受賞理由となった『アメリカの排日運動と日米関係-「排日移民法」はなぜ成立したか-』(朝日新聞出版)は、博士論文をまとめた学術書『排日移民法と日米関係』(岩波書店)を一般の読者向けに易しく解説した書籍だ。日米の公文書や日記など膨大な1次資料を収集・調査し、歴史の新たな知見を拓(ひら)いている。 根拠に乏しい仮説があふれる情報化時代に、19世紀のドイツが生んだ実証史の父、レオポルト・フォン・ランケにならい、正しい歴史ではなく、「客観的に『ありのままの歴史』を伝えたい」と意気込む。 米カリフォルニア州出身で、大学を卒業後、銀行勤務を経て来日。明るく、開放的な人柄だ。教壇に立つ神戸大のゼミには日本、セルビア、ポルトガル、韓国、ウズベキスタン、レバノン、カナダ、台湾など世界各地から大学院生が集う。恩師の留学生に門戸を開く姿勢を継承し、拡大させた。 行動する学者でもある。世界の国防相らが集うアジア安全