臨床状態に有意差は見られなかった*1。参加者の合計は665人、それぞれの群は217~227人。アジスロマイシンは抗菌薬の一種で、併用するとウイルス減少に効果的だったという小規模な先行研究があった。 もちろんこ

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  • 新しいニセ医学「新型コロナ否認主義」 - NATROMのブログ

    標準的な医学的知見を否定する名誉教授と市議会議員 日野市議会議員の池田としえ氏が、2020年6月8日に「新型コロナに迫る!」 *1と称して議会で質問をしたが、その内容に危惧を覚えたのでここで指摘する。端的に言えば、池田としえ氏は、YouTube等で徳島大学名誉教授・大橋眞氏が主張している「新型コロナウイルスは存在しない」というきわめて根拠に乏しい独自の説に基づいて質問を行った。動画*2を拝聴したところ、大橋眞氏の主張には問題点がいくつもあった。 池田としえ氏のfacebookより。「やはり、新型コロナウィルスは存在しない」。URL:http://archive.vn/SsLPH ほとんどの人がご承知であるが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は重症の肺炎を引き起こす。しかし、大橋眞氏は標準的な医学的知見を否定し、「PCR検査で測定しているのは、病原性のない常在性ウイルスである可能性

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  • 「花粉を水に変えるマスク」の臨床試験の結果は早く公表されるべき - NATROMのブログ

    一年前に話題になった「花粉を水に変えるマスク」 「花粉を水に変えるマスク」ってありますよね。1年前(2018年春)に活発な議論がなされました。インターネット上では山形大学理学部物質生命化学科天羽研究室の以下のページがまとまっています。 ■花粉を水に変えるマスクに飛びついてはいけない【追記変更あり】 — Y.Amo(apj) Lab ■「花粉を水に変えるマスク」をめぐる追加の議論 — Y.Amo(apj) Lab また、RikaTan (理科の探検) 2019年4月号において左巻健男さんが『「花粉が水に変わるマスク」騒動』を寄稿しています。 メーカーは、「ハイドロ銀チタン」という素材を触媒として、花粉内のたんぱく質を水などに変えると主張しています。もちろん、たんぱく質は水素以外にも炭素や窒素や硫黄を含んでいますので、水だけに変えるわけではありません。 謎の「化学式」 これまで私はほとんど「花

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  • 『健康を食い物にするメディアたち ネット時代の医療情報との付き合い方』 - NATROMのブログ

    ■健康をい物にするメディアたち ネット時代の医療情報との付き合い方 朽木 誠一郎 (著) 私は「WELQ問題」にぜんぜん気づいていなかった。WELQ問題とは、「一部上場企業のディー・エヌ・エーが、グーグルなどの検索エンジンを攻略し、ウソや不正確な情報を、検索結果上位に大量に表示させていたことが発覚したもの」(P11)だ。私は日常的に医学用語で検索しており、WELQが上位に表示された検索結果もきっと目にしていたはずなのだが、おそらく意識せずに無視していたのであろう。ネット上の医学情報は玉石混交だが、慣れると検索結果を一瞥すれば、信頼できそうかある程度は判断できる。しかし、必ずしも患者さんも同じように判断できると限らない。 WELQは長文の記事を大量に公開する方法で検索上位を獲得していた。検索上位に不正確な情報が大量に表示されていれば、それを信用してしまう患者さんもいるだろう。このWELQ問

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  • インフルエンザで「早めの受診」が必要なのはどんな人? - NATROMのブログ

    インフルエンザが大流行である。Yahoo!ニュースに■インフルエンザで「早めの受診」は間違いです! (新潮社 フォーサイト)という記事が載った。コメント欄やブックマークは賛否両論だ。 読んでみたところ、いいことも書いてあれば、首肯できないことも書いてある。持病などがない健康な成人がインフルエンザに罹っても軽症なら「早めの受診」が不要であるのは(医学的には)事実である。リンク先の記事では、あたかも「軽症患者が集中したら医療機関がパンクするから我慢しろ」と言っているかのように読めるが、医療機関の都合とは無関係に、個人レベルの利得のみを考えてもインフルエンザ流行期における軽症患者の受診はお勧めできない。 ほとんどの場合、インフルエンザは薬を使わなくても自然に治る。抗インフルエンザ薬は症状緩和までの時間を約1日間早める効果があるので、症状がとてもつらい人は薬から得られる利益もあるが、それほどでもな

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    carl_s
    carl_s 2018/02/02
    「The Flu: What To Do If You Get Sick | Seasonal Influenza (Flu) | CDC」米国のものとはいえすごくわかりやすい良い基準だと思う。日本の場合、“人は病気や怪我をする”という前提で労働環境が作られていないことが一番の問題だよな。
  • 「ソルトウォーターバッシング(塩水洗浄)」は危険です - NATROMのブログ

    大量の塩水を飲用して腸を洗浄すると称する「ソルトウォーターバッシング」あるいは「塩水洗浄」というダイエット法が流行っているようです*1。「自宅で簡単にデトックスできる」などと謳われていますが、医学的な観点からは、ソルトウォータバッシングはダイエットの効果に乏しいだけでなく危険です。安易に実行しないでください。 ソルトウォーターバッシングとはどういうものか ソルトウォーターバッシングの方法は、どのサイトを読んでも大差はありません。概ね、以下のようなものです。 1リットルの生理塩水をつくる(飲みやすいようにレモン汁を混ぜてもよい)。 朝起きてすぐに1リットルの塩水を20分で飲み切る。 便が出るのを待つ。 水は天然水を、塩は天然塩を使え、とか、ソルトウォーターバッシング後にサプリメントを勧めているところもありますが、だいたいこれだけです。 確かに大量の塩水を一度に飲めば、一時的に便秘は解消さ

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  • 薬害オンブズパースン会議の「個々の症状ごとに比べても意味がない」という批判の解説 - NATROMのブログ

    名古屋市がHPVワクチン(いわゆる子宮頸がんワクチン)の接種者と非接種者を対象に行ったアンケート調査において、「社会的影響が大きく、市だけで結論は出せない」として最終報告書では評価を示さなかったことが報じられた。 ■子宮頸がんワクチン調査で名古屋市が結論撤回:朝日新聞デジタル 調査は、ひどく頭が痛い▽簡単な計算ができなくなった▽手や足に力が入らない、といった接種の副反応にみられる24の症状の有無などを尋ねるもの。その結果、接種者に「多い症状」はなかった。一方、接種者に「少ない症状」は、関節やからだが痛む▽杖や車いすが必要になった、など15症状あった。 これを受け、市は昨年12月、「接種者に有意に多い症状はなかった」との評価を発表したが、薬害監視の民間団体「薬害オンブズパースン会議」が「副反応の症状は複合的で、一人が複数の症状を持っている。個々の症状ごとに接種者と非接種者との有意差を比べても

    薬害オンブズパースン会議の「個々の症状ごとに比べても意味がない」という批判の解説 - NATROMのブログ
    carl_s
    carl_s 2016/06/28
    「個々の症状がありふれていると(中略)背景に埋もれてしまって差が見えなくなりうる」ニュース映像に映った質問文を見た時にこれは思った。
  • サンデー毎日での丸山ワクチンの記事について - NATROMのブログ

    サンデー毎日2016年6月5日号にて『丸山ワクチンはやはり「がん患者」に光明』という記事が掲載された。ジャーナリストの森省歩(もり・せいほ)氏による。プロフィールによると、もともとは政界ものに定評があり、2012年に自身が大腸がんの手術を受けて以降は医療ものも手掛けているそうである。週刊文春に『乳製品をやめたらがんが治った』という記事や、文藝春秋に『川島なお美氏さんはもっと生きられた』という近藤誠氏のインタビュー記事を書いている。 森氏は2012年にstage IIIAの大腸がんと診断され、手術後に再発予防のための経口抗がん剤の服用を勧められるも辞退し、丸山ワクチンを選択したそうである。stage IIIの大腸がんの術後補助化学療法は現在の標準的な治療法である。大雑把には、術後補助化学療法によって再発やがんによる死亡を3分の1から4分の1減らすことができる*1。おおむね、日の大腸がんの術

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    carl_s
    carl_s 2016/05/30
    「治験患者延べ40万人超!」統計的に、調査対象数を声高に宣伝する類の調査は信ぴょう性が低い。
  • 「熊本済生会病院からSOS」は事実だったのか? - NATROMのブログ

    「医療ジャーナリスト」の伊藤隼也氏が、2016年4月16日付のツイートにて、「熊済生会病院」にて物品や水などの不足があるとの情報の拡散を促す主張を行った。 拡散!熊済生会病院からSOS !以下の物品大至急欲しい!料(米、非常)ガス調理器(発生器)手術用消耗品(ガーゼ、糸)滅菌済み手術機器(オートクレーブ使用不可のため) また、透析患者多数も余震で水タンク破損の可能性ありで今後の水が不安。東日大震災同様で国の情報収集問題あり!— 伊藤隼也 (@itoshunya) 2016年4月16日 熊済生会病院では現在、人工透析稼働中ですが、物品や水などの不足SOSが小生に直接入っています。政府は現地の情報収集をもっと迅速に行いロジスティックの支援を行って欲しい。東日大震災と全く同じ現象が起きている。 https://t.co/k6qpfMinnL— 伊藤隼也 (@itoshunya) 2

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  • 韓国における甲状腺がんの過剰診断 - NATROMのブログ

    ■「過剰診断」とは何かを読んでくださった方は、いまや早期発見・早期治療が常に良いとは限らないことをご存知であろう。検診による早期発見・早期治療によって癌による死亡を抑制できる(かもしれない)が、一方で癌を早期発見しようとすると、多かれ少なかれ過剰診断が生じる。これはトレードオフの問題である。 甲状腺がんは過剰診断が起こりやすい、つまり、治療しなくても症状を引き起こさない癌を見つけてしまいやすい、典型的な癌である。甲状腺がんの多くは進行がゆっくりで、予後が良い。また、病理解剖で数十%の人に甲状腺がんが見つかることが知られている*1。なお、日人の甲状腺がんの年齢調整死亡率は0.5前後(10万人年当たり)である。甲状腺は体表近くにあり、現在は超音波による検査機器が進歩しているから、その気になればサイズが数ミリといった小さな甲状腺がんを発見することもできる。よって、特に何の症状も無い成人に対して

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  • WHOは抗がん剤治療を含めた三大療法を勧めている - NATROMのブログ

    ネットでは間違った医学情報がたくさん流れています。その中の一つに「WHOが抗がん剤の使用をやめるようにいいだした」というものがあります。実際には、WHOはそんなことは言い出していません。WHOのウェブサイトにアクセスすれば一目瞭然です。 がん治療についてWHOが言っていること WHOはさまざまな医学情報を提供しています。たとえば、一般的ながん(Cancer)についてのページを引用してみましょう。がんに対する治療として、外科手術、放射線治療、抗がん剤治療(化学療法)に効果があることをWHOは認めています。引用者による意訳と、抗がん剤治療の部分に強調をつけました。 ■WHO | Cancer Cancer is the uncontrolled growth and spread of cells. It can affect almost any part of the body. The

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  • 「過剰診断」とは何か - NATROMのブログ

    早期発見・早期治療が常に良いとは限らない 癌は早期発見・早期治療が大事だと言われているが、いつでもそうだとは限らない。他のあらゆる医療行為と同じく早期発見・早期治療にはメリットと同時にデメリットがあり、そのバランスを考える必要がある。早期発見・早期治療のデメリットの一つが、過剰診断である。ここでは、過剰診断とは「治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない病気を診断すること」と定義する*1。癌を早期発見しようとすると、治療せず放置しても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない癌を診断してしまう恐れがある。 癌を放置しておいても自然に治癒することはなく、局所浸潤したり転移したりして治りにくくなると一般に思われているためか、癌の過剰診断について理解が得られにくいことがあるようだ。まず最初に、過剰診断の典型的な事例を考えることが理解の助けになるだろう。前立腺癌の死亡率と比較して

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  • なぜEM(EM菌)はインチキでニセ科学と言われるのか - NATROMのブログ

    琉球大学農学部教授であった比嘉照夫氏が開発したEMEM菌)は代表的なニセ科学だとみなされている*1。一方、「数百の論文」があるがゆえに、EMはインチキでもニセ科学でもないとの主張がある。 ■2014年10月20日の記事 | EM(微生物)の力で環境を守る インターネット上では、EMを好ましく思わないグループもいるようですが、彼らの主張する「論文が無い」「EMはインチキでニセ科学」という批判が、完全に的外れであることが分かります。 これらの論文や実際の現場でのEM技術を検証することもせず、開発者の比嘉照夫氏の人格批判や、風評を撒き散らす行為こそ、科学者としての道を外れてしまっているのではないでしょうか。 確かに、「EM研究機構」のウェブサイトには「学会発表や論文」と称する大量のリストがある。これらのリストは、EMはニセ科学だという主張に対する反論になりうるのだろうか?実際のところ、これらの

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  • 近藤誠氏は対談を持ちかける前に論文を書くべきだ - NATROMのブログ

    産経ニュースに、近藤誠氏の子宮頸癌についての週刊誌記事、およびその記事に対する産婦人科医たちの反論についての記事が掲載された。 ■【日の議論】「病院は金のためなら平気で子宮を奪う」異端医師・近藤誠氏の週刊誌記事に「産科婦人科学会」怒り心頭(1/4ページ) - 産経ニュース 産経ニュースで言及された産婦人科医たちの反論はウェブ上でも読めるため、リンクしておく。 ■大阪大学医学部産婦人科 |患者様へのご案内 ■週刊誌がひどい|宋美玄オフィシャルブログ「〜オンナの健康ラボ〜」Powered by Ameba エントリーは、近藤誠氏の子宮頸癌に関する主張が誤っていることを理解している読者が対象である。詳細は上記リンク先を参照していただきたい。ご質問がある方はコメント欄で質問していただけたら回答する用意がある。 エントリーの趣旨は、間違った主張に対する対応策についてである。産経ニュースによれば

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    carl_s
    carl_s 2014/12/31
    要は息を吐くように出てくるデマを否定するには数倍から数十倍の労力・時間が必要だってことを真に理解しているかどうかなんだよね。安易に公開討論を受けるとデマ拡散に加担することになる。