火論:彼女は号泣したか＝玉木研二－ 毎日ｊｐ(毎日新聞)

＜ｋａ−ｒｏｎ＞ 例えば、人気絶頂のアイドル芸能人の落涙場面をめぐる記事。その「号泣」という見出しに、忠勇無双の豪傑が主君を戦場に失って天を仰ぎ、大声を上げて泣く様を想像するのは、今時の感覚からはまことにズレているらしい。 テレビでその場面を見ると、何のことはない、その若き女性アイドルはしくしく泣いているだけではないか、などと言ってはならない。今はそれも「号泣」なのである。 今年の文化庁月報４月号に「『号泣する』の意味」という記事があった。 今や「声を押し殺して号泣した」「周囲に気づかれないように号泣した」という表現も見られるそうで、「本来の意味とは違っています」とクギを刺している。 言うまでもなく、号泣とは、大声を上げて泣く、泣き叫ぶことだが、昨今の記事などでは涙にむせぶ様を包含する。芸能やスポーツ、社会面記事と広く見かけるから、国語辞書に追認されるのも時間の問題かもしれない。 ７０、８

[bukuma]

今や「声を押し殺して号泣した」「周囲に気づかれないように号泣した」という表現も見られるそうで、「本来の意味とは違っています」とクギを刺している。