「夜勤になれば分かるよ」 精神科勤務時代の話だ。 新人の私を担当する先輩ナースが、そんな言葉を口にした。 その先輩は稀に見る白衣の天使で、この人の行動や言葉に、人への悪意が含まれるのを、聞いたことがなかった。 そんな先輩がぽつりと言ったのが、ある看護師への否定的な言葉だった。 「yuzukaちゃん、あの人のようにはならないで」 ある日突然そんなことを言われて、驚いた。 「あの人」と言われる佐々木さんは、とても仕事が出来る、優しい人だったからだ。 「どうしてですか?」 キョトンとする私に、静かな声が帰ってくる。 「夜勤になれば分かるよ」 夜勤は、看護師のみの2人体制だった。 日勤帯には何十人ものスタッフがいるのに対し、 夜勤はその病棟に、2人のスタッフしかいないため、「スタッフの本性」が出やすい。 いつもある「周囲の目」がなくなるため、患者さんへの態度や、ステーション内での発言に、歯止めがか