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『9小説シデノヤマ』
八畳のリビングは裕樹(ゆうき)の宝物、蕙子(けいこ)にとっては、ガラクタで足の踏み場もない状態。... 八畳のリビングは裕樹(ゆうき)の宝物、蕙子(けいこ)にとっては、ガラクタで足の踏み場もない状態。リビングの許容範囲はすでにオーバー。 「最後の箱までパスポートが見つからないなんて、運が悪すぎ、散らかりすぎ」 蕙子は、絶対着ないだろう部門、絶対被らないだろう部門が、侵食している隣のダイニングを見て、ため息をついた。 学生時代浮かれて作った、クラスやサークルでのお揃いのポロシャツ、ジャージ、Tシャツ、半被、裕樹はテニス部だったのでそのユニフォーム、おびただしい数の、絶対着ないだろうエントリー作品がずらりと並んでいる。 ただ、思い出という点で、僅かながら理解はできるので、平凡な作品ともいえる。 絶対被らないだろう部門は、衝撃作、問題作が並んでいる。 蕙子に衝撃を与えたチロリアンハット。登山用がおしゃれアイテムとして流行した帽子。横には鳥の羽がさしてあり、おしゃれです。イケメンがかぶれば申し分ない