孔明は泣いたが、馬謖のことは斬れなかった。 硬かったのである。 「どういうことだ……」 孔明はうめいた。首切り役人もうめいた。馬謖もうめいていた。 概ね、同じ理由でうめいていた。 馬謖の首が落ちない。 首切り役人が斧を振り上げ、打ち下ろした。 がん、と岩を打ったような音に続いて、金属の音が響く。 汗みずくの首切り役人が斧を取り落としたのだ。 孔明は首切り役人を下がらせた。 次を呼び寄せる。 三人目である。 人の首は硬い。一刀のもとに断ち切るのは見かけほどたやすくない。だが、それにしても異常であった。 孔明は馬謖を見た。 馬謖はもう動かない。 断頭台にくくりつけられ、斧の衝撃に体を跳ねさせるのみ。 うめき声が漏れるのは気管が潰れ、空気が漏れるせいだろう。 孔明はそう断じた。 そうでなければ、やりきれなかった。 弟子である。 大事を任せ、失敗を犯し、罰しなくてはならなくなった。 それでも、可愛