香港(CNN) 中国本土からわずか2キロ足らずの林の中、深い茂みと大量の蚊に守られて、その木はある。樹齢200年になる野生の香木。「これが香木だということは、近くの村の人でさえも、私以外は誰も知らない」とチャン・クンウィン氏(54)は話す。 チャン氏は先祖代々受け継いできた事業として、香港で唯一の香木植林業を営み、過去4年で1万本を植えてきた。同氏の植林地の香木は、合計すると30万本にもなる。子どもの頃から一緒に育ってきた香木を守り、それを2人の息子にも受け継いで欲しいという思いは強い。 アガーウッド(沈香=ジンコウ)と呼ばれるジンチョウゲ科の香木は、かつての香港ではありふれた存在だった。数百年前まで香港は香の主要供給地で、香港の「香」の名はこれに由来するとの説もある。しかし不法な伐採によって今では希少な存在になった。 チャンさんにとっては香木を保護したいという思いだけでなく、実入りの良さ