1.エビデンスベースドの理念 最近の医療やカウンセリングではエビデンスベースドという考え方が非常に注目を浴びています。今まで医療者やカウンセラーが個人的な経験や勘に頼った治療方法やカウンセリング技法の選択をしていたことことが多かったようです。それに対する批判であり、反動でもありますが、より科学的に検証された、効果があり、妥当な方法を提供しようとする運動でもあり、思想でもあります。 しかし、このエビデンスベースドが独り歩きをしてしまい、過度に実証データのみで判断しなければならない、といった誤解を持ってしまう場合もあります。例えば、認知行動療法だけがエビデンスがあり、それ以外はエビデンスがない、といったのは典型例でしょう。 2.エビデンスレベル まず、エビデンスは有るか無いかではなく、どの程度積み重なっているのか、というレベルの話です。エビデンスレベルと言い、以下のような段階があります。 1a
評者 木部則雄(こども・思春期メンタルクリニック/白百合女子大学発達心理学専攻) メルツァー編著の『自閉症の探求』は1975 年に発刊されたクライン派の自閉症の精神分析に関する臨床研究の先駆けとなるものである。この当時,我が国ではベッテルハイムの自閉症の著書『自閉症―うつろな砦』(みすず書房,1973・1975)の翻訳が刊行された時期である。この著作は全世界に大きなインパクトを与え,自閉症の「フリッジドマザー」という環境因説,あたかも精神分析が万能であるかのような幻想が流布された。本書はこうした時代背景の枠組の中で,英国クライン学派,タヴィストック・クリニックの児童家族部門の代表であったメルツァーとその弟子たちの著作である。本書とベッテルハイムの著書を読み比べると,環境重視の自我心理学とクライン派の精神分析による心的世界の探求との相違が鮮明になり,とても興味深い。その後,ベッテルハイムは多
(1)頻度 精神分析的心理療法では、基本的には週に1回以上の頻度は必要になってきます。可能であれば、週に2〜3回ぐらいできれば進展は着実で、かなりのところまでやっていくことができるでしょう。2週間に1回や月に1回程度しか時間の都合がつけられないのであれば、精神分析的心理療法は当面は断念したほうが良いでしょう。 頻度は精神分析的心理療法にとって本質ではないかもしれませんが、少なくともその進展に大きな影響はあります。ちなみにフロイトは週6回の頻度で行っていたようです。 (2)時間 1回45分〜50分ぐらいがよくある設定です。この時間設定に科学的な根拠があるわけではりませんが、経験的に人がほどよく集中できる時間がこの45分〜50分程度なので、ちょうどよい位なのかもしれません。一度に2時間も3時間も集中がもてませんから。反対に20分や30分といった短い時間では充分に話し合う前に時間切れになってしま
卒後10年弱の男性小児科医です。 東京医大が女子受験生に対して入試で一律に減点措置を行っていたことについて、医師の立場から少し意見を言わせてください。 まず前提として、受験要項等での告知なしに特定のポピュレーションに対して減点もしくは加点措置を行うというのは、受験生の立場からすると到底認められるものではないと言うことは確かだと思います。 せっかくがんばって勉強したのに、自分の知らないところでテストとは別に性別を理由に減点されて不合格になるなんて不公平の極みです。自分がそんな目にあったのがわかったら到底許せないでしょう。 このような減点措置を行っているのであれば、受験生に対して何らかの形でその存在をアナウンスしておくのが試験としての最低限のルールだと思います。 今回の措置で不幸にも不合格となってしまった受験生の方には同情を禁じ得ません。 それでは、事前に「女子受験生は一律に減点します」と受験
昨日ミッドライフ・クライシスについて書いた記事でユング心理学の「影」という概念に少しだけ触れたが、実際には今まで否定的にみていた自分自身の資質を認め、受け入れていく作業というのは整体指導や心理療法の治療モデルの根幹をなすものである。 いわゆる自己受容と呼ばれるそれである。 最近は「あるがままの自分を受け入れて‥」という言葉をよく耳にするが、耳ざわりがいい反面、自己受容という作業はなかなかに困難なものである。 ものごと全般においていえるが、嘘というのは案外やさしく、真実は厳しいことが多い。それだけに自分自身が影に追いやった資質に肉薄するというのはそれだけ心のエネルギーを要する行為なのだ。 これについて河合隼雄著『ユング心理学入門』に判りやすい記述があるので、一部抜粋して引用する。 影の内容は、簡単にいって、その個人の意識によって生きられなかった反面、その個人が認容しがたいとしている心的内容で
僕はメンヘラマッスル作家錦山まる。 今でこそ周囲から筋肉キャラ扱いされているが、かつて重度のうつ病と診断され閉鎖病棟の個室に閉じ込められていたこともある、いわばメンヘラガチ勢だ。 突然だが…僕のような患者は勿論、うつ病当事者でなくても「筋トレすればうつなんか治る」的な発言を見聞きしたことがないだろうか?あるいはそんなイメージを持っていないだろうか? 僕の答えは一つ。「んなわけねぇだろ。」 主治医から筋トレと栄養管理が寛解に繋がったのだろうと言われた僕だからこそ思うし、言う。「んなわけねぇだろ。」 Twitterでもnoteでも何回も言ってきたしこれからも言うが、筋トレすればうつ病が治るというなら今頃世界中の精神病院にトレーニングジムが作られているだろうし、心にコミットR◯ZAPみたいなサービスもゴロゴロ出来ているだろう。 世界のうつ病の患者数は日本の人口よりも多い。精神科医も世界中にいる。
以前「益体の無い話」として痩せた話を書いたが、何のことはない。ガンだった。 発生した場所は大腸のS字結腸という、尻の穴手前最後のカーブあたり。そこにコブシ大の腫瘍が出来ていて、あと少しで通り道を塞いで腸閉塞を起こしかけていた。これが食欲を無くしていた原因だ。 その患部が急激に痛みだし、たまらず病院に駆け込み、ガンが見つかったのが2月のアタマ。すぐに入院、手術となった。 ●寝たきり 手術前。患部がウンコの通り道であることから、手術時の感染症を防ぐため腹の中をカラにする必要があり、口からは水分以外は入れられず、栄養分はすべて点滴で供給される生活を1週間ほど強いられた。 キャスター付の棒にぶらさがった点滴を四六時中繋げた生活。棒を持てば動けるとはいえ、もちろん外出は無理。病室からトイレまでの往復が活動範囲だ。必然的にほぼ24時間ベッド上での生活になった。 手術が終わると身体には点滴に、患部の膿を
【2月21日 AFP】ダイエットに関するアドバイスでは、炭水化物か脂肪の摂取量を減らすよう言われることが多いが、実際には糖質制限も脂質制限も似たり寄ったりだとする研究論文が20日、発表された。 米国医師会雑誌(JAMA)に発表された論文によると、個人の遺伝的特徴やインスリン代謝についても、食事療法がその人にとって有効かどうかの主要な要因ではないという。 この研究結果は、米国の660億ドル(約7兆1000億円)規模のダイエット産業、特に最近流行のDNAダイエットに影響を与えるかもしれない。DNAダイエットは、個人の遺伝子に合う最適なダイエット方法を提示するとうたっているためだ。 論文の主執筆者で、米スタンフォード大学(Stanford University)のクリストファー・ガードナー(Christopher Gardner)教授(医学)は「友人がダイエットを始めて成功し、別の友人が同じダイ
今年で28のフリーター。 幼少期(小学校の低学年頃)に脳に疾患が見つかって、以来十年近く投薬治療をしていた。 また、高校の頃からずっと鬱を患っていた。頭の中が鉛のようになって自由に動けなくなる。生活の上でそういうことが多々あった。 ADHDも併発している。破壊的な過集中を経て朝まで眠れないことが多かった。 バイトのシフトにはちゃんと遅刻せずに行く程度の社会性はあったけれど、やはりと言うべきかミスが多く、恐らく責任者も俺のことを発達障害者として認識していたみたいで、指示を出す時も俺にだけ妙に細かい明確な指示を出してくれたりした。それはそれでありがたかったのだけれど、時々ヒスを起こされることとなった。自分が主原因になっていることは分かっていたから、どちらかと言えば申し訳ない気持ちの方が強かったけれど。 現役で地方の駅弁大学に入学して、卒業が近くなってからは資格試験講座に通っていた。で、途中から
当方社会人で、2005 年頃に発症したうつ病患者。今のところ休職経験なし。メンタル回復に効果があったものとなかったものを列記してみたい。 今でも効果があるもの睡眠時間の確保自分の抑うつ症状は睡眠不足に大きく起因しているようで、大変効果的。かつては深夜 0-1 時入眠 6 時前起床の 4-6 時間睡眠だったのだが、今は 22 時入眠 7 時間睡眠を目標にしている。それでもたまに睡眠不足に陥るが、以前のことを思えば随分良くなったように思う。以下は睡眠関連のコツ。 寝る前のトイレ: 中途覚醒しないように寝る前にトイレを済ませておくのも効果的。連想式睡眠法: ひろゆきがやってると紹介されていた入眠法 *1。自分にはかなり効果的で、これを始めてから入眠障害が随分改善した。寝る前に社会科の教科書を読むのに近い感じ。セックス酒もクスリもやめた自分にとって (後述) セックスだけが即効性のある快楽として残
Search, watch, and cook every single Tasty recipe and video ever - all in one place! News, Politics, Culture, Life, Entertainment, and more. Stories that matter to you. 「サイレント・ベビー」の真実サイレントベビーという言葉を知っていますか? 「母親がすぐに対応しないことが原因で、赤ちゃんが何も要求をしない子になる」というもので、テレビやスマホを使った育児が批判されています。しかし、サイレントベイビーは医学用語ではなく、統計や調査などの根拠はありません。本当の問題はどこにあるのか、小児科医が解説します。 サイレント・ベビーという言葉をご存じですか? 赤ちゃんがなにかを訴えて泣いているのに母親がすぐに対応しないと、なにも要求し
先日、食事にミネラルを取り入れることで、発達障害やアレルギーの改善に取り組んでいる団体の講演を紹介した新聞記事を見かけました。 2018年にもなってこのような取り組みがマスメディアで好意的に採り上げられるというのは本当に哀しく、悔しい気持ちでいっぱいであり、今回の記事を書きます。 ■発達障害の治療は確立されていない 自閉症などの発達障害は現在のところ治療法は確立されておりません。早期に心理・社会的な介入(環境の改善や行動療法など)を行うことで、本人が混乱せずに過ごすことや社会との良好なかかわりが持てるようにし、自尊心を持ち落ち着いて暮らせることで周辺症状を予防することが今のところ妥当性の高い対処法と考えられております。 「○○の使用で病態改善の兆し、自閉症の治療に光明」というようなニュースがたまに話題になりますが、実際の治療に用いられる段階にあるものはなく、それによる治療も専門家は勧めてお
1998年の発売以来、医療・介護の現場から家庭まで幅広く利用されている、龍角散の服薬補助ゼリー。薬を飲みやすくするために開発されたゼリー状のオブラートで、世界35カ国1地域で特許も取得している。福居篤子執行役員が生みの親。一連の開発で多くの賞を受賞する一方、左遷も経験している。逆風にへこたれず、それを力に変えた彼女の実力を見込んで役員へ引き上げたのは、現社長の藤井隆太氏。服薬補助ゼリーシリーズ開発の軌跡を通じ、一時は倒産の危機に瀕した老舗企業を、2人のリーダーはどう蘇らせたのか。証言を基に振り返った(次回「『独裁』は悪いですか 龍角散を再生した音大卒社長」参照)。 ◇ ◇ ◇ 臨床薬剤師としての病院勤務が原点「製薬会社はどうしてこんな飲みにくい薬を作るのだろう?」。龍角散執行役員の福居篤子氏は臨床薬剤師として病院に勤務していた頃、よくそんなことを思っていたという。 薬が嫌だ、飲みたくな
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