時価総額8兆円を超える総合情報企業「リクルートホールディングス」を立ち上げた江副浩正氏。世界に通用する大企業をつくりあげた手腕には経営者としての能力に疑いの余地がない。しかし、彼の存在は、「起業の天才」ではなく「リクルート事件」の主犯者として歴史に名を刻むことになる。 ここでは、“光”と“闇”を見た天才の生涯に迫った、ジャーナリストの大西康之氏による書籍『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』(東洋経済新報社)の序章を引用。日本が生んだ天才起業家の栄光と挫折の一端を紹介する。(全2回の2回目/前編を読む) ◆◆◆ 同じ未来を見ていたベゾスと江副 ジェフ・ベゾスと江副浩正。1987年の秋から1988年の秋までのほんのわずかな時間、ふたりの天才の軌跡が交わった。 江副がリクルートの前身「大学新聞広告社」を創業したのは、ベゾスが生まれる4年前の1960年(昭和35年)である。