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0895夜 『モーセと一神教』 ジグムント・フロイト − 松岡正剛の千夜千冊
モーセと一神教 ジグムント・フロイト ちくま学芸文庫 2003 Sigmund Freud Der Mann Moses und die Mono... モーセと一神教 ジグムント・フロイト ちくま学芸文庫 2003 Sigmund Freud Der Mann Moses und die Monotheistische Religion 1939 [訳]渡辺哲夫 恐ろしい本である。引き裂かれた1冊である。 ヨーロッパ文明の遺書の試みだった。おまけにこの本は人生の最後にフロイトが全身全霊をかけて立ち向かった著作だったのである。それが「モーセ」という神の歴史に立ち会ったユダヤ者の謎をめぐるものであったことは、フロイトその人がかかえこんだ血の濃さと文明の闇の深さを感じさせる。 ぼくが最初にこの本を読んだのは、日本教文社の『フロイド選集』第8巻(吉田正己訳)だったのだが、たちまちにして“しまった”という気分になった。もっと早く読んでおけばよかったという悔いと、こんな本は知らなければよかったという気持ちが一緒くたにやってきた。そのころはまだユダヤ教
2023/08/01 リンク