本著は、読んでない本を堂々と語る、ハウツー本ではない。また、本を読まない事を推奨する物でもない。では何かというと、読んでない本について語るというより、読んでない自らを語る。つまり、著者によるエクスキューズ、懺悔本だ。 世に溢れる書物の数は膨大で、到底全てには目を通し得ない。更には、読んだことすら忘れてしまったような読書を、そもそも読書と呼べるだろうか。更に言えば、読書は自らの経験や理解を通して咀嚼されるものだから、他者と全く違う印象や解釈を得る事も多々ある。そこでは、自らの思考を反転させるには足らず、単に補強材料を集めるだけで、つまりは都合の良い単語の拾い集めになる事もしばしば。だからこそ、読書が必ずしも必要だとか、読書に意味があるとは言えない。向き合う姿勢によるのだろう。一々著者の主張に振り回されるのではなく、軸を持つ事で多面的な視点を獲得できるはずだ。 大衆が注意を払って耳を傾けている
![『読んでいない本について堂々と語る方法』(ピエール・バイヤール)の感想(196レビュー) - ブクログ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/8a562bd08965502b80449e66add2ad0b4969a999/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FI%2F41Nsw%2BD7WWL._SL500_.jpg)