昨年のエベレストでは外国人登山家とシェルパの間で乱闘事件が起きた。ネパール山岳協会のアンツェリン会長は「ヨーロッパではシェルパが暴力をふるい、野蛮だ、とネガティブキャンペーンが繰り返されたが、今まで厳しい労働環境にジッと耐えてきたシェルパの気持ちも理解してほしい」と話す。 過去の出来事だが、ある隊の隊長が短刀でシェルパの額を切りつけたこともあるのだ。 数年前、エベレストでシェルパが遭難死したときには登山隊の隊長がベースキャンプから衛星電話でカトマンズの旅行代理店に「シェルパが1人死んだ。新しいシェルパが必要だ。早く派遣しろ」と。 「隊長は私たちと会おうともしなかった。シェルパは使い捨てなのです」と遺族の女性が涙ながらに僕に訴えた。 ネパールでは1950~2009年、6000メートル以上の山でのシェルパの死亡者は224人。半数近くの死因は遠征隊のためのルート工作など遠征準備中の雪崩に