ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/column (45)

  • ケインズの時代が終わり、マルクスの時代が始まる

    原油価格は1バレル50ドルを切り、2009年以来の水準になった。昨年11月のコアCPI(生鮮品を除く消費者物価)上昇率は年率0.7%に下がったが、今年中にはCPI上昇率はゼロになるだろう。日銀の大規模な量的緩和で上がらなかった物価が、原油安で下がったのは皮肉である。 黒田総裁の当のねらいは円安にあったと思われるが、これも裏目に出た。昨年の貿易赤字は史上最大になり、せっかくの原油安も、ドル高で半分ぐらい帳消しにしてしまった。黒田氏の信じている一国ケインズ主義は、もう終わったのだ。 ケインズ理論では、通貨供給で物価水準を動かし、為替レートで経常収支が動かせることになっているが、グローバル化した世界ではこういうコントロールはきかない。資がネットワークで世界を移動するからだ。資収益率も金利も、新興国との競争で世界的に低下している。日銀の力だけで「デフレ脱却」はできないのだ。 これは大きくい

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    eigokun 2015/01/07
  • 55年体制に回帰した政治の本当の争点

    総選挙では与党の勢力がほとんど変わらず、「第三極」が激減して共産党が倍増した。民主党はかつての社会党と同じく労働組合に依存した政党なので、国会は自民党の長期政権が続いた「55年体制」に回帰したようにみえる。 90年代にはこれを変えて政権交代を可能にしようと「政治改革」が行なわれたが、55年体制の原因を小選挙区制に求めたのは誤りだった。中選挙区制でも1993年には政権交代が実現し、小選挙区制になっても小党分立はいまだに変わらない(大部分は比例区だが)。最大の問題は選挙制度ではなく、対立軸の不在なのだ。 かつての自民党にすぐれた政策があったわけではないが、社会党には「憲法を守る」という政策しかなかった。対立軸はいつまでもたっても「安保・自衛隊」で、経済政策では自民党も社会党も「大きな政府」だった。公的年金制度をつくったのは岸信介であり、それを今のようなバラマキ型にしたのは田中角栄である。 だか

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    eigokun 2014/12/18
  • ピケティ的な格差は日本でも拡大するか

    世界中でベストセラーになったトマ・ピケティの『21世紀の資』が、日でも発売された。このの最大の特徴は、資蓄積によって資家と労働者の格差が拡大するという事実を過去200年以上のデータにもとづいて明らかにしたことだが、異論も多い。 特に最上位0.1%の大富豪の年収は、アメリカでは1億5000万円以上なのに対して、日では3300万円以上だ。日の格差はアメリカのように上位1%と残り99%ではなく、正社員と非正社員の格差である。 総務省の調査によれば、2013年の非正社員の比率は38.2%で、これは20年前の2倍以上だ。非正社員の時給は正社員の約6割なので、これが増えると平均賃金は下がる。図のように年収300万円以下の労働者の比率は40%を超え、200万円以下の貧困層が25%近い。 その一つの原因は、ピケティも指摘するテクノロジーの変化である。今まで高い賃金をもらっていたホワイトカラー

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    eigokun 2014/12/11
  • 消費税の増税先送りで増幅される「政治的な景気循環」

    急に解散・総選挙のムードが強まってきた。前の総選挙から2年しかたっていないが、解散があるので、衆議院議員の平均在職年数は2年9ヶ月だ。2年過ぎたら、解散してもいいとされる。衆議院の任期は2016年末まであるが、歴史的には任期ぎりぎりで追い込まれて解散すると、自民党が負けることが多い。2009年の麻生内閣がそのパターンで、「解散の時期を逸した」と批判を浴びた。 総選挙での自民党の得票率は、経験的には解散したときの内閣支持率にほぼ比例する。安倍内閣の支持率は落ちてきたが、まだ40%台と高く、2005年の郵政解散のときの小泉内閣に近い。いま解散・総選挙をしても2012年の294議席には及ばないと予想されているが、野党は選挙協力ができていないので、やるなら今のうちだ。 来年9月の自民党総裁選挙で再選を果たすのが安倍首相の目的なので、それまでに党内で「安倍おろし」が出るような事態は避けたいところだろ

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    eigokun 2014/11/12
  • 誰が「太陽光バブル」を生み出したのか

    10月に入って、各電力会社が太陽光エネルギーの新規買取を中止し、各地でトラブルが起こっている。この最大の原因は、次の図のように今年に入って太陽光設備が倍増し、設備ベースで約7000万kWに達したからだ。これは原発70基分にのぼる膨大な設備である。 経済産業省によると、この発電設備がすべて稼働した場合、固定価格買い取り制度(FIT)による賦課金は毎年約2兆7000億円、消費税の1%以上だ。このコストは今後20年続くので、総額は50兆円以上にのぼる。電力利用者の超過負担は1世帯あたり毎月935円になる。 この原因は単純である。電力会社が買い取る価格が高すぎるのだ。2012年7月から施行された再生可能エネルギー特別措置法(再エネ法)では、それまでの余剰電力の買い取りではなく、全量買い取りを電力会社に義務づけた。これによって電力会社は電力の質に関係なく、太陽光発電所からの電力をすべて買い取ることに

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    eigokun 2014/10/29
  • イラクはどこまで解体されるか

    6月10日に北部モースルが陥落して以降、イラク分裂の危機が現実性を持って語られるようになった。「イラクとシャームのイスラーム国」(ISIS)勢力は、北はモースルからティクリートまでを、西はファッルージャからバグダードに向かうルートを制圧し、さらに東方のディヤーラ県まで勢力を拡大している。ISISの制圧地域が地理的に「スンナ派地帯」だからというので、「イラクの宗派別分裂」が言われるのだが、事態はより深刻だ。なぜなら、分裂は地理上の問題ではなく、現政府が一つのまとまった国家領域としてのイラクを守ろう、という意思と能力がないことが、露呈されたからだ。 モースルが陥落した際に、これを守るべきイラク国軍はさっさと逃げたと、前回のコラムで述べた。イラク国軍や警察は、イラク国民をではなく、自らの宗派や民族を守ることにばかり、専念しているのだ。それだけではない。マーリキー首相をはじめとして、政府要人たちの

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    eigokun 2014/06/16
  • イラク:モースル陥落の深刻さ

    恐れていたことが起こりつつある。 アルカーイダすら「絶縁」するほどの過激派、「イラクとシャームのイスラーム国」(ISIS)が、イラクで攻勢に出、イラク第3の都市、モースルを手中にいれたのだ。 ISISは、すでに今年初めからファッルージャなどイラク西部で拠点を築き、イラク国軍と抗争を繰り返していたが、6月に入ってバグダードの北125kmにあるサマッラーに攻勢をしかけるなど、活動範囲を急速に拡大していた。それが、10日には北部ニナワ県県庁所在地のモースルを陥落したのである。 ISISの武装勢力はモースルの市庁舎や空港など要所を制圧し、同市を守るべき警察、軍は軍服を脱いでほうほうの体で逃走したという。庇護を失った市民は市外、県外に逃げまどい、その数は45万人にも上ると言われるが、隣接するクルド自治区では殺到する難民に固く門戸を閉ざして、騒動に巻き込まれまいと必死だ。 イラクの治安は、2011年末

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    eigokun 2014/06/12
  • 人口減少時代には「メガシティ」への人口集中が必要だ

    の人口はすでに減り始めており、あと30年で3000万人以上減って1億人を割る見通しだ。これに対して「少子化対策」や移民の受け入れなどの話が出ているが、当に人口減少は困ったことなのだろうか。 個人の豊かさの基準はGDP(国内総生産)ではなく、一人あたりの所得である。日経済はこれからゼロ成長に近づくが、一人あたりGDPは今後も毎年1%ぐらい増えると見込まれるので、労働生産性を上げれば生活水準は維持できる。 しかし人口が減ると、いろいろな格差が拡大する。特に重要なのは、社会保障のゆがみによる世代間格差である。生産年齢人口は毎年1%近く減るので、高齢者の比率が増え、彼らの年金を支える現役世代の負担が重くなる。 鈴木亘氏(学習院大学)の推計によれば、今の社会保障制度のままだと2025年に国民負担率(税+社会保険料)は50%を超え、2050年には70%に達する。国民所得(純所得)が年率1%で成

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    eigokun 2014/05/23
  • 民主政治は最悪の政治形態だが、それは他よりましなのか

    アメリカ議会の混乱はまだ続いており、連邦政府の一部の業務が止まったまま半月が過ぎた。15日現在でもまだ民主党と共和党の妥協は成立せず、17日までに債務上限が引き上げられないと、政府が債務不履行に陥るおそれがある。アメリカ議会も「決められない政治」になってしまったことは、民主政治の病の深さを感じさせる。 この騒動をみて日人が奇異に感じるのは、「決められる政治」のシンボルのように思われている大統領が無力なことだろう。日政治改革で、よく首相公選とか「大統領的首相」にすべきだなどと言われるが、家のオバマ大統領は何もできず、議会の中での駆け引きで「チキンゲーム」が続いている。 実は、アメリカの大統領の権限はそれほど強くないのだ。大統領は最高司令官だが、宣戦布告の権限は議会にしかない。日の法律の9割は政府提出法案だが、ホワイトハウスには法律の提案権さえない。予算も議会が提出し、大統領は予算教

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    eigokun 2013/10/17
  • ロシアは「中東反米の拠り所」か

    オバマ大統領がロシアの「仲介」によってシリアへの軍事介入を止めてから、一か月。化学兵器をどう処理するかは国際機関に投げられ、その対応にあたる化学兵器禁止機関がノーベル平和賞に輝き、とりあえず「国際社会は化学兵器対策をちゃんとやりました」的アリバイは整った。 一連の流れのなかで気になるのは、オバマの振り上げた拳をおろさせることに成功したロシアの行動について、巷間出回っている説明である。日のメディアの解説を読むと、多くが「アメリカはシリア反体制派を支援vsロシアはシリア政権側を支援」→「アメリカの弱腰につけこんで、ロシアが同盟国シリアの救済に成功」という論調だ。 そしてなぜロシアがシリア政権を支援するか、という説明には、曰く、「ソ連/ロシアにとっての武器輸出相手国としてのシリア」、「シリアが中東での唯一のロシア拠点」などなどが挙げられている。ロシアの近年の武器売買契約を見ると、アメリカが心血

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    eigokun 2013/10/15
  • アラブ世界のメロドラマ事情

    今月初めにロンドンでアラブ人一家とテレビを見ていたとき(エジプトでクーデターが起きていたので)、その家のご夫人が言った。「最近は、アラブ世界向けの衛星放送でもトルコのテレビドラマが大人気なのよねえ。面白いんだけど、恋愛ありお酒ありで、いいのかしら」。 一家は英国在住歴の長い、自他ともに認める徹底した世俗主義者。その一家が「大丈夫なのかしら」というぐらいだから、よっぽど「反イスラーム的」なんだろうか――、などと思っていたら、案の定、最近宗教界からクレームが出た。イスラーム世界が断月に入って一週間ほどした今月半ば、サウディアラビアのイスラーム宗教界の中核をなす高位ウラマー評議会の一員が、次のように述べたのだ。「ラマダーン(断月)期間中にソープオペラ(いわゆる「昼メロ」)を見るのは、イスラーム法に反する!」 断という宗教的慣行の目的は、一か月間、日中の飲を断つことで、貧富の差なく衣足り

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    eigokun 2013/08/07
  • エジプト 反革命か革命の継続か

    軍と大衆デモによってムルスィー政権が引き摺り下ろされた7月3日以降、エジプトで起きていることをどう見るか、国内外の議論は二分されている。それは「反革命」か、「革命の継続」か、という議論だ。 二年半前、「1月25日革命」で当時の長期独裁政権たるムバーラク大統領を辞任に追い込んだのは、雑多な勢力からなる大衆デモだった。無党派の若者層を中心に、旧左翼、リベラル、イスラーム主義勢力と、さまざまな人々が結集した。その圧力を背景に、政権内エリートだった軍がムバーラクを見限る形で「革命」は成功したわけだが、その後の選挙、憲法制定といった民主化過程で、ムスリム同胞団が権力を獲得した。異論反論はあれど、一応議会選挙と大統領選挙を経て成立したのが、ムスリム同胞団のムルスィー政権だったのである。 反ムバーラクの一連の運動を「民主化」への試みだったと考えれば、不完全ながらも選挙に基づく議会制民主主義を確立して、ム

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    eigokun 2013/07/12
  • 選挙政治の是否が問われるエジプト

    6月30日、エジプト各地で発生した大規模デモは、二日を経ても続いている。 カイロのタハリール広場を群集が埋め尽くす姿は、二年半前の2011年、当時のムバーラク大統領を辞任に追い込んだ「1月25日革命」を彷彿とさせる映像だ。参加者自体も、その時デモを主導した若者層が中心である。現ムルスィー政権の成立から一年となったこの日、ムルスィーの政権運営に「ノー」を言うために、再度集まった。 確かに、去年から比べても、カイロの街は荒んだ感じがする。6月初めに訪ねたときも、引ったくりなどが増えたと、さまざまな人たちから聞いた。過去の警察国家が崩壊したせいで、自由を謳歌しすぎる小売商たちは道路の半分くらいまで勝手に露店を広げ、おかげで渋滞は悪化する一方。タハリール広場に面した壁には、相変わらず「落書き」で憤懣を晴らそうと若者が毎日集まってくるが、革命から時間が経つにつれて、閉塞感は目に見えて深まっている。

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    eigokun 2013/07/02
  • 日本が「シェール革命」の恩恵を受けるにはパイプラインが必要だ

    アメリカ経済は「シェール革命」にわいている。深い地底にある頁岩(シェール)から天然ガスや原油を採掘する技術が実用化したことで、その埋蔵量は飛躍的に増えた。特にアメリカの天然ガス生産量はロシアを抜いて世界最大となり、IEA(国際エネルギー機関)の予測では、あと5年でサウジアラビアを抜いて世界最大の原油生産国となる。 シェールガス・オイルの強みは、化石の固まりである頁岩から採掘するため、在来型の化石燃料よりはるかに量が多いということだ。IEAなどの推定によれば、その埋蔵量は在来型の化石燃料の5倍以上で、今後200年以上あるという。オバマ米大統領は今年の一般教書演説で「アメリカは今後100年分の天然ガスを国内で自給できる」と宣言した。 このようなエネルギー価格の低下で、久しく「製造業の衰退」がいわれていたアメリカに、製造業が回帰する動きが始まっている。シェールガスの産地ではパイプラインや貯蔵施

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    eigokun 2013/04/17
  • アルジェリア拘束事件の背景にあるマリ戦争

    突然の事件に、驚いた。アルジェリアでの日人拘束事件である。 13年前、凄惨な内戦に一応の終止符を打ち、一昨年の「アラブの春」では周辺国で政権が次々に倒れていくのを横目で見ながらも、アルジェリアのブーテフリカ政権は健在だ。反政府デモは少なくないが、原油輸出額は2003年以降急速に伸びていまや内戦時の七倍近く、経済成長率もここ数年2~3%と、悪くはない。今回被害にあった日揮をはじめ、伊藤忠、三井、三菱など、日は70年代から大手商社がアルジェリア向けに大型の建設プラントを輸出してきた。 そのアルジェリアで何故このような事件が起きたのか。それは、隣国マリの状況と連動しているに違いない。マリでは1月11日、マリ北部の反乱勢力を抑えようとする政府軍の要請を受けて、フランスが軍事介入、戦争状態に突入したからである。 マリ戦争の原因は、複雑だ。メディアが伝えるような、「北部=イスラーム過激派=アルカー

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    eigokun 2013/01/31
  • フランス版「対テロ戦争」の行方

    アルジェリアでの人質事件は、多くの犠牲者を出して悲しい結果に終わった。日揮は、長年中東・北アフリカで大きな事業を手掛け、その実績は高く評価されてきただけに、残念でならない。残された方々の痛みが癒される時が、少しでも早く来ることを、祈る。 多くの犠牲者を出したアルジェリア軍の性急な制圧作戦に、人質となった国の政府からは、批判が相次いだ。日はアルジェリア政府に「人命最優先で対応するよう」に申し入れていたし、18日にはキャメロン英首相も、アルジェリア軍の作戦が事前に知らされていなかったことに「失望した」と、不快感を隠さなかった。 反対に、真っ先に支持を表明したのがフランスである。キャメロン首相の「失望」発言と同じ日、フランス外務報道官は「アルジェリアに(制圧作戦以外に)選択肢はない」と述べた。犯人が犯行理由として「フランスのマリ軍事侵攻に反対」を掲げている以上、「テロ」に屈せずマリ作戦を継続す

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    eigokun 2013/01/24
  • 薄れるアラブ諸国の対日関心?

    民主党が大敗した選挙から10日が過ぎ、自民党政権が返り咲いた。内憂外患だった近年の日政治の重大な節目として、この政変は中東諸国でも大きく報じられている違いないと、あれこれアラブ系メディアの報道ぶりを気にしている。だが、意外なことに、あまり報道がない。 あるとすれば、せいぜい湾岸産油国の報道で、経済に力点を置いた内容。安倍政権の成立で日経済が再生するか、に注目が集まっている。 三年前、民主党政権が成立したときには、中東諸メディアはむしろ政治に注目していた。特に、鳩山内閣が米政権との距離を取るのでは、という点に関心が集中した。日の動向への興味は主として、その対米関係のありように向けられていたのである。 2004年に日がイラクに自衛隊を派遣した際にも、中東各メディアでは対米追随批判の論調が展開された。「第二次大戦で米軍によって広島・長崎に原爆を落とされたというのに、なぜ対米追随を続けるの

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    eigokun 2013/01/06
  • 政策なき政党、日本維新の会は「中国化する政治」をめざす

    実質的な選挙戦が始まり、14もの政党が乱立しているが、その中で主要政党と目されるのは民主・自民・日維新の会の3党だ。これは橋下徹氏を代表とする維新の会と石原慎太郎氏を代表とする太陽の党が合流してできたもので、増税やTPP(環太平洋パートナーシップ)や原発などで正反対の政策を掲げる両党がわずか4日で合流したことは「野合」という批判を呼んだ。 しかしそんなことをいえば、自民党右派だった小沢一郎氏と旧社民党が合流した民主党も野合だし、既得権の保護以外に政策らしい政策のない自民党も、昔から派閥の野合である。政策を基準にして集まる結社という意味の政党は、日にはもともとないのだ。だからメディアも政策を報じないで「政局」の話題ばかり報じる。 かつて、こうした状況は中選挙区制の弊害だとされ、「政策位の選挙にする」という理想を掲げて、小選挙区制にする政治改革が行なわれた。その結果できたのは、昔よりひど

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    eigokun 2012/11/23
  • 副大統領選びはむずかしい

    アメリカ大統領選挙で候補者になるためには、まずは民主党か共和党の党員たちに認めてもらい、党の候補になる必要があります。民主党なら、リベラルであればあるほど党内の支持が高くなりますが、番の選挙では、リベラルすぎると敬遠されます。 同じように共和党では、強硬な保守が支持されますが、番では一般の有権者から嫌われます。 これを避けるため、党の候補に決まったとたん、候補者は発言内容を軌道修正し、中道寄りになるケースが多いものです。民主党のクリントンは、大統領候補になると、保守的な発言が多くなりました。共和党のブッシュ(息子)は、正式な候補になると、「穏健な保守主義」を掲げました。実際には、「穏健」どころか、とんでもないタカ派の性を隠していたのですが。 では、今回の共和党のロムニー候補は、どうか。共和党の候補者選びの過程で、各候補とも極端な保守強硬路線を打ち出していたため、選では中道路線に寄る

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    eigokun 2012/08/25
  • 橋下市長の「教育バウチャー」は教育を変えるか

    大阪市の橋下徹市長が当選してから半年。全国的には君が代斉唱や原発再稼働の騒動ぐらいしか知られていないが、この半年で橋下市長のやった仕事量は普通の市長の4年分を超える。大部分は大阪ローカルの細々した問題なので東京のメディアは報道しないが、そのローカルな政策の中に彼の質がある。私もきのう読売テレビの討論番組に出演して彼の話を聞いて、その仕事の中身が初めてわかった。 特におもしろいのは、塾代補助クーポンだ。これは学習塾などの料金の一部を市が補助するもので、9月から低所得者の多い西成区で先行実施され、来年度からは市全域で中学生の7割程度に月1万円分のクーポンを支給する予定だ。予算は34億円のささやかな事業だが、政治的には大きな意味がある。これは日初の教育バウチャーなのだ。 バウチャーというのは用途を限定した金券だが、普通の補助金と違うのは、塾ではなく親に支給する点である。公立学校は公費で運営さ

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    eigokun 2012/06/23