『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝：茶番』

東本京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日本最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう！ 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです ⑲ 「茶番」 ９ 「師匠は気を利かせて、ワシも一緒に行けと言うてくれました。 上方のお笑い仲間に頼んで、 大阪で芸を習いながら、 お美津ハンとお美代ちゃんを探す大事が始まったんです。 それが二十年ほど前の事ですわ」 龍蔵が、タバコに火をつけた。 「それで見つかったんかいな？」 「見つかるどころか、一年もせんうちに、 源吉まで居らんようになったんですわ。 書置きが残してあったんやけど、 どうしても探し出したいから許してくれと……」 エントツがうな垂れる。 「今も連絡ないままかいな？」 お銀も心配顔になる。 「そうなんですわ、大阪の親戚や言うだけで出て来ましたやろ。 そ

[higashimoto28]

死んでしもうたんと……