人生100年時代といわれるなか、老後資金の不安を解消する手段として「年金の繰下げ受給」が一つの選択肢とされています。受給開始を遅らせることで受取額を増やす制度ですが、その複雑さが思わぬ落とし穴を生むケースも少なくありません。将来への備えが裏目に出てしまったある男性の事例を通し、知られざる年金制度の注意点を探ります。 「もっと増えるはずだった」70歳で突きつけられた残酷な現実 都内の分譲マンションで一人暮らしをする山田徹さん(70歳・仮名)。大卒から定年まで大手メーカーで働き、再雇用制度を利用して70歳まで働き続けました。なぜ、定年後も働き続けるという選択をしたのでしょうか。 「40年近く働いてきて、“働かない自分”が想像できなかった。仕事を辞めても、することがないですから」 山田さんは50代半ばで、20年連れ添った妻を病気で亡くしています。「子どもたちはすでに社会人や大学生で手がかからなく

