身辺雑感/脳をとろ火で煮詰める日記: 悪役論・補記：悪から善への軽やかなシフトチェンジについて

昔話（メルヒェン、おとぎ話）で悪が善に倒されるとき、それを象徴として心の中で思い浮かべた聞き手の中でも同じことが起きる（＝心の中の負の部分を正の部分で乗り越える、という精神的なシミュレーションがなされる）と述べたが、この現象が起こる様式は善による悪の駆逐というパターンだけではない。 たとえば、極端さを好む昔話的メルヒェンにおいては、極端な悪はその純性ゆえに何かのきっかけであっさり善へと極端な属性転換が行われることもあり、これもまた我々に大きな感化作用をおよぼすものである。 醜い獣が少女の愛によって呪いを解除され美しい王子に変わる、 凶暴な悪鬼が英雄にこらしめられて子分になる、 海賊たちが誘拐したお姫様に魅了されて忠実な護衛団になる、 冷酷な山賊があどけない幼子の運命に同情を誘われて助力してやる、等々…… こうして悪のシンボルが属性を善へとスイッチするとき、その物語に心をシンクロさせている我

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善悪のスイッチング