タグ

ブックマーク / mamedlit.hatenablog.com (6)

  • 一次資料から - 中世文学漫歩

    午後から、東大国語国文学会の公開シンポジウム「一次資料から考える」を聴きました。コロナ以来オンラインでしたが今年は対面のみ。構内はむせ返るような若葉の匂いです。 講師は堀川貴司(日漢文学)、光延真哉(歌舞伎)、石山裕慈(国語学)、司会は近代文学の河野龍也、出席者は100人弱、大半が30~40代でもう知らない顔ばかり。河野さんは、佐藤春夫が戦時中に書いた原稿には北京に日人が侵攻したことそのものが戦禍だとあったが、掲載誌が見つかってみるとその箇所はなかったという話をしました。 堀川さんは話し方も内容も分かりやすく、シンポ向き。五山文学資料を例に、一次資料でないとわからないこと、近年の研究動向、二次資料の拡大、普及を挙げて、それぞれの問題点を述べました。光延さんのパワポはよく出来ていて見栄えがしました。歌舞伎台帳(いまで言う台)は、書き換えられるものなので、一次資料で見ると舞台上の創作過程

    一次資料から - 中世文学漫歩
    egamiday2009
    egamiday2009 2024/05/06
    “学者の蔵書が散佚してもマイクロ撮影されてあったもので見ることができた例を挙げてDXの効用を説き、一次資料を見た経験があるからこそ二次資料を見ても脳内で復元ができるのだ”
  • ジェンダーバイアス - 中世文学漫歩

    大津直子さんの「『伊勢物語』六十段「花橘」小論―女子大学の教室から、注釈のジェンダーバイアスを考える―」(「同志社女子大学日語日文学」34号 2022/6)を読みました。伊勢物語六十段は、主人公の昔男が宇佐の使として下った際、「宮仕へいそがしく、心もまめならざりけるほど」の「家刀自」が今は他国で人となっているのを知り、酌をさせて、「さつき待つ花橘の」という歌を詠みかけ、女はそれを聞いて「思ひ出でて、尼になりて山に入」ってしまったという、有名な話です。 近世以前から、伊勢物語の注釈は、この話が昔男を見限った女の浅慮と後悔を語っているとして、やや懲罰的に説いてきました。しかし女子大で、それを鵜呑みに講じようとすると何かひっかかる、と大津さんは言うのです。昔男のふるまいからは、優雅な懐旧の情よりも、自分を捨てて格下の男の許に移った女への陰湿な執着心を読むべきでは、と。 そして「まめ」「家刀

    ジェンダーバイアス - 中世文学漫歩
  • 開戦1941 - 中世文学漫歩

    Nスペ「新・ドキュメント太平洋戦争~1941開戦~」を2日に亘って視聴しました。真珠湾攻撃から80年の記念日を前に、「さきの大戦」を国から押しつけられたものとのみ捉えるのは誤りで、国民の多くが切望し熱狂した事実を忘れてはならない、というメッセージを籠めて制作されたと推測しました。そのメッセージそのものには賛成ですが、全体的に薄味の印象を持ちました。戦後76年、実体験としてのあの時代はもう再現することが不可能に近くなり、いわば二番だし、三番だしのような水っぽさを感じたのです。 しかし驚いたのはその制作手法でした。当時のさまざまな人々250人以上の日記をAIに読み込ませ、現代のSNSトレンド分析の方法を用いてデータ化した、というのです。なるほどこれは、NHKでなければ出来ない規模と技術でしょう。画像も当時の写真・動画の一部に彩色を施し、また(多分)再現映像もふんだんに交えて現実感を出し、アクセ

    開戦1941 - 中世文学漫歩
  • 徒然草の視界 - 中世文学漫歩

    中世文学会初日、オンラインによるシンポジウム「徒然草の視界」を視聴しました。会員外も含め370人の参加申し込みがあったそうで、盛会でした。講師は中野貴文・小川剛生・川平敏文、司会は荒木浩という、いま徒然草研究の最前線を走っている人たちです。予め会員全員に資料集が配布され、講師の発表をVTRに収録しておいたのは、事務局の行き届いた準備の結果でした(但し共有画面の文字がぼやけて読みにくい)。 オンラインによるシンポや講演では、発表資料の作り方やプレゼンテーションにも、従来とは異なる工夫が必要だと痛感しました。癖なのか座姿勢がじっとしていない人、語尾を呑んでしまうので声がよく聞き取れない人、モニター画面が横にあるのか視線が落ち着かない人・・・TV中継ならばディレクターが注意したり、ミキサーが調整したりするのでしょうが、当人が気づいて改善しないと視聴者はつらい。 シンポの内容は分かりやすく、面白か

    徒然草の視界 - 中世文学漫歩
    egamiday2009
    egamiday2009 2021/07/10
    「文学を、もっと「文学」として読むべきだ、とつくづく思います。」
  • 黙らない - 中世文学漫歩

    話はやや旧聞に属しますが、6日の夜、うっかり、You Tubeのオンラインミーティング「Dont Be Silent わきまえない女たち」を視聴してしまいました。まず、こんなに速く、これだけのメンバーを集めて企画、実施できたことに驚嘆。司会の永井玲衣さんが素晴らしい。冷静、公平に、それぞれに個性豊かな女性たちの発言を引き出していきます。調べると、上智大学の哲学の院生だそうで、職業柄、思わず、上智大学はいい教育をしているんだなあと感心しました。哲学も今や実践的な学問になったようです。 うっかり、とは、2時間半画面に惹きつけられて、この日の予定がすっかり駄目になってしまったからです。右側を走るチャットをちらちら視ながら、発言を聞き落とすまいとへとへとになりました。癪なので、友人たちにも勧めました。翌日感想が届きました。 【時宜を得た、有意義な取り組みであったと思いました。24人の参加者は多士済

    黙らない - 中世文学漫歩
    egamiday2009
    egamiday2009 2021/02/18
    “彼1人の特質ではなく、私たちの周りにうじゃうじゃあるものです。”
  • 軍記物談話会抄史(2) - 中世文学漫歩

    昭和43年12月、軍記物談話会では渥美かをる氏を講演にお招きしました。その頃、会員は50名に近づいていましたが、会員の同窓会館などを会場に、手弁当で運営されていました。有名な女性会員は3名いた(それぞれ、『承久記』、『平家物語』や幸若、『太平記』が専門でした)のですが、2人は運営には参加せず(それには理由があったことを後に知りました)、会計を務める同窓同門の先輩が活躍していました。 私は会社員を辞めて大学院に入りましたが、直後に学園紛争が始まって大学は機能しなくなり、プロの文学研究とはどうすればいいのか、途方に暮れている時期でした。卒論のテーマを選んだ当初から、渥美氏の研究に導かれたり噛みついたりしていたので、当日の講演はほんとに楽しみにしていたのです。ところが始まるやいなや、先輩から、ちょっとちょっと、と水屋へ呼ばれました。おもてなしの紅茶を淹れるから、というのです。さっさと済ませて、講

    軍記物談話会抄史(2) - 中世文学漫歩
    egamiday2009
    egamiday2009 2020/11/11
    「組織の長は男性、会計など庶務は女性、というパターンを崩したかったのと、私は誰かの子分にはならない、という信念を守りたかった」
  • 1