『サッカーおくのほそ道 Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』(宇都宮徹壱/カンゼン) 「日本にはサッカーの文化が根づいていない」 そんな問題は何十年にもわたって議論されてきている。確かに、スタジアムの熱狂にせよ、選手の戦術理解度にせよ、欧州のトップリーグとはまだまだ大きな差がある。それでも、日本には日本独自のサッカー文化が息づいていると考えるだけの軌跡が、各地に刻まれてきているのではないか。 『サッカーおくのほそ道 Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』(宇都宮徹壱/カンゼン)は長年にわたって地方クラブの取材を続けてきた著者が、雑誌を中心に発表してきた文章をまとめた一冊である。中山雅史がアスルクラロ沼津で現役復帰を果たすなど、目を凝らせばJFLやJ3の地方クラブでも常に大きなドラマが生まれては消えている。他ならぬ我々自身のホームタウンで育まれてきた日本のサッカー文化は、地方振興を