「フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと」は奇書を集めた短編集のようなものだ。各エピソードはいずれも死、またはそれに近い形をした失踪で終わり、それが事実かどうかも定かではない。目にする景色は妄想や虚構が入り込んできて、虚実の判断がつかない。そして最後の最後まで我々を弄び、確たる答えを与えないまま終わる。 しかし、不可解を塗り固めて作った迷路へと我々が迷い込むとき、たしかな心地よさがある。夢の世界を彷徨うような、悪夢の世界に足を踏み入れるような奇妙な感覚が、我々を魅了するのだ。 本作は「フィンチ」という一族の身に起きたさまざまな死を追体験していくゲームだ。主人公はエディス・フィンチという女性。フィンチ家の末裔である。自分たちが住んでいた場所を久方ぶりに訪れた彼女は、屋敷を探索し、そこに残された物品に触れることで彼らの最期の日を追憶していく。探索も追憶も一貫して一人称視点で描かれるが、追憶パートで
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