ホタルイカに関する記事は何度も読んできたが、手で触れたのは初めてだった。ゴールデンウイーク中、滑川市のほたるいかミュージアムに出かけた。触ってみて驚いたのは、イカを入れている水槽の水の冷たさだ。 手を入れていると、痛くなってくる。一分ともたないほど。水は、水深三三三メートルからくみ上げた海洋深層水で水温は五度という。冷たいはずだ。ホタルイカを育む富山湾の秘訣(ひけつ)がよく分かった。 数年前、南国で食べた魚は臭みを感じた。好みの問題もあろうが、おいしいとは思えなかった。冷たい水で育つと、魚の身は締まって味が増すという。ホタルイカの沖漬けを食べて、富山湾の恵みも実感した。 (加藤隆士)