学生のとき、ベテラン記者に「君は記者になったら何をしたいの?」と問われた。漠然としか考えしか持っていなかったころだった。「社会でおかしいと思うこと、伝えなければならないことを伝えたいから」と答えると、その人は「それって自分の考えを伝えるってこと? それなら別に記者でなくても評論家や作家でもいいんじゃない」と言った。「う~ん」とうなるのが精一杯だった。 今なら、あの人が言おうとしていたことが分かる。記者とは、現場に行っていろんなものさまざまな角度から見て、そしていろんな人から話を聞く。とにかく歩いて見聞きする。そこで初めて、報道として伝えるべきことが分かってくる。もし思いだけでペンをとれば、それは自称コラムニストあたりに過ぎない。ニュースと主張はまったくの別物なのだ。 ミャンマーの首都ヤンゴンで、軍事政権によるデモ隊鎮圧などを取材していた日本人ジャーナリストが銃弾に命を奪われた。報道による