全国の地検で知的障害を持つ容疑者の取り調べ改革が進む中、長崎地検で始まった新たな取り組みが注目を集めている。 地元のNPO法人が障害者の取り調べに専門家を派遣し、福祉施設が刑期を終えた障害者らを受け入れることで、早期の社会復帰につなげる試み。地検が「施設での更生」を条件に裁判で執行猶予を求めて認められる“成果”も出ており、最高検は同様の仕組みを全国に普及させたい考えだ。 「取り調べで、ちゃんと答えられたことは一度もない」。軽度の知的障害があり、3月に佐世保刑務所で5度目の服役を終えた男性(74)は振り返る。 2009年、同居していた兄から受けた暴力の憂さを晴らそうと、金もないのに居酒屋で飲み、無銭飲食で逮捕された。取り調べで事情を説明しようとしたが、検事から「否認」や「黙秘権」など難解な言葉を並べられ、あきらめた。「『やったんだな』と叱られるように聞かれる。言えたのは『はい、すいませ