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  • アベノミクス論争は無駄である | 小幡 績 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 2016年07月07日(木)11時12分

    <論じても不毛なアベノミクスが、あるべき経済政策論議を混乱させている。当に大事な論点は何か、整理する> アベノミクス論争は無駄である──アベノミクスは、存在しないからだ。 アベノミクスとは何か──何でもない。なんにもないから、定義のしようもない。だから、議論も出来ないし、することは無駄である。アベノミクス、この道しかない、というのは、これからも何もしない、ということである。 素晴らしい。 なぜなら、現在、経済政策は動かないのがベスト、ある種のセカンドベストだからである。アウェーの戦い、何をやっても経済にはマイナスの局面では、我慢のとき、動かないことしかない。 それゆえ、アベノミクスは中身がないところが、良いところ、唯一の良いところなのである。 アベノミクスは中身が存在しないので、議論をすることは無駄である。 しかし、賛成側、反対側が無駄な議論を続け、世論を混乱させているので、ここで経済政

    アベノミクス論争は無駄である | 小幡 績 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 2016年07月07日(木)11時12分
  • バングラデシュ人質事件、日本はこれから何ができるのか?

    事件の背景には、野党勢力BNPへの弾圧を強化する現政権への反発がある。日は長らく援助を続けてきた経緯があり、今後は在留邦人との治安情報の共有体制を見直すことが必要>(写真は、事件の犠牲者を悼むバングラデシュの人々) 今月1日にバングラデシュの首都ダッカで発生した人質事件では、日人7人を含む人質20人が殺害されました。無念と慟哭を禁じえません。 アメリカのメディアでは、その2日前の6月28日に起きたトルコのイスタンブール空港の爆弾テロの際に、事件直後の現場に急行して生中継をしたNBCのリチャード・エンゲル記者が「ISISはこのラマダン期間中に連続テロを予告しています。ですから、7月5日のラマダン明けまで、まだ事件が起きる可能性が濃厚です」というレポートをしていました。 そのような報道がある中ですから、余計にダッカでの事件が「ISISによる世界規模のテロのターゲット」になったと理解される

    バングラデシュ人質事件、日本はこれから何ができるのか?
  • ブレグジットがトランプの追い風にならない理由

    <イギリスのブレグジットはトランプの逆風にしかなっていない。イギリスと違ってアメリカでは、国民が資産運用の手段として株式市場をもっと身近に感じ、移民全般への排斥感情も起きていない>(写真は、スコットランドに所有するゴルフリゾートで国民投票直後に会見するトランプ) 共和党のドナルド・トランプ候補は、以前からイギリスのEU離脱を支持していました。移民排斥、保護貿易、自国中心の思想ということで、確かにイギリスの「離脱(ブレグジット)派」とトランプの主張は重なっています。では、イギリスの国民投票で離脱派が勝利した結果、トランプも勢いに乗っているかと言うと、それは違います。 一つには、24日のスコットランドでの会見に失敗したことがあります。会見の直接の目的は、トランプのファミリー企業「トランプ・オーガナイゼーション」が買収したターンベリーという豪華ゴルフリゾートの改装披露でしたが、現地時間の23日に

    ブレグジットがトランプの追い風にならない理由
    emonkak
    emonkak 2016/07/03
  • パブから見えるブレグジットの真実

    <EU離脱(ブレグジット)を問う国民投票を来週に控えて、イギリスでは世論調査の数字が賛否で拮抗している。EU残留を主張する体制派のエリート層は、誰が離脱を支持しているか見えないようだが、安いチェーンのパブに行けばそんな人々が集っている> 僕は週に一度はパブに行くことにしている。月曜か木曜なら、僕の住む町の「ザ・プレイハウス」と呼ばれるパブに行く。時々は気分転換に別のところに行ってみようかとも思うが、結局はだいたいいつもザ・プレイハウスに行くことになる。 もしも僕の住む町、イギリス南東部エセックス州のコルチェスターを訪れて誰かにザ・プレイハウスの場所を尋ねれば、ほとんどの人は答えられないだろう。大きくて目立って有名なパブなだけに、おかしな話だ。でもそのうち誰かが「ああ、もしかして『ウェザースプーンズ』のこと?」と言って案内してくれると思う。 ザ・プレイハウスはイギリスに何百と店舗のあるウェザ

    パブから見えるブレグジットの真実
  • 消費増税の再延期で高まる日本経済「本当の」リスク

    <極端な悲観論や過度な楽観論が飛び交っているが、消費税増税の再延期で懸念されるのは、国債が紙切れになることではなく、金利の上昇により日経済に大きな影響が及ぶことだ> 安倍首相は、来年4月に予定されていた消費税増税の再延期を決定した。再延期が実施された場合、政府が掲げる財政再建目標の達成はほぼ不可能となる。日の財政をめぐっては、国債が紙切れになるといった極端な悲観論が出る一方、借金は大した問題ではないといった過度な楽観論も台頭するなど、ちょっとした混乱状態にある。 現実問題として、日の国債が紙切れになる可能性は限りなく低い。だが私たちが懸念すべきなのは、国債が紙切れになることではなく、金利の上昇リスクである。それだけでも経済に対するインパクトが大きいということを認識しておく必要があるだろう。 【参考記事】消費税再延期も財政出動も意味なし? サミットでハシゴを外された日 【参考記事】増

    消費増税の再延期で高まる日本経済「本当の」リスク
  • 中央銀行は馬鹿なのか

    銀行が先週の政策決定会合で、金融政策の現状維持を決定した。これが市場をパニックに陥れた。 発表直後から、日経平均株価は大暴落、前日比240円高の水準から660円安に落ち込み、一瞬で1000円近い下落となった。為替も112円近い水準から109円割れ、3円以上一気に円高になった。 日銀のサイトはダウン。何が起きたのか、情報を求めて阿鼻叫喚となったトレーダー達が殺到し、サイトが閲覧できない状態に陥り、トレーダー達のパニックは加速。これが下落に拍車をかけた。 間抜けな私の同僚は、昼をべようと私を誘いに来たが、私が、いまちょっと手が離せない、情報確認と分析、ブログも書かないといけないと、パソコンの画面から目を離さずに断ると、何かあったんですか?と間抜けなまま彼は尋ね、私は、株が1000円近く暴落している、と言うと、え?株価?上がってますよ? 私は、いや今暴落したんだ、と答えるヒマもなく答えると

    中央銀行は馬鹿なのか
  • 円安誘導をもうアメリカは許さない

    半年に一度の米財務省の為替報告書が公表となりました。今回は表紙からして一新。というのも今年になって成立した「貿易促進法2015 (the Trade Facilitation and Trade Enforcement Act of 2015)」に基づいて、不公平な外国為替の慣行に対処する条項を今回初めて米財務省が履行した、というのが最大の理由でしょう。 一昨年まではドル高を容認してきた米国ですが、そのスタンスに変化が見られたのは昨年4月の為替報告書あたりから(実際の為替レートは1ドル120円台でしたが、報告書では中期的には1ドル102円水準であった頃が実効実質為替レートとしては適当との指摘あり)。さらに、今年に入ってからは具体的な行動に動き出し、2月下旬にオバマ大統領が「貿易促進法2015」に署名。その際には「通貨安への新たな対抗策が得られた」とコメントしています。同時期、ヒラリー氏が日

    円安誘導をもうアメリカは許さない
  • 安保法施行で日本は「専守防衛を転換」したのか

    安保関連法が施行された3月29日、新聞各紙は一面で大きく取り上げたが、「専守防衛を転換」と大きく見出しを打った朝日新聞の論じ方ははたして正しいのか 2016年3月29日、昨年の9月に国会で採択された安保関連法(「平和安全法制整備法」と「国際平和支援法」の2の法律により構成される)が施行されることになった。この日の新聞各紙の朝刊では、これについて一面で大きくとりあげており、その意義と意味について論じている。しかしながら、法案が国会を通過した昨年9月にそうであったように、全国紙においては朝日新聞と毎日新聞は批判的あるいは懐疑的な論調であり、他方で読売新聞、日経済新聞、産経新聞は肯定的な論調である。 どのような新聞を読むかによって、同じ法律の施行について対極的な印象を持つことは必ずしも悪いことではない。賛成派と反対派に分かれるということは、政治の多くの争点でそうであるように、自然なことであろ

    安保法施行で日本は「専守防衛を転換」したのか
  • 「トランプ現象」を掘り下げると、根深い「むき出しのアメリカ」に突き当たる

    記事の冒頭にこちらの写真を貼っておく。後ほど解説するので、数秒間見つめていただきたい。 ドナルド・J・トランプ氏を理解するには、まず彼の熱烈な支持者の心境に寄り添うことが必要だ。アメリカリベラル系メディアはトランプ氏の大躍進に焦りを隠せず、来る日も来る日もひたすらこき下ろす記事を発信している。 だが、ただ「おぞましい」「明らかな嘘を付いている」「支離滅裂な演説をする」「まったく実現不可能な公約を口走っている」「暴言がひどい」と羅列しているだけでは、トランプ氏の破壊力に太刀打ち出来ない。それどころか次にトランプ氏が仕掛ける扇動に対してあらかじめ免疫をつけることもできない。大手メディアや共和党のエスタブリッシュメントがトランプ氏を「許しがたき、恥ずべき存在」だと非難すればそれだけ、同氏の支持者は熱狂するからだ。「ざまを見ろ」と。 この支持者たちは誰なのか?なぜ溜飲を下げているのか? 表面的な

    「トランプ現象」を掘り下げると、根深い「むき出しのアメリカ」に突き当たる
  • なぜ日本には「左派勢力の旗手」が出現しないのか?

    今週のアイオワ党員集会では、自称「民主社会主義者」のサンダースがヒラリーに肉薄した Rick Wilking-REUTERS 各州の予備選が始まったアメリカの大統領選では、民主党のバーニー・サンダース候補に若者の支持が集まっています。今月1日のアイオワ党員集会では、盤石と言われたヒラリー・クリントン陣営に1%未満の差まで詰め寄る一方で、今月9日に予定されているニューハンプシャーの予備選では自身の選挙区バーモントの隣ということもあって、大差での1位が見込まれています。 このサンダースですが、60年代から「反戦・反格差」を主張として掲げており、自分は「民主的な社会主義者」という立場を一貫して通しています。さらに大統領選で「政治による革命を目指す」としています。政策としては「空前の大増税を行って富裕層の富を吐き出させ」、「スウェーデンや日のような政府一元化の健康保険制度」を導入、さらには「公立

    なぜ日本には「左派勢力の旗手」が出現しないのか?
  • マイナス金利で日本経済の何が変わるのか

    マイナス金利で日経済の何が変わるのか──何も変わらない。変わるとすればデフレを引き起こすぐらいだ。 短期的には円安が進む以外は何も変わらない。消費も投資も実体経済においては増えない。したがって、マイナス金利という日銀の新しい金融緩和策が実体経済に与える影響の評価は、さらなる円安を評価するかどうかにかかっている。そして、円安は過度に進んでいるという見方に立てば、これはプラスではなく、パブロフの犬のような株式市場の短期的な反応を除いてマイナスと考えられる。 さて、マイナス金利政策とは、市中の銀行が日銀に預けている当座預金の金利が現在のプラス0.1%からマイナス0.1%に変わる、ということだ。それ以上でもそれ以下でもない。この結果、確実に起こることは、銀行がいわば日銀から受け取っていたこのプラス0.1%による補助金、現在では年間2200億円程度が部分的に失われることだけだ。 もちろん、日銀はこ

    マイナス金利で日本経済の何が変わるのか
  • 古市憲寿氏が指摘する、日本型コミュニケーションの「非生産性」

    社会学者の古市憲寿氏が「電話や手紙で依頼する人とは仕事できない」という主旨の発言をして、議論を呼んでいます。手紙で時間をかけて敬意を表現することが「仕事ができない人」に思えるとか、「電話で仕事する人」とは合わないということなのですが、これに対しては、「他者への敬意がない」とか「日の情緒を否定するのか」というような批判がネットでは飛び交っています。 問題となっているのは、要するに「コミュニケーションの生産性」だと思います。 まず電話ですが、電話には大きなメリットがあります。電話の声や態度、雑談による追加情報など、メールやメッセージと比較すると付加情報の量が多いということです。このことは、決定的なメリットになる場合があります。例えば、双方に利害対立があり、かならずしも全ての交信がフレンドリーでないような場合は、疑念の確認や追及をしたり解決したりという臨機応変でダイナミックなコミュニケーション

    古市憲寿氏が指摘する、日本型コミュニケーションの「非生産性」
  • バス事故頻発の背景にある「日本式」規制緩和の欠陥

    規制緩和が過当競争を引き起こし、バス事故の頻発につながっているという批判が出ている Juergen Sack-iStock. 先週の軽井沢スキーバス事故の後、安い運賃で運行しているツアーバスの事故が頻発していることを受けて、規制緩和が誤りだったという声が出ています。中には、こうした規制緩和がアメリカ流の「拝金主義」や「新自由主義」による人命軽視の思想から出ているという批判や、あらためて官庁による強い規制を復活させるべきだという声もあるようです。 では、規制緩和は誤りだったのでしょうか? 市場の購買力が下がって格安運賃へのニーズが高まる、その一方で中高年労働力の市場でも価格破壊が進行するという現状の流れの中では、違法な安値競争が起こるのは「市場原理としては仕方がない」ので、あらためて政府の検査体制を拡充するしかないのでしょうか? ここに「日式」の規制緩和の問題が横たわっています。例えば、小

    バス事故頻発の背景にある「日本式」規制緩和の欠陥
    emonkak
    emonkak 2016/01/23
  • 軽減税率の何が問題か

    誰も得をしない。すべての人が損をする。だから良くない。 第一に、景気を悪くする。これほど単純に景気を悪くする増税対策もない。景気対策としては最悪である。 第二に、低所得者がもっとも損をする。当初、低所得者対策として議論が始まった軽減税率は低所得者に最も不利な増税対応策である。目的から最も遠いので最悪だ。 第三に、選挙対策としては効率的である。だから、次の選挙を勝つためには最も安易で確実な策である。となると、良いことではないが、自民党も公明党も得をするのだから、長期的に日のためにならなくとも、合理的ではないか。そうではない。政治的にも軽減税率は自滅への道である。 これらを順番に説明しよう。 第一に、景気に対して最悪である。軽減税率とは、2%の消費税率引き上げで5.6兆円の増税に対して、その緩和策として料品に関して1兆円の恒久減税を行うという、要は1兆円減税である。そして、最悪である理由は

    軽減税率の何が問題か
  • TPP妥結の政治的意味、日本とアメリカ

    TPP交渉は最終盤まで難航した(写真は会見で進捗を説明する日の甘利TPP担当相) Kevin Fogarty-REUTERS 面倒な交渉の末にようやく妥結したTPPですが、この問題に関しては日アメリカも「政治のねじれ」を経験しています。日の場合は、そもそもTPP交渉へ向けて積極的に踏み込んだのは民主党の野田政権で、当時野党だった自民党は安倍晋三首相も含めて、主として農村票を意識して消極的でした。 ですが、現在は安倍政権として積極的に交渉を進めて合意に至った一方で、民主党の方は「慎重審議を」という姿勢になっています。こうなると立場の「ねじれ」というより、政権政党になると中道現実主義、下野すると左右の極端という間を「ウロウロ」せざるを得ない「日型民主主義」の、「ブレ」と「戻り」の力学が見えます。 この点で比較すると、アメリカの場合はもっと大変です。 TPPを推進しているのはオバマ政権

    TPP妥結の政治的意味、日本とアメリカ
  • マイナンバー歴44年の僕から一言

    あなたのマイナンバーは届いたかな? 実は僕、皆さんより一足先にマイナンバーを持っているんだ。なんと44年前からね。 ということで今回は"マイナンバーの先輩"として色々話させてもらいましょう。 もちろん、僕が持っているのはアメリカのものだから、正確にいうと「マイナンバー」ではない。アメリカの場合はSocial Security Number(社会保障番号、略してSSN)と呼ばれている。 考えてみれば英語で「マイナンバー」とは「私の番号」という意味。"Can I have your my number?"(あなたの私の番号を教えてください)は、結構ばかばかしいセンテンスとなってしまう。日の役所の方々は英語でやり取りするときはどう対応するのかな? 時は1936年、大恐慌の真っ最中だった。ニューディール政策の一環として発足した社会保障プログラムに合わせ、SSNは発行された。当時は年金の管理用だっ

    マイナンバー歴44年の僕から一言
  • 安保法案成立後の理性的な議論のために

    平和を求め、デモという政治参加が行われたのはよいことだったが(9月9日、雨の中のデモ) Issei Kato - REUTERS ■民主主義の新しいかたち 国会のまわりでは、大変なデモが行われています。安保関連法案に私は賛成の立場ですから、それらの人々とは立場は異なりますが、日が民主主義国であり、デモが法律で認められており、選挙以外の方法で自らの主張を訴えるためにも、このような政治参加が行われていることはよいことだと思います。 かつてフランスに一年間滞在して、ときどきパリの街中でデモ隊が行進しているのに出くわして、日でもこういうデモがもっとあればよいのに、と思っていました。確かに2005年には、サルコジ内相の発言に激怒した人々がパリ郊外で暴力的行動をとった事件もありましたが(このときもたまたまパリにいました)、それでもフランスでのデモはおおよそ、平和的で、理性的で、オープンです。成熟し

    安保法案成立後の理性的な議論のために
  • 安倍政権が「安保法制」成立を急ぐ理由

    先月末に地元の大分市で、礒崎陽輔首相補佐官(自民党参議)が語った講演内容が波紋を呼んでいます。何度も報道されている内容ですが、念のため該当部分を確認すると、 ・「我が国の自衛権は必要最小限度でなければならない。その憲法解釈は変えていない」 ・「考えないといけないのは、我が国を守るために必要な措置かどうかで、法的安定性は関係ない」 というものです。 礒崎氏は、参議院に立候補する前は総務省の官僚、そして省庁統合の前は長いこと「自治官僚」をやっていた人です。「役人言葉」に関する著書もあることから「日語の霞ヶ関方言」の「語り部」というか、一種の「呪術師」のような人です。ですから、印象論で対抗するのではなく、ちゃんと「分かりやすい現代日語に翻訳」して批判することが必要です。 そのプロセスを省略して攻めたのでは、問題の核心を突くことはできません。民主党の福山議員も、枝野議員も「怒りが上滑り」してい

    安倍政権が「安保法制」成立を急ぐ理由
  • 日本ではなぜ安全保障政策論議が不在なのか

    なぜこうなってしまったのか。実に奇妙な事態になってしまった。これほどまで熱く平和が語られ、これほどまで厳しく政府への批判がなされる中で、日が選択すべき安全保障政策についての具体的な提案や主張がほとんど見られないのだ。 安全保障政策の選択を間違えれば、その国の安全は崩れてしまい、国民の生命を守ることはできない。国際政治歴史をこれまで研究し、また大学で教える立場にある者として、歴史上多くの国が安全保障政策の選択を間違えたことで、国民の生命を犠牲にして、不毛な戦争を招いてきたことを学んできた。経済政策を一つ間違えても国が滅びることはあまりない。しかしながら、安全保障政策の一つの誤りが、国家の存亡に直結した例は溢れている。74年前に日は、安全保障政策の選択を間違えて、平和を破壊し、膨大な数の国民の生命を奪い、またアジア太平洋地域に破滅的な惨状をもたらした。これほどまで重要な安全保障政策につい

  • 安保法案については、アメリカ人だから語りません | パックン(パトリック・ハーラン) | ニューズウィーク日本版

    【はじめに】 僕らアメリカ人が日の安全保障問題について、しつこく意見を述べたりすると、日の皆さんはむかつくかもしれない。 「そもそもいまの憲法を押し付けたのはアメリカだろ!」と反発する人もいれば、「集団的自衛権を求めているのはお前たちだろ!」と反発する人もいるでしょう。 どちらも否定しづらいし反論しづらい。 だから、今回は安保法案に関して自分の立場をわきまえた上で、個人的な意見は控えさせていただきます。反対だけどね。でも「反対だ」とは言わない。 「敵国の少ない日が集団的自衛権を実行し、敵国の多いアメリカとつながれば、日がより危険な状態になると思う」という自分の考え方も説明しない。 「武装して勢力の均衡を保とうとする場合、相手が核保有国だったら、こちらも核保有国になる必要さえあるのでは?」という疑問もぶつけない。そんな個人の見解をここでは一切書かないことにしよう(では、題へ)。 先

    安保法案については、アメリカ人だから語りません | パックン(パトリック・ハーラン) | ニューズウィーク日本版