『(42) レミフェンタニルで腸間膜牽引症候群の発生頻度は変わるのか？』

手術中、特に開腹手術で、開腹し、腹腔内を検索しているような手術初期によくおこる循環変動の一つに腸間膜牽引症候群というのがある。 顔面紅潮、低血圧、頻脈を三徴とし、血管手術や腹部手術では文献的には30～85%の頻度でおこるといわれている。 ただ、これは施設間格差もありそうで、 ほとんど発生しない施設もあるようである。 小腸や腸間膜の牽引により腸間膜血管の内皮細胞にshear stress（剪断応力）が働き、COX活性化により、PGI2（プロスタサイクリン）が産生されることにより、全身の血管拡張がおこることがこの病体の本態と考えられている。 ただ最近ではプロスタサイクリンだけでなく、肥満細胞からヒスタミンが遊離することも原因になっている可能性が指摘されている。 これらのことは日本の麻酔科医の中ではおそらく常識と思われる。 この腸間膜牽引症候群はレジデントの本にも、おそらく日本語の本ならほぼなん