先月、ローレンス・レッシグ教授による「The New Republic: Against Transparency」という記事が公開されていました。 多くの人が単純に「透明性は良いことだ」と考えていますが、果たしてそれは正しいのだろうかという内容です。 政府による情報公開が、逆に政策を不安定化させるのではないかという考察が11ページのエッセーになっています。 そこでは、レッシグ教授が政府による過度の情報公開を「Naked Transparency」と呼び、それがどのような害を及ぼすかに関する問題提起を行っていました (今回、この「Naked Transparency」という単語は「素っ裸の透明性」と表現しました)。 Targeted Transparency レッシグ教授のエッセーでは、「素っ裸の透明性」がどのように悪用されるかを具体的に説明する前に「Targeted Trasnparen
さきほどのTVタックルで、マスコミの定番のごとく 「日本にソウル仁川のようなハブ空港はない。地方空港に無駄な投資ばかりしている。成田は運用制限と内際分離で使い物にならないし、24時間空港の関空は赤字だらけだ」 という手垢のついた問題提起がされていた。 専門家面をして出てくるのが屋山太郎というのも何で、特に詳しい取材がなされたわけではない。寧ろサンデープロジェクトの映像からの引用で、与謝野馨が 「羽田の滑走路の長さでは燃料を満タンにできないんですよ」 と言っているのが一番専門的な台詞であった。その事実が、政策通ぶりを示しているようであり、番組制作の皮肉でもある。(技術的には事実だが、別に日本発の旅客機に長大な滑走路は必要ないことは別記事参照) 国際航空の実態を知る者からは失笑ものの内容だが、それが世間の常識となりつつあるのは困ったものだ。 第一に成田は現実に世界に冠たるハブ空港である。ユナイ
藤井裕久財務相は就任後2週間にも満たないうちに日本株式会社のまゆをひそめさせた。これは良いことだ。 日本の新財務相が円安を支持しないというのだ。ウインクや首の振り方、机の下での握手などが幅を利かせる外国為替市場で、この発言はルービン元米財務長官の「強いドル」発言並みのインパクトを持つ。さらに、藤井財務相の見解は日本とアジアの未来にとって正しいものだ。 短期的には大打撃かもしれない。日本はリセッション(景気後退)から抜け出そうとする世界の中で純輸出国だ。自国通貨相場の押し下げこそは最優先課題だと思われるだろう。しかし、藤井氏の円に対する姿勢で、世界2位の経済大国である日本はこれまですがりついてきた開発途上国のような政策から抜け出せるかもしれない。 中国は、経済成長と株式相場上昇にもかかわらず、いざとなれば国内の貧困を訴えて人民元を押し下げることができる。一方、いくら今回の危機で格差が拡大して
鳩山政権で首相官邸にも「報道官」を置く構想があったが、立ち消えになったようだ。政策の総合調整を行なう官房長官が毎日2回も記者会見を行なう体制は、情報管理を軽視する日本の政治の象徴である。どこの国でも首相や大統領の補佐官は「内側」の仕事、報道官は「外側」に向けた仕事で、両方を同一人物が兼務する例はない。特に今度、官房長官になると目される平野博文氏は「女房役」タイプで、積極的に情報を発信するのには適していない。 実は今でも、内閣広報官というポジションはある。省庁再編のとき、内閣の情報発信機能を強化するために設けられたが、局長級の官僚であるため、官房長官とは発言の重みが違い、ほとんど機能していない。NYT論文事件でもわかったように、情報管理は内部調整と同じぐらい重要な職務だ。今までは記者クラブとの談合で、都合の悪い情報は幹事社が押えてきたが、これから記者クラブを開放するとすれば、海外を含めた多
お昼時にやっている情報番組で、新聞をボードに貼り出して、「注目の記事」を紹介するコーナーがある。 「○○新聞の記事によりますと、△△が××ということなんですねぇ」 年配の男性がカメラに向かい、マーカーされた記事を指示棒で指しながら読み上げる。ときおりコメンテーターが「○○さん、それはどういうこと?」と詳細を訊ねる場面がある。 すると、読み上げ担当氏は妙な間で、記事に目をやったあと振り返り、「さぁ……」。 何度か「さぁ……」を目にするうち、わかったことがある。「さぁ」ひとつで、どうなんでしょうね、新聞には書いてありませから、わかりませんねぇという弁解になっているのだ。 その読み上げ担当氏は、腹のすわった人物で、漢字の読み間違えはしばしば、ボードを指しながらの読み方もたどたどしい。どうやら下読みすら為されていないご様子で、こんなのありかよと思うのだが、ずっとこんなのだから、テレビ的にはありなん
「経済っぽくいこう!」、1回目の続き(「みなさん、『勉強』してみませんか?」の後編)をお届けします。 専門領域に深い見識をもつ学者でも、他の領域との交流は意外に少ない。人文系と経済系の学者が同じテーブルにつくことすら希少のようです。 経済は、いま、なんとなく「悪役」のにおいを放っています。昨年のサブプライムローン問題以来、「どうも経済の世界ってきな臭い」という印象を与えていることが大きいですし、合理性を重視する「経済学」っぽい考え方が、必ずしも人道的ではない、からかもしれません。 しかし現実の世界において、合理的な考え方は重要です。なによりも、異なる意見を持つ人たちが、「まあ、座ろうか」と思うためには、誰もが納得できる合理性のテーブルが必要です。そのうえで、人道に寄るか、合理性に進むかを話し合えばいい。 となると政治の世界、とくに政策決定において、経済的思考はきちんと機能しているのか否かが
まともな政策の簡単な見分け方、それは「基準を問う」こと。「既得権の打破」を叫ぶ人には、「既得権と正当な権益とをどうやって区別するのか」を問おう。「官僚主導の打破と政治主導の実現」を叫ぶ人には、「官僚主導と政治主導とはどのような基準で判定されるのか」を問おう。「無駄な公共事業の撤廃」を叫ぶ人には、「無駄な公共事業と無駄でない公共事業とをどうやって区別するのか」を問おう。これらの問いに答えられないなら、これらの主張は「政策」の名に値しない。単なる人気取りのための「かけ声」だ。有権者が、政党や候補者に対し、しつこいくらいに「基準を問う」態度を身につけること。これが、日本がポピュリズムから抜け出し、真の民主主義国家に成長するためのカギだと思う。
酒井法子さん騒動からtwitterを考える2009年08月09日07時06分 / 提供: 【PJニュース 2009年8月9日】140文字以内の「つぶやき」をユーザー同士で交換しあうアメリカ発のサイトtwitter。「朝起きた」「何を食べた」「どこかに移動した」「おもしろいサイトを見つけた」などの、日常的なちょっとした発言をお互いにやりとりするネットサービスである。ユーザーは友人や気の利いた「つぶやき」をしている人を自分のリストに登録(twitterではfollowという)することによって、発言をリアルタイムで追うことができる。また、他人の「つぶやき」を引用して再投稿する(Retweetという;RTと略される)ことができるため、twitterでの発言は時として爆発的に広がることがある。 先日のイランの大統領選にまつわる騒乱や中国ウィグル自治区の騒動の際、現地からの情報がCNNテレビなどのメデ
「すり合わせの」神話の回で、池田信夫氏のバカを明らかにしたが、全く別のページで夏野氏(iモード)が行ったセミナーの事が書いてあった。内容は「すり合わせ」の関する事で、結論は池田氏と全く逆のことを言っていたのだ。 池田氏は、IT業界は水平分業(モジュール化)のだから強く、製造業はそれが出来なかった(すり合わせ)からトヨタのようになってしまうのだと、製造業も水平分業しろと愚かな主張しているが、夏野氏はトヨタは垂直統合だから世界一になれたが、その思想で日本のIT業界が動いているから駄目なのだと言っているのだ。明らかに夏野氏の発言の方が正しい。トヨタの業績悪化(本当にそうだとして)の原因は製造過程にあるのではなく為替の読み違い(それにしても酷い読み違いだ。薄らバカが担当していたとしか思えない)と資産運用の失敗が原因である。池田氏の理屈で物づくりをしていたらもっと悲惨な状態になったに違いない。 池田
1 2 3 4 9~10月に予測される失業者の激増 その対策こそ次期政権の最重要課題だ 日本の失業率は、2009年6月に5.4%を記録して、なお上昇中である。今年中に過去最悪の5.5%を超えることは、不可避と考えられる。雇用問題は、現在の日本経済が抱える最も深刻で、最も緊急な対応が必要とされる課題だ。 では、失業はどのような雇用者について生じているのだろうか? これについて知ることは、問題の性質を明らかにするために、重要だ。 現在の日本では、5472万人の雇用者のうち、正規雇用者が3386万人で約3分の2を占め、非正規の雇用者が1699万人で約3分の1となっている(総務省の雇用形態別雇用者数データより)。 最近の雇用者数の変化を見ると、08年4~6月期に比べて、雇用者総数が104万人減少して、1年前の98.1%の水準になった。その内訳は、正規雇用者が63万人の減で98.2%、非正規
今週のEconomist誌の特集は、経済学(および経済学者)の批判だ。マクロ経済学のパートと金融理論のパートがあるが、前者、特にルーカス以降の「数学的な飾りばかりで中身のない」動学マクロ理論についての評価は非常にきびしく、各国の中央銀行がこんな「別世界の哲学」を政策の基準にしたことが今回の悲劇の一因だと断罪している。 金融理論については、効率的市場仮説(EMH)や金融工学を批判しているのは当然だが、今回の失敗は金融工学の欠陥といった高級な問題を持ち出さなくても説明できる。Black-Scholes以来の金融工学は、すべての資産価格が独立に動く(相関がゼロ)と仮定しているので、今回のようにすべてのバブルが一挙に崩壊するといった強い相関がある場合には、そもそも金融工学を使うのが間違っていたのだ。 だから真の問題は、マクロ理論や金融工学が役に立たないということではなく、それより役に立つ理論が
今週のSAPIOに出ている私の「ワーキング・プアを『ただのプア』に転落させる『派遣禁止法案』の大欺瞞」という記事について誤解があるようだが、私は「反民主党キャンペーン」に協力したわけではない。むしろ民主党政権が長続きするために、安易なポピュリズムはやめるべきだと言っているのだ。 内容も、当ブログや「アゴラ」で書いてきたことだ。特に強調したのは、派遣規制が労使の結託によって非正社員を労働市場から排除する身分差別だということである。それは当の派遣労働者の組合である人材サービスゼネラルユニオンが派遣規制に反対していることでもわかる:このところ格差社会を論じる際に、間接雇用である派遣がその元凶であるという意見がたびたび出てきます。私たちは、マスコミや一部の労働界、政党から出されている、派遣イコール「ワーキング・プア」、派遣イコール「不本意な働き方」という見方には強く違和感を覚えます。 組合員の
自民党の大島理森国対委員長は17日午前の党会合で、麻生太郎首相を「徳がない。恥を知る心がない」と非難した武部勤元幹事長の言動に触れ、「党を出て行ってもらいたい」と不快感を表明した。 両院議員総会の開催に向けた署名運動を主導している同氏を強くけん制した発言。
いよいよ解散総選挙、というこの期に及んで自民党内がゴタゴタしている。 与謝野財務相、麻生首相の自発的辞任を促す : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) 与謝野財務相は15日、首相官邸に麻生首相を訪ね、約40分間、会談し、東京都議選の敗北を受けて次期衆院選は厳しい戦いになるとの考えを伝えた。 首相の自発的な退陣を暗に促したものだ。一方、自民党執行部は同日、都議選を総括するため、週内に党所属国会議員が参加する会合を開く方向で検討に入った。しかし、首相は、党内の混乱にかかわらず、あくまでも21日に衆院を解散する考えだ。 与謝野氏と首相との会談には、石破農相も同席した。この中で、与謝野氏は、このままでは次期衆院選の情勢は厳しいとの認識を伝えた。石破氏は、これに同調したうえで、首相が両院議員総会に出席して、衆院選に向けた党勢回復策について自ら説明すべきだと進言した。 署名簿で津島派「
蛯谷敏 日経ビジネス記者 日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。 この著者の記事を見る
毎日新聞6月27日の「発信箱」に興味深い話がありました。筆者は科学環境部の記者です。初めの部分を紹介します。 『高校に出前授業に出かけた研究者がため息まじりに話してくれた。 「科学技術が役に立っていると思う人?」と生徒に聞いたら、しばらくして半分ぐらい手が挙がった。「科学技術が環境を壊していると思う人?」と聞いたら、間髪入れず全員の手が挙がったという。「若者は科学技術より環境を大切に思っているんですね」 事実、公害は科学技術を支える企業活動が生んだ。しかし科学技術は環境問題の解決にも貢献するはずだ。それをすんなり受け入れられないのは、大人たちの言動にどこかウソっぽさを感じ取っているのではないか。 高校生でない私でも納得いかないことは多い。省エネを叫びながら、消費電力の多い大型テレビほどエコポイントがつくのはなぜか。ためたポイントでガソリンが買えるのは変だ。化石燃料使用を減らせと言いつつ、高
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