タグ

ブックマーク / ikedanobuo.livedoor.biz (85)

  • アベノミクスを考えるための文献リスト : 池田信夫 blog

    2013年02月01日18:39 カテゴリ アベノミクスを考えるための文献リスト きのうアゴラでも書いたが、日には19世紀の貨幣数量説をいまだに信じている人がいるようだ。金融政策の効果というのは、私の学生のころから経済学でもっとも激しい論争の行なわれた分野で、「ケインジアン対マネタリスト」という色分けもこれに由来する。学問的にはほぼ決着のついた問題だが、かなりテクニカルなので証券アナリストには理解できないのかもしれない。そこでこういう人も読んでおくべき基的な文献をリストアップしておこう。マンキュー『マクロ経済学』:マクロ動学をむずかしい数学を使わないで解説した教科書。学部むけ。 齊藤誠ほか『マクロ経済学』:流動性の罠など、日の状況も解説したニューケインジアンの教科書。学部むけ。 Gali, Monetary Policy, Inflation, and the Business C

    アベノミクスを考えるための文献リスト : 池田信夫 blog
    ehermes
    ehermes 2013/02/04
  • 日中のガバナンスと経済発展 : 池田信夫 blog

    2012年10月05日17:12 カテゴリ 日中のガバナンスと経済発展 『「日史」の終わり』に青木昌彦氏からメールでくわしいコメントをいただいて気づいたことがあるので、少し補足(テクニカル)。 彼の新著は日中韓の経済発展の比較で、その要旨を述べた国際経済学会の会長講演の訳が『経済セミナー』8月号に掲載されている。それによれば、日中の経済発展パターンの違いの原因は、日ではイエやムラによる地縁的結合が中心だったのに対して、中国では宗族と呼ばれる擬似血縁集団が中心だったことに求められるという。これは最近では関係(guanxi)と呼ばれるが、宗族は親族集団ではなく機能的な社団(corporation)だ、というのが青木氏の主張のコアである。 これはわれわれのでも重要な論点で、両者の違いがその後の近代化の経路をわけた。中国では国家の経済インフラが弱いため、宗族によって契約の履行を担保しなけれ

    日中のガバナンスと経済発展 : 池田信夫 blog
    ehermes
    ehermes 2012/10/06
    池田さん輝いています。
  • 電子ブック戦争 日本の敗北 : 池田信夫 blog

    2009年11月15日15:40 カテゴリIT 電子ブック戦争 日の敗北 Google Booksをめぐる新しい和解案が提示され、英米圏の以外は除外されることになった。これまでこのプロジェクトに文句をつけてきた日文芸家協会などは喜んでいるだろうが、これによって次の大きな市場と目されている電子ブックで、日が敗北することが確実になった。 今のところトップランナーはアマゾンのKindleだが、日語のを読むことはできない。ソニーは欧米ではSony Readerを販売し、Kindleに負けない台数を出荷しているが、今回の新和解案で決定的に不利になった。ソニーはGoogle Booksと提携してEPUBというオープン規格を採用しているので、日が和解から除外されると、Sony Readerで日を読むことは不可能になるからだ。 英米の出版業界がGoogle Booksに好意的なのは、

    電子ブック戦争 日本の敗北 : 池田信夫 blog
    ehermes
    ehermes 2012/06/30
  • 「財務省支配」という都市伝説 : 池田信夫 blog

    2012年05月03日11:54 カテゴリ法/政治 「財務省支配」という都市伝説 霞ヶ関で、一つの抗議文が話題を呼んでいる。財務省の広報室長が朝日新聞の4月5日の記事の事実誤認を指摘し、その訂正を求めたものだ。特に私が驚いたのは、次の部分だ:「東大在学中から勝の友人である前国交事務次官の竹歳誠が就任。」との記載がありますが、勝財務事務次官と竹歳官房副長官は、卒業年次も3年異なり、学生時代全く面識がありません。竹歳氏は1972年東大法学部卒、勝氏は1975年卒だから、朝日の記事は明白な間違いだ。しかし昨年9月に竹歳氏が官房副長官に就任したとき、オール霞ヶ関の統括に国交省出身者が就任する異例の人事を「竹歳氏は勝氏の同級生で財務省のロボットだ」とする解説が広がり、霞ヶ関の常識になっていた。もちろん同級生でなくても仲よしということはあるだろうが、「財務省のロボット」という話はあやしい。 巷に流布し

    「財務省支配」という都市伝説 : 池田信夫 blog
    ehermes
    ehermes 2012/05/03
  • 政治の起源 : 池田信夫 blog

    2012年04月27日17:35 カテゴリ 政治の起源 経済学は「社会科学の女王」と呼ばれることがある。これは見かけを数学で飾って科学的に見えるだけでなく、経済的な土台が上部構造を規定するというマルクスの図式がいまだに多くの社会科学者に受け入れられているからだろう。その元祖は「市民社会が国家を生み出す」というヘーゲル法哲学だが、最近はこのヘーゲル=マルクス以来の図式を疑う議論が多い。 書はこうした問題意識を明示し、政治学を中心にして社会科学を再構成しようという野心的な試みだ。著者の出世作『歴史の終わり』は、冷戦の終了とともに西洋的な自由経済と民主主義が究極的な勝利を収めて歴史が終わる、という露骨な自民族中心主義だったが、書はその逆に中国をベンチマークにして国家の歴史をたどっている。 著者によれば史上最初のmodern stateは、紀元前3世紀の秦である。550年に及ぶ春秋戦国時代の

    政治の起源 : 池田信夫 blog
    ehermes
    ehermes 2012/04/28
  • 原子力は「文明の選択」ではない : 池田信夫 blog

    2011年08月28日15:51 カテゴリエネルギー 原子力は「文明の選択」ではない 原発事故をめぐって出てきた「現代思想」もどきの議論は、日の「論壇」の衰退を露呈していて興味深い。「原発とともに資主義を廃絶しよう」とアジテーションする柄谷行人氏、「すべての原発の即時停止と廃炉」を求める内田樹氏、「原子力も火力もやめて光合成で生きよう」という中沢新一氏、原発問題は「子供を取るかエアコンを取るか」の選択だという大澤真幸氏などは、漫談としてはおもしろい。 その中では、書は『一六世紀文化革命』の著者、山義隆氏が、科学技術史の観点から原子力をどうみるのか興味があったので読んでみたが、残念ながら「読んではいけない」になってしまった(画像にリンクは張ってない)。学術書の慎重な語り口とは違い、「原子力村の独善性」を糾弾し、電力会社の説明を「正気で書いているのか」と罵倒する記述は、かつての全共

    原子力は「文明の選択」ではない : 池田信夫 blog
  • 財政政策で円安にできるか* : 池田信夫 blog

    2011年08月17日00:48 カテゴリ経済テクニカル 財政政策で円安にできるか* マクロ経済の話題が続くが、国会議員からのコメントなのできちんとお答えしておく(細かい話なので、興味のない人は無視してください)。 話の始まりは、中村哲治氏(民主党参議院議員)のつぶやきである:そうです。私は円の価値を落とす目的のためならば国債を発行して「新成長戦略」の各項目に投資すべきという立場です。RT @kskt21 …野田氏が米国の紙切れを60兆も買う事が信じられません。そのような金があるのなら内需に使うべきですよね? 先生いかがですか?この「米国の紙切れを60兆も買う」というのは為替介入のことだと思われるが、中村氏はこれに対して「円の価値を落とす目的のために国債を発行」すべきだと主張している。これに対して、私は国債をいくら発行しても円の価値は変わらない。国会議員は学部レベルのマクロ経済学ぐらい勉強

    財政政策で円安にできるか* : 池田信夫 blog
  • 円高はなぜ止まらないのか : 池田信夫 blog

    2011年08月14日12:08 カテゴリ経済 円高はなぜ止まらないのか リフレ派も、経済学界ではほぼ壊滅したが、稲葉振一郎氏のような素人や政治家の世界ではまだ生き残っているようだ。こういう宗教的信念をもっている半可通を説得するのは一番むずかしい。「日銀がマネーをばらまけばインフレになる」とか「円安になる」というのは、一見わかりやすいからだ。 現在のような流動性の罠では、中央銀行がいくら通貨を供給してもインフレにならないことは、他ならぬクルーグマンが強調しているところだ。これはアメリカのQE2の経験でも明らかで、バーナンキも認めているので、さすがのリフレ派もいわなくなった。 ところが、今度は「円高は日銀が通貨を十分供給しないからだ」という話が出てきた。高橋洋一氏は「円・ドルレートの動きは、日米のマネタリーベースの比によって、90%程度も説明できる」というのだが、当だろうか。彼のグラフは都

    円高はなぜ止まらないのか : 池田信夫 blog
  • 「デフレ先進国」日本 : 池田信夫 blog

    2011年08月10日01:03 カテゴリ経済 「デフレ先進国」日 先週からの株安について、債務危機とか格下げとか、メディアはいろんな解説をしているが、クルーグマンのいうように「アメリカが流動性の罠に入った」ことが基的な原因だろう。感じとしては、日の13年前と同じぐらいだ。Some readers may recall that back in 2008, when I began writing about the dangers of a liquidity trap and all that implied, I got a lot of angry pushback from the usual suspects. The liquidity trap is nonsense, they said; printing money is always inflationary;

    「デフレ先進国」日本 : 池田信夫 blog
  • 衰退先進国イタリア : 池田信夫 blog

    2010年11月28日11:16 カテゴリ科学/文化 衰退先進国イタリア きのうの記事に、ツイッターで「イタリアに似てきた」というコメントがついたので、おもしろ半分にChikirinの日記の記事を紹介したら、大反響だった。たしかに(政治)ぐちゃぐちゃ。こんな奴が首相でいいのか?と言いたくなるレベル (首都)世界の人が憧れる大都市。ユニークに熟れた都市文化が存在 (教育)この国の教育レベルが高い、などという人は世界にいない (事)世界トップレベルの美味しさ。 世界中でブームが定着といった特徴は、日とよく似ている。しかし最大の違いは、イタリア人はそういう現状に満足しているのに、日人は悲観しているという点だ。自殺率を比較すると、日は10万人あたり24.4人で主要国でトップなのに比べて、イタリアは6.3人で最低。これはカトリックなので自殺の禁忌が強く、自殺を事故として申告するバイアスもある

    衰退先進国イタリア : 池田信夫 blog
  • 「読書人」としての東洋的官僚 : 池田信夫 blog

    2011年08月05日00:44 カテゴリ法/政治読書人」としての東洋的官僚 経産省の首脳人事については、いろいろな憶測が乱れ飛んでいるが、これで官邸と経産省の亀裂が決定的になったことは間違いない。霞ヶ関の首相に対する不信感は深刻で、ある官僚は「官邸で首相とすれ違ったとき、思わず殴りたくなった」といっていた。 私は更迭される幹部の政策がよかったとは思わないが、彼らが事故を防げたはずもない。公平に見て、官僚は地道に震災に対応してきたと思う。原子力行政を混乱させた張人は首相である。今回の処分は、業績不振の会社の社長が、自分の責任を棚に上げて役員のクビを全部切るようなもので、こんなことをしたら会社はめちゃくちゃになる。 つくづく思うのは、日で官僚に期待されている役割と、法律で決まっている機能に大きなギャップがあるということだ。法律上は、政策を決めるのは政治家で、官僚はその政策を執行する

    「読書人」としての東洋的官僚 : 池田信夫 blog
  • 行動経済学の父ヒューム : 池田信夫 blog

    2011年07月26日00:29 カテゴリ 行動経済学の父ヒューム 昔、廣松渉の授業で、彼が「私のことをヘーゲリアンだという人が多いが、私は近代哲学でいちばん重要なのはヒュームだと思う」と言ったことがある。よく西洋の近代哲学はデカルトの方法的懐疑から出発したといわれるが、これを徹底したバークリは、世界のすべての事物は私の意識の生み出した仮象だという主観的観念論を主張した。ヒュームはさらに進んで、デカルトもバークリも疑わなかった「私」の存在を疑った。彼は「人間とは、絶えず変化し、動き続けるさまざまな知覚の束」だとした上で、そういう源的にはバラバラの知覚の束が「私」という同一性をもつのはなぜかと問い、その答を記憶の保持に見出した。これはほとんど現代の脳科学と同じ結論である。この観点から、彼は法則や因果関係などの近代科学の概念を疑う。すべての事実の逆もまた可能である。それは論理的な矛盾をきた

    行動経済学の父ヒューム : 池田信夫 blog
  • 日本政治の「古層」 : 池田信夫 blog

    2011年07月08日22:50 カテゴリ政治の「古層」 民主党政権のグダグダぶりをみていると、丸山眞男の格闘した問題は日人の永遠の問題だという感を強くする。彼は一般には西洋的モダニストとして知られているが、講義録などを読むと、むしろ「日的なるもの」についての考察が大半を占めている。晩年の有名な論文「歴史意識の『古層』」(『忠誠と反逆』所収)は、彼の日人論の集大成である。経験的な人間行動・社会関係を律する見えざる「道理の感覚」が拘束力を著しく喪失したとき、もともと歴史的相対主義の繁茂に有利なわれわれの土壌は、「なりゆき」の流動性と「つぎつぎ」の推移との底知れない泥沼に化するかもしれない。これは思いつきで消費税やら雇用やら「脱原発」やら、つぎつぎとなりゆきにまかせて看板を掛け替える、どこかの国の首相の行動を描写しているようにみえる。もともと日政治家には原則とかイデオロギーと

    日本政治の「古層」 : 池田信夫 blog
  • 合理的意思決定の限界 : 池田信夫 blog

    2011年07月03日13:28 カテゴリ経済 合理的意思決定の限界 東日大震災のような巨大地震が近いうちに再発する確率はほぼゼロであり、それが原発のある地域で起こって大津波で(すでに耐震工事の終わった)予備電源装置を破壊する確率は、おそらく100万年に1度以下だろう。それでも人々は検出限界以下の放射線を恐れ、知事は原発の運転再開に同意しない。このような行動を経済学では非合理的な意思決定と呼ぶ。 しかし合理的とは何だろうか? 経済学では効用を最大化する行動だが、現実の人々の行動のほとんどが非合理的だとすれば、それと無関係な数学的公準を合理的と呼ぶのはおかしいのではないだろうか。むしろ新古典派経済学の命題のほとんどは、理想的な条件のもとではこういう行動で効用が最大化されるという規範的な理論と考えたほうがいいというのが著者の意見である。 では、それとは別の記述的な理論とは何か。困ったことに

    合理的意思決定の限界 : 池田信夫 blog
  • 自由主義と個人主義の間 : 池田信夫 blog

    2011年07月01日10:34 カテゴリ 自由主義と個人主義の間 昨今の混乱をきわめた政治を見ていると、日人には合理的な意思決定は無理なのかなと思ってしまう。これは丸山眞男を初めとして近代の知識人が、くり返し問い続けたテーマである。従来の丸山論では、日の特殊性を分析する彼の問題意識に賛同する者と、彼が理想化した(実在しない)西洋とひとリ芝居をしていたたけじゃないのという吉隆明などの批判がある。 書は、その西洋的理念に二つの要素があったことを指摘する。それは現代でいえば、フリードマンやハイエクのような明るい自由主義と、テイラーやグレイの批判する暗い個人主義の違いともいえようか。前者は論理によって学ぶことのできる普遍的真理で、日人であっても一定の知性があれば身につけることができるが、後者は特殊キリスト教的な情念で、勉強で身につけることはできない。 西洋人は意識していないが、彼らの

    自由主義と個人主義の間 : 池田信夫 blog
  • カントの「コペルニクス的転回」 : 池田信夫 blog

    2011年06月19日17:07 カテゴリテクニカル カントの「コペルニクス的転回」 原発をめぐる議論が不毛な罵り合いになるのは、推進派と反対派が別の「宗教」で、最初から結論が決まっているからだ。人間が論理的に話し合えばわかるというのは大きな間違いで、人間は最初からもっている先入観を事実で確認するのだ。 カントは、こうした構造は認識に普遍的なものだと考え、書を形而上学(素朴実在論)の批判として書いた。認識は存在の反映ではなく、認識が存在を作り出すのだ。このコペルニクス的転回の最初はヒュームだが、カントはそれによってニュートン力学の正当性を証明しようとした。 「物自体」は認識できないが、それがどういう状態で存在するかは人間の主観で決まる。ではその主観的な認識は何によって決まるのか。それを決める思考様式を彼は先験的カテゴリーと呼んだ。世界を理解するためにまず必要なのは、このカテゴリーを共有

    カントの「コペルニクス的転回」 : 池田信夫 blog
  • 道徳なき商業 : 池田信夫 blog

    2011年05月29日12:32 カテゴリ経済 道徳なき商業 私が孫正義氏の「自然エネルギー協議会」について「エネルギーは経済問題。『正義』を持ち込むのは間違いのもとである」とコメントしたら、彼が「正義を疎かにする経済ほど愚かなものはない」と反論し、たくさんの賛否両論のコメントが来た。その中で目についたのは、ガンディーの「道徳なき商業」の引用である。これは国会の参考人聴取で小出裕章氏が言ったらしいが、彼はガンディーがインドの「商業」に何をもたらしたか知っているのだろうか。 書は、ガンディーの経済思想をインド出身の経済学者が解説したものだ。ガンディーが経済学を論じたわけではないが、著者は書簡や演説などの断片からその経済思想を再構成している。著者によれば、ガンディーは伝統的な農村の自給自足をベースに経済発展を考えていた。彼の経済思想は、次のベンガルでの演説に端的に表わされている。ベンガルが

    道徳なき商業 : 池田信夫 blog
  • 福島みずほ症候群 : 池田信夫 blog

    2011年05月21日08:40 カテゴリ法/政治 福島みずほ症候群 首相の「要請」で浜岡原発が停止されてから、各地で原発停止の住民運動が広がっている。それは当然だろう。地震確率0.0%の福島第一原発で事故が起こったのだから、地震のリスクを基準にすれば日のすべての原発が危険だ。 この問題で一貫して明快な主張をしているのは、社民党の福島みずほ党首である。彼女は以前から浜岡の停止を求めており、今度はさらに進んで「命を大事にするために、すべての原発を即刻止めるべきだ」と主張している。その通りである。もっと一貫して、命を大事にするために、すべての自動車と飛行機の禁止を求めてはどうだろうか。 彼女に代表される「絶対安全」を求めるヒステリーは、日社会の病である。これは彼女が派遣労働の禁止を求めていることと無関係ではない。どちらも目先の不快な現象をなくすことだけを求め、その結果を気にしない。原発を止

    福島みずほ症候群 : 池田信夫 blog
  • TPP亡国論 : 池田信夫 blog

    2011年04月29日00:29 カテゴリ経済 TPP亡国論 著者の昔のは読んではいけないのリストに挙げたが、書はそれを上回る(下回る?)駄である。取り上げる価値もないのだが、最近ネット上で書を根拠にしてTPPを批判する言説が目立つので、簡単にコメントしておく(画像にリンクは張ってない)。 新書で250ページ余りだが、繰り返しが多く中身が薄い。彼の出ているYouTubeを見れば十分である。内容はここで言っている重商主義の他には、次の2つだけ:TPPは実質的にはアメリカとのFTAである TPPで輸入が増えると、デフレになる1からいうと、TPPの9ヶ国のうちGDPで圧倒的に大きいのは日米であり、実質的な日米FTAである。そんなことは自明だが、どこが悪いのか。多国間がいやなら二国間のFTAを結べというのかと思ったら、自由貿易はよくないという話に飛躍する。これは彼の前著への書評で批判し

    TPP亡国論 : 池田信夫 blog
  • 西洋文明の黄昏 : 池田信夫 blog

    2011年04月10日13:22 カテゴリ経済 西洋文明の黄昏 今度の震災は、日にとって文明的な転換点になるだろう。明日は今日より豊かになる時代が終わり、人々が貧しくなる時代が来る。歴史上、多くの文明がそういう時を迎えた。西洋文明もその例外ではない。 書は著名な経済史学者がTVシリーズをもとにして「17歳の子供のために書いた入門書」で、わかりやすく西洋文明の勃興を解説している。彼は西洋文明が人類史上に例をみない繁栄を実現した原因を次の6つの「キラー・アプ」に求める:競争 科学 財産権 医療 消費社会 労働倫理特に重要なのは1で、これが他の優位性の基礎になった。15世紀ごろ、ユーラシア大陸の東西の経済水準はほぼ同じだったが、中国のほうが西洋よりずっと住みやすかった。中国は明王朝のもとで100年以上、平和が続いていたが、西洋では数百の「国」が分立して血なまぐさい戦争を繰り返していたからだ

    西洋文明の黄昏 : 池田信夫 blog