約1万年前のアフリカで起きた「人類最初の戦争」から核兵器の発明と使用、ドローンなどの最新技術が投入されたロシア・ウクライナ戦争まで――。文明の進歩に伴い急速な変化を続けてきた戦争の歴史を一冊に凝縮した『戦争と人類』(著:グウィン・ダイヤー、翻訳:月沢李歌子/ハヤカワ新書)。 ここでは本書より、「戦争の起源」と「チンパンジーの戦争」について、一部改編・抜粋して紹介する。(全2回の1回目/続きを読む) 戦争はいつから行なわれているのか 人類は戦争を生みだしたのではない。受け継いだのだ。人類のもっとも遠い先祖も戦争をしたし、進化の隣人であるサルも戦争をする。だが過去2世紀のあいだ、戦争は文明とともに発展したもので、狩猟採集民である祖先たちにとっては重要な問題ではなかったと考えられてきた。 18世紀半ばにその考えを強力に推し進めたのが、影響力の大きかった啓蒙主義の思想家ジャン゠ジャック・ルソーだ。