「最近の若者は本を読まない。彼らの日本語能力の貧困さは目を覆うばかりだ。このままでは日本人の精神文化そのものが失われてしまう」 管理職世代のオジサンたちが説教くさく嘆く声を耳にしたことはないだろうか?「また始まったか」。うんざりしながらも、反論できずにこの言説を受け入れている若きビジネスパーソンも少なくないかもしれない。 しかし私は、『口のきき方』での取材以来、この言説が「都市伝説」並みの信ぴょう性に欠ける「とんでも話」であることをしばしば指摘してきた。 おじさんの方が「読んでいない」 文芸評論家の斎藤美奈子さんはある雑誌で「若者の活字離れというけどそんな統計は見当たらない。むしろ日本人は年齢が上がるほど読書をしなくなる。若い世代の読書量は近年むしろ増えている。憂慮すべきは中高年だ」と、毎日新聞の世論調査を引用して「俗説」をきっちり否定している。 実は、文化庁が発表したここ2年間の世論調査