『お父さんクエスト』(小山 健/ポプラ社) 世の中に、マンガでも文筆でも育児エッセイが溢れているのは、どこにも正解なんてないからだと思う。生まれてきた命に負わなくちゃいけない責任の重圧にくらべて、自分たちの行動の是非に対する心もとなさといったらない。と、子供を産んだことのない身でさえ思うのだから、当事者たちはよっぽどだろう。だから作者たちはみんな「こういうケースもありますよ」と世に放つ。正直、どうしてみんな育児エッセイを描くんだろう、もう十分すぎるほど作品はあるのに、と疑問だったときもあるのだけど(視野狭窄)、もしかしたら「正しいかどうかなんてわからないけど、それでもどうにかこうにかやれているし、きっと大丈夫ですよ」という気持ちを、みんなと共有したいのかもしれないなあと『お父さんクエスト』(小山 健/ポプラ社)を読んで思った。 お父さん目線で描かれるエッセイは、お母さん側とまたちがう意味で