「投げ過ぎという印象はない。日本の野球はそういうもの」 弱冠16歳のエース・安楽智大(済美)は大会終了後、こう気丈に語った。 浦和学院の初優勝で幕を閉じたセンバツ。この大会の主役は紛れもなく準優勝投手の安楽だった。準決勝までの4試合をすべて完投勝利。だが決勝では浦和学院の猛打を浴び、自身初の1イニング7失点を喫するなど力尽き、6回終了後に降板した。計46イニングで投じた球数は772球に上る。 あまりに痛々しい姿に加え、試合後のコメントがファンの感動を呼んだ。 「3連投でも苦にならない体をつくって夏に戻ってきたい……」 今度こそ優勝の瞬間までマウンドに立ち続ける―と誓った安楽だが、それははたして投手人生にとってプラスなのだろうか。安楽がドラフトで上位指名確実な素材であることは誰もが認める。高校野球の頂点を目指すのは当然だが、それと引き換えに、その後の野球人生を損なうことになりはしないか。考え