茨城県土浦市で農場を営む久松達央(ひさまつ・たつおう)さんは、曖昧で感覚的な言葉で語られることが多かった有機農業を、切れ味鋭い独自の論理で説明して注目を集めてきた。その久松さんが今直面しているのが、これまで対象にしてきたマーケットの縮小と、ライバルの増加による競合の激化だ。経営環境の大きな変化を前に、久松さんは人材育成に力を入れると宣言する。 センサーを導入し、水やりを自動化した 久松さんを取材していていつも驚かされるのは、その論理性の高さだ。何となく作業したり、やり方を変えたりすることはまずない。新しく導入した栽培支援のシステムについて質問していたときも、そのことを強く感じた。 システムは大きく2つの体系に分かれている。1つは、井戸から水をくみ上げ、灌水(かんすい)チューブを通して農場に水をやるシステムだ。以前は手でコックを開け閉めし、作物に水をやっていたが、今はスイッチを入れたり切った