幹部学校普通課程に入校していた1等空尉時代、陸士51期の戦史教官から色々と御指導を受けたことがある。小・中学生時代から「戦記もの」が大好きで、それが「戦史」に収斂し始めたのはこの時からだったかと思う。 戦史教官室に入り浸り、戦史史料を乱読していた私に、「君が関心を持って調べている戦例の真実が、その資料にすべて書かれていると思ってはならない。どうも納得出来ない点については、その作戦にかかわった“当事者”が今も存命だから書かれていないということが多い。例えば真珠湾作戦のような、圧倒的大勝利に終わったものは、当時のマスコミを含めておだて挙げ、根掘り葉掘り書くから資料はそろっていることが多いが、失敗した作戦については、関係者が残っている場合には『そっとして触れない』という日本独自の“慣習”があるものだ。だから君が一生懸命に研究しても、疑問点が一向に払拭できないのだ。やがて時が経ち、関係者は去ってい