ドウラスエの支配にはハティエとは違った難しさがあった。まず、その正当性に問題があった。この港町を間接支配していた公国自由都市フォウタは「大公様に許された自治権の侵害である」と問題を風雲島全体規模に拡大しようとした。 しかし、ドウラスエはフォウタが公国自由都市に設定された後に得られた領土であり、そのような理屈を認めたら誰も各公国自由都市の領土拡張を止められなくなってしまう。これはむしろ、焦りのあまり飛び出した諸侯を敵に回しかねない暴論だった。 事実、公国自由都市のリンウが中心となって結成されたジフォン共和国も、周辺諸国と領土を奪い合っているが、フォウタのような無茶な主張はしていない。その理論武装を転移者たちはリンウの商人に教えてもらった。 そもそも現在における大公の権威は名分上のもので、現地に派兵できる実力を有していなかった。 ただ、ハティエ側の後援者であるゴッズバラ王国が及び腰だった。北の
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